散るは落葉の如し
朝投稿しましたが、保存してなかったのか半分くらい消えていたので、再投稿です。
魔物はついに本気を出す。
俺の事を餌から天敵へと認識を変更した。こうなったら厄介だ。だからこそさっきの爆暴拳でケリをつけたかったんだが……
”固有反転 迷子は誰”
魔物が使う固有反転は実にシンプル。
シンプルでありながら凶悪な【過去のトラウマを呼び起こす能力】
だからこそ、俺の目の前にはこいつがいるんだろうな。そうなんだろ？
「……久しぶりですね。シロ」
「グルルルル……」
やっぱり…まだ足がすくむな、そう簡単に食われ続けたトラウマは消えるものでは無いですか。
「グゥァ！！！！」
うぉ！？ 噛んできた。地面に歯型がついている。つまり幻じゃない、現実だ。
これが固有反転…改めて本当に何でもありだな。
ん？ そういえばハクアもここにいるよな…って事はこのトラウマの餌食に─────
「宿題を！ 掃除を！ パーティーの準備が！ 早寝早起きを！ 足が開いてる！ ちゃんと笑って！ 王女なんですから！」
「ひえぇ！ アルジェンティがなんでここにいるのです！？ やめてなのです！ 助けてなのです！」
……大丈夫そうだな。さて俺はこっちに集中しますか。
さぁ久しぶりにダンスをしようぜ！ シロ！
「いきますよ！ ついてきてくださいね！」
「ァァァァ！！！」
……楽しい。あぁ最近だ、この感覚が分かってきた。一秒後には自分が死ぬかもしれない、そう思うとゾクゾクする。
死ねない、死にたくないのと死ぬかもしれない現実がぶつかり合ってアドレナリンがドバドバ溢れてくる。
そしてその時の俺の顔は─────
「ふふ、あはははは！！！」
「オバエ！ ナンデワラッデ」
ほら見ろ！ あの化け物でさえ俺の顔を見て驚いている。酷い悪鬼のような顔をしているんだろうな。
いいね、いいよ。さぁもっと戦おう、全てを出し切ってミイラにさせてくれ！
シロの手が俺の顔に直撃するが、スレスレで避けた。
…かすったか、いいね。そう来なくっちゃ。
ならこっちもそうあるべきだ。相手はシロの形をした人形。であれば慈悲などいらない、ただの殺し合いだ！
「フォールアウト 落葉展開！」
フォールアウトの刃が赤い血のように変化する。てかこれ俺が適当に言っているだけだから、それにフォールアウトが応えてるのよな。
まぁいいや。攻撃じゃ！ 血の雨を喰らえ！
俺の斬撃がシロにぶつかる。ザクザクと刺さって、少しづつ白い毛皮に血の色が入っていく。
やっぱり偽物だな。シロならこんなのひょいひょい避けるぞ……多分。
ん？ これが俺の奥の手かって？ いや違う。奥の手はあの化け物に当てる。
今も笑ってこちらを煽っているやつにね、ぶち込んでやる！
だがその為には準備が必要だ。まずこのシロとどうにしかして距離を離したい。
……ハクアは、
「いやー！ クスノキさん！ アルジェンティが増えたのです！ 分身の術なのです！」
……使い物にならんな。だとすれば俺が何とかするしかない。
じゃあここで使いますか、あれを…
俺は鎧からノートを一枚取り出す。知っているだろう？ 未来日記だ。これ未来を見るにしては融通が利かないし、勝手に文字が書かれるはでうんざりしてたが、ちゃんとした方法があったらしい。
ムーンに聞いたが、これは持ち主の想像を汲み取るらしい。俺がいつもネガティブだから、最悪の想像ばかりするから未来が決定するらしい。
だからこそ、ポジティブにいこうじゃないか！
未来日記に文字が書かれる。どうせ【クスノキ死亡】とかだろう。そんなものはねじ曲げてやる。
未来は意外と簡単に変えられる、靴下を右から履くか左からでも簡単に変わってしまう。
そして未来日記はこれを強制的に変える代物だ。
文字が変わる【クスノキ勝利】に、未来日記が告げる絶対の裁定が覆った。
俺に勝利の女神が味方する。大きくシロの爪が地面にあたり、床が陥没した。ほんの数秒の足止め、だがその数秒がほしかった！
「終わりにしましょう！ 迷子の子供は家に帰りなさい！」
狙うのは本体、固有反転の使い手を吹き飛ばす。
ただ爆暴拳じゃ、恐らく無理。何発も必要だ、その間にシロが後ろから俺に噛み付いてくる、一撃で決め無くては！
「浄化発動！」
そう、ここで浄化を発動させる。さっきの爆暴拳の応用だ。あの最後の魔力の暴走に浄化をプラスする。
すると当たった場所から染み出た水のように、相手の身体に浄化が侵入する。
するとどうなる？ 答えはこうだ！
「あなたの負けです。体崩拳！！」
俺のオリジナルの拳が化け物に当たる。
頼む！ これで……終わってくれ！ 死んでくれ！！
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