最後の切り札
さて、戦闘開始だ。ハクアは逃げたし、気づかれていなそうだ。まずは相手の出方を見ている暇は無いのでこちらから攻撃!
「一閃!」
俺のフォールアウトの斬撃が化け物に当たる。
はい、ノーダメージ。だろうなと思ったよ。固有反転使える奴に通じると思ってなかったもんな。さてと、では相手のターンだ、固有反転がどう来るか────
~少し前、プリスとの特訓の日々~
「そういえばプリスさん、固有反転って結局何なんですか?」
「……あー、実際言葉にすると難しいですね。簡単に言うと【領域内の物語を落とし込める】といいますか…なんと言うか」
俺はプリスに聞いていた。アリスの固有反転はよく分からない、時間が遅くなったり早くなっていた。
アルグワの固有反転は直ぐに消えてしまったからどうなんだろうか?
「…落とし込める? どういう事ですか?」
「分かりやすくいいましょう。そもそも固有反転の中では確実に使用者が有利になります。
『例えそれが効かない生命でも、領域内では話が別になります』
例えば…雷の固有反転があったとして、普通の人間が入れば感電死しますよね? でも全身が絶縁体の人間が領域に入ったら、感電しないのかと言われればNOです。例え電気が聞かない体質でもそこでは生身の人間として扱われます」
えっ? そんなのさ使った者勝ちじゃん。なんでみんな使わないんだろうか?
「プリスさんは固有反転を使えるんですか? 使った者勝ちなら会得してそうですが」
「そりゃあもちろん、ですが私のは特殊なんですよね。実際に見せられません。それに魔力の消費も激しいし、領域内では固有魔法が領域と言うので現れているので、使えませんし。メリットばかりじゃ無いんですよ?」
ほへー、なるほど。よく分からん。でもメリットの方が多すぎるよな。自分のように使えない人間か戦う時はどうすればいいんだろうか?
「プリスさん、もしも私が戦う相手が固有反転を使って来たらどうすれば?」
「まぁまず【使われる前に殺す】これが鉄則。そしてもしも使われた時は、一番現実的な方法がこちらも固有反転を使って弾き飛ばすですが、あなたは使えませんもんね─────」
「…悪かったですね、落ちこぼれで」
「────だとすれば、固有反転のメリットは飲むしかないですね。自らに枷をつけて戦って下さい。
あっ、因みに領域内から逃げるとか考えないで下さいね。不可能じゃありませんが、ほほ無理ですし、それができる実力差があるのなら殺した方が早いです」
「………」
「ふふ、そう落ち込まないでください。これから貴方に1つ技を教えます。これがあれば固有反転を使われてもいい勝負ができるでしょう。それは────」
そうやってプリスは俺にある技を教えてくれた。今まで使う機会はなかったが、ここだろう。ここで今使う時だ。
探偵事務所を巻き込んだのは俺だ。だからこそあいつらだけでも無事に返す!
さてどう来るか、固有反転の見た目はコンクリート。現代風なトンネルが後ろにある。なんだ、これはどんな心象風景だ?
固有反転とは自分の心そのもの、自分にとって、トラウマや大好きな場所、夢などが現れる。この化け物にとってなぜここが固有反転として現れる?
「アウ、オカァザン イッジョ」
は? 喋ったかいま?
「クスノキさん、後ろなのです!」
「!? いつの間に後ろに! フォールアウト 妖精展開!!」
あっぶねぇ! なんとか空を飛んでかわしたけど、俊敏差が半端じゃないな。俺が少し油断したら一瞬で背後を取りやがった。
やっぱり固有反転使う奴は油断しちゃいけないな。やっぱり攻撃するしか────は?
「……いない。どこに行きました!」
「クスノキさん! 真横にいるのです! 見えないんですか!?」
「真y───ぐはっ!」
「クスノキさん!」
大丈夫! 壁まで吹き飛んだよ。痛た、この壁本当にコンクリートみたいな感触だ。恐ろしいな、この世に存在しない物質を作れるのか。
そして、まぁわかっていたがこいつ【転生者】か。なんでこんな化け物になってんだ?
化け物に転生者がはいったのか、転生者が化け物になったのか……きな臭いな。
「アウ、マダ、ガエレデナイ」
また、喋った。つまり攻撃が来る! てかもう居ない!
「クスノキさん! 真下です!」
「…やっぱり見えませんね。ですが下から来ているのなら下に攻撃すればいいだけ! フォールアウト 崩落展開!」
うん、感触はあるな。当たったというな。…実態が見えたがやっぱりノーダメージだな。
…やっぱりあれしかないのかな? うーんでも成功したことないんだよね─────
~またまた一ヶ月の特訓の時~
「それでご主人様、あなたの問題は固有反転だけではなく、フォールアウトもですよね?」
「……と言うと?」
「貴方の斬撃、弱くないですか? 私の元武器、フォールアウトを使っているのに、私でも片手で握りつぶせるぐらいの薄氷みたいな斬撃です」
悪かったな。こちとら元平和な国にいた人間なんだよ。俺だって戦いたくて戦ってるわけじゃない。でも戦うしかないから殺し合いをしているんだ。
……てかフォールアウト君のなの? 返す?
「プリスさん、フォールアウトお返しします?」
「……別にいらないです。もっと修行をすればフォールアウトでも戦えるようになるでしょうが、いまはそうは行きません。たった一ヶ月しかありませんから。
なので貴方には私が考案したフィジカルの攻撃方法を会得してもらいます」
嫌な予感。どうせ、私が攻撃するから見て覚えろ系だろ? この人、感覚派だから痛いんだよなー。
「では始めましょうか、さてご主人様に教えるのは拳を使った技。時に、相手を殴る時に何が重要だと思いますか?」
「……それはスピードや筋肉の問題では?」
「あー違います。正解はインパクトです。喧嘩が弱い人間はこれをわかっていない奴が多い。ただ力を入れ続ければいいわけじゃない。緩急です、これは力だけでなく魔力にも同じことが言えます。貴方、魔力を腕に集中させて拳を打ち込みますよね?」
「(やっばい、初耳だ)……えぇそうですね」
そして、プリスは拳に魔力を込める。あぁそうか、ここから俺に……ですか。
「魔力を拳に込めて当てても、相手の魔力が防壁の役割をはたしてそれほどダメージは与えられません。なので当たる瞬間魔力を爆発させるんです。すると拳の攻撃とは別に魔力による攻撃が相手に百%ヒットします。さぁやってみて下さい────」
ってことが起きていた。時は今に戻る。つまりこれを成功させなきゃいけない。
俺が殺されればつぎはハクアだ。そしてその後はエド、最後にはアルピス全体が危険になるかもしれない。だとすればここで殺すしかない、楽にしてあげるしかない。
集中しろ、魔力を拳に込めろ、一瞬の隙も見逃すな。相手がおおきく振りかぶり、腹が無防備になった瞬間! ここだ、俺の成長をこいつに見せつけろ!
その拳の名を─────
”爆暴拳”
───俺の拳がヒットする。その瞬間魔力の暴走が起こり、相手の体の内側から俺の魔力が溢れ出る。+の魔力しか持ってないから威力は下がるらしいが、それでも相手は口や鼻から煙を出して立ちすくんでいる。
だが足りないか……まだ相手はやる気のようだ。こちらを睨み、臨戦態勢になる、本気モードのようだ。
いいぜだったら見せてやるよ! こっちも本気の本気、最後にして最強の切り札を!!
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