始まりの百年
アルピス中央機関室で、俺達は少しづつものを探していく。
特に何でもないものしか無かった。このアルピスの設計とか野放しにしてていいのかと思ったが、それはまぁムーンが困るだけだからいいだろう。
プラスチックのような冷たい板に、少しの紙が乗っている。それほど中身は重要では無いが、誰かがここにいたということか⋯⋯
メンテナンスだと願いたいがな。本当に悪い予感はよく当たる。これが宝くじみたいなのも当たってくれれば、働かず、戦わずに生きれたのかもな。
「⋯これは何なのです?」
ハクアが見たのは、少し古い扉───の上。大きい文字が、何列にも並んで文になっている。
なぜ、文と分かったって? そりゃ【見覚えのある】からだ。
「⋯⋯エドさん、これは」
「あぁ、これは【日本語】だ。しかも現代の」
そこに書かれていたのは、ひとつの物語。血の色で書かれた呪われた文字。
たまにかすれているが、言葉の前と後で予測できる。
文字の形で分かるが、これは呪いだ。誰に向けたのか⋯⋯
”むかし むかし 世界には大きな神様がいました。神は気まぐれでこの世界を作り、そして運営をしていました。
ですが神は退屈でした。なので人を作りました。適当に強いものを、勇者や聖王を。
始まりの百年が、進みました。世界はここより崩壊をし始めました。
何も無く、悠久の平和がただの気まぐれで崩れたのです。これを見て神々は大怒り、たちまち戦争が起こるでしょう。この文を見た貴方にお願いを、どうか神を助けてあげてください。
我々は間違えました。謝罪なんてできやしない。それでも例えそれが⋯の意思に背くものでも、私はまだ月を見たいのです。どうかお願いします”
そこにあったのは謝罪と未来の文。予言といった方がいいのか? 赤い文字でなにかに向けている、誰に謝っている? 誰に道を示そうとしている?
そもそもこれは誰が書いたんだ? 日本語ということは転生者だろう。なぜこんなに歴史を知っている?
「ん? あぁその予言見ました? よくできてますよね? エヘへ」
後ろから来たシャイミールがこちらを見ている。見ていたのはこの予言。つまり、知っているのか?
「シャイミールさん、この文について知っているんですか?」
「えぇ、この文は私が来た時にはもうありました。最初は気味が悪かったので、私の水で消そうとしましたが恐らく【魔法固定】があって消せないんですよね」
⋯魔法固定? また新しい概念が出てきたな。何ですか? 教えてくださいハクア先生!
「ハクアさん、魔法固定というのは?」
「クスノキさん、知らないのです? まぁ、知った所でできる事じゃないので良いのですが、簡単に言うと自分が死んだ事をトリガーに、魔法の永続を約束する制約みたいなものなのです。対象はそれを固定したらそれ以外の魔法が発動できません。もちろん固有魔法もなのです。
この文字は書いた本人がどうしても、例え固有魔法が使えなくなっても伝えたかった事なのです」
自分が死してなお⋯⋯か。ただこれを言うと冷めるから言わないけど、伝えたいのならもう少し分かりやすく書いてくれないかね?
まぁそれを言うとシラケるから─────
「⋯この文さ、もう少し分かり易く書いて欲しいものだな。そう思ってだろ? クスノキ」
「人の心を見透かした様に言わないでくれません? まぁ、思いましたけど」
「やっぱり思ってんじゃねぇかw」とゲラゲラとエドが笑っている。
そういえばエドは探偵だったな。意見を聞いてみるか。
「エドさん、この文をどう思います?」
「ん? あぁ、むかしむかしって言っている事はこれ誰かから聞いた話だろう。神は恐らくムーンの事。
始まりの100年は魔王アリスが生まれた時だろう。
そしてこの謝罪文は、恐らく⋯⋯」
恐らく?
「⋯⋯恐らくもう手遅れだろう」
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