崩壊は水のように
転生した。醜い化け物に、なんでこうなったのかは言うまでも無い。
騙されたのだ、彼がまだ人間の姿だった時に。
唆された、甘い毒に、その後にある地獄に────
「君の力が必要だ。協力してくれるね? 大丈夫さ、これが成功すれば君は確実に元の世界に帰ることが出来る! お互いにとって有益な事しか無いんだよ」
「……分かりました。貴方が約束を守ってくれると信じています」
約束なんて守る気なんてなかった、何かを飲まされた時、騙されたとやっと自覚した。
でももう遅い、自分の体は醜い化け物になっていく。最後の記憶の片隅で声を聞く。
「ハハハ! いいぞ成功だ! やはり転生者は面白い、こんなぐちゃぐちゃにできるゴミを国は保護しようなど勿体ないにも程がある! ムーン等恐れるに足らず! これからは我らディスガイア教の時代だ!」
……知らない名前を知らない奴がなんか言っている。
自分にはもう関係の無いことだ。意識も朦朧としてきた。
アルピスは見た目を取り繕っただけのハリボテだ。中身はこのように虫に食べられて空洞ができている。
そこに巣を作り、内部から壊していくのです。ここで生きている人が気づく時はもう手遅れでしょう。
もう分かっているでしょう? 祭りの名前も隠して何がしたいのか? 全てはここだろう。祭りの日にアルピスは終わりを迎える。
でもどうか、自分が初めて愛した国なんです、住んでも良いと【あれだけの事】をされて【転生者が罪人】なのは知ってるけど、それでも、誰かあの国を救ってあげてください。
それとさっき自分を殺してくれた君。ごめんね、疲れたでしょ? 凄かったよ、君も転生者なんだろうね。
これから歩むのは地獄の道だ。それでも自分を殺してくれてありがとう。
願わくは君の人生の最後が、とても幸せでありますように……
◇◇◇◇◇
「はぁ…はぁ……なんとか塵になりましたね」
…本当に疲れた。右腕がお釈迦になってしまった。本当に何だったんだろうか?
チリになっていく死体を見ながら、俺は少し考えていた。
特に言葉にすることも無いこと。あれはなんだろう? と少し経つと化け物の死体から何かが出てくる。光る、アクセサリーかな?
「……これは一体───え?」
……そうか、そうですか。これがその答えか、だから【アレは】
「クスノキさん、大丈夫なのです?」
ん? おお! 何の役にも立たなかったハクアじゃないか! アルジェンティとは楽しかったかい?
「ハクアさん、お怪我はありませんか?」
「私は大丈夫なのです。クスノキさんの右腕が……申し訳ないのです」
まぁこの怪我は浄化を使えば治るんだけど、とりあえずは危機は去ったと言っていいだろう。
「それでクスノキさん、ひとつ聞きたい事があるのです」
「? なんでしょうか?」
「この空間をクスノキさんは、固有反転と言っていたのですが、本当なのですか?」
「えぇ、私は他の人間の固有反転を見た事があります。今回もそれと同じ雰囲気があります。同一と言っていいでしょう」
「……」と、ハクアの顔が真っ青になる。なんなんだ一体、別にクーラーとかもないからそんな要因は──────
「……これがさっきいた怪物の固有反転なら、もう【こわれる】気がするのです」
「───あ」
その瞬間、床が崩壊する。そこから水があふれでていた。違う、少し勘違いしていた、固有反転は【水の中】でも使えるのか!
つまり最初からここは水中。そこに固有反転を使って陸地を作っていたのかあの化け物は。
「ガバババ」
やっばいまだ溺れる。ハクアももがいているけど二回目はキツいか…最初に助けてくれたのも恐らく固有魔法だろう。
ヤバいまた息が……
「見つけた! クスノキ! ハクア!」
水面をボートが渡ってくる。何とか助けに来てくれたらしい。
エド達はずっと探してくれていたのか。
その後俺たちは三人に救出されて、五人全員怪我なしで合流することが出来た。
次に目指すはパイプ室、それはもう既に目の前に迫っていた。
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