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永劫回帰は夢を見ない  作者: ユナ
涙花寵愛編
149/274

誰かの物語

あらすじ なんか溺れた


ゴポゴポと音がする。これは口から出る俺の空気。

あぁそうか、俺は今溺れているのか。体に力が入らない、終わりか。短い命だったが…楽しかったな。


「でもそうなのかな?」


…何だ? 今どこから声が? 違う。これは俺の者なのか? いやこれは【誰の記憶】だ?


◇◇◇◇


「そうなのかな? って何だよ。天国があるかどうかの話だろ? 無いって言って何が悪いんだ」


「そうだね。ごめんね、でもさ少しつまらない感じがしちゃってさ」


放課後、夕日に照らす教室で男女二人喋っていた。これは誰と誰だ?

だが何故だろう? この二人を見ていると安心する。まるで友達みたいだ。


「つまらないって? 今まで死んだ人間が天国にいくのなら今頃ぎゅうぎゅうだろうよ。逆にお前はそんな所に行きたいのか?」


「うーん、行きたいかどうかと言われると行きたくないけどさ、天国が無いのは悲しいかな。君も私もこんなに生きている。もちろん私達より年上の人はもっと苦しんで生きている。なのに、生まれて、苦しんで、苦悩して、別れて、泣いて、その先が暗いなんていくら何でも悲しくない?」


…俺は転生した。あれを天国というのだろうか? おじさんがクネクネしていたが、それでも苦しくは無かった。じゃあ天国はある─────


「それだよ、それが気に食わない」


「何が気に食わないの? いいハッピーエンドだと思うけど」


「天国は罪の無い人間が行くんだろ? そんな人間なんかいない。人間どれだけ聖者だろうと、一つは罪を犯している。動物を食べ、生命の命を自らの糧にする。

他の動物もやっている事だが、それでもそれは悪だろう。己の為に他の命を食べる。それが悪じゃないなら何が正義かも分からないからな」

「…それぐらいは閻魔様も把握してるんじゃないかな? 地獄でも食事をするだろうし」


…これは本当に何の記憶だ。特に女性の方、俺は確実に見た事がある。何故だ、何故思い出せない? 頭の中から引っ張りだそうとすると、何かがそれを邪魔する。

なぜ、思い出そうとすると、こんなに頭が痛くなるんだ?


「誰…仲間…あれが…始ま」


頭が…痛い。


「じゃあ、さ」

「殺してみ」

「ヒーロー」

「明日を」

「救っ」


頭が…ダメ…だ意識が…朦朧と、、


「そうでしょ? ねぇ、魔王アリス」


◇◇◇◇


「クスノキさん! 大丈夫ですか!? 今水を吐かせます!」


「ゲボ! ゲボ!」


「あぁ良かったです! 意識が戻ったんですね! 死んでしまうかと思ったのです!」


「……ここは?」


目の前にいるのは、ハクアか。確か、俺が溺れたからもう一人水に飛び込んだことは覚えていたが、君だったか。

うぷっ。水がまだ胃に大量に入ってるな、見た所陸地があって助かった……これは助かったのか? なんだここは?


「…ごめんなさい、クスノキさん。ここからは地獄かもしれないのです。帰ったらアイリスに問い詰め無きゃ行けないのです───生きて帰れたらの話なのですが」


よく分からない通路。それが第一印象。そして次に地面を触って絶望する。

これは……コンクリートだ。


「ハクアさん、コンクリートって知ってますか?」


「コン…なんて言いましたです?」


───知らない。つまり、これはアルピスも知らない人工物という事か?

……一か八かだな。鬼が出るか蛇が出るか、行ってみないと分からないか。


「進みましょう、ハクアさん。何かあったら私が守ります。助けてもらった恩も返したいですし」


「…そんな恩なんて、本来ならこの問題は……いえ、もう隠している場合じゃないのです。クスノキさん。このアルピスでもう少し経つと祭りが開催されるのです。それかご存知ですか?」


「……えぇ、名前は知りませんけど、大きな祭りとはアリエルさんから聞きましたよ」


「祭りの名前は■■■■祭と言います」


「……何て? ごめんなさい。耳に入らなかったというか、ノイズが入ったというか」


「…やっぱり名前が聞こえないんですね。先生にも名前が聞こえていません。聞こえるのはアルピスで生まれた人間だけです」


…どういう事だ? なぜ祭りの名前を隠す必要がある?この国は何を隠している? 恐らくムーンも知らないだろう、あれば言ってくるだろうし。

まずい気がする。おそらくこの先だ。この先に答えがある、何か黒い奴がいる。


「ハクアさん、祭りの件は後で考えましょう。今は進むべきです。おそらく勘ですが、この先に答えがある気がします」


「…分かったのです。フォローは任せて欲しいのです。急ぎましょう」


俺らは通路を進む。進まない方がいい、場所をスタスタと進む。良くあるだろう? 心霊スポットとかに行くと途端に足がすくむあれ。

あれとは恐怖のレベルが違うが、本質は同じ。帰りたいと心の底から思えてしまうほど、目の前には虚無しか無かった。


「…ハクアさん、あなたは引き返した方がいいかもしれません。少し経てばエドさんが迎えに来るかも───ハクアさん?」


「……クスノキさん、さっきまで私たちがいた場所が……ありません」


そんな訳!? …本当に無い、いやさっきまで確実に出口はあった。つまり出口が無くなったのだ。

こんな感覚を俺は知っている。ついこの前魔王にボコボコにされた時展開された。固有魔法を極めた者が使うもの。

これは…固有反転だ。


───認識が甘かった。あっても危険生物だと思っていたが、まさかこんな……



~一方エド達~


「クスノキ! ハクア! 返事しろ! いなくても返事しろ!」


「いや、いないのにどうやって返事をするんだよ」


そんなコントをしている場合じゃないが、エドたちはボートを使って二人を探す。

幸運にもギアルがいるので、あそこから流れ着いた場所を、虱潰しに探していく。


「カゲ、見つからないか? このままポンプ室に行った方がいいのか? ギアルの予想なら、ポンプ室当たりにいる可能性が高いんだろ?」


「……確かに、その可能性が高い。だが、そう簡単な問題じゃないかもしれない」


「どういう事だ?」


「エド、君には言ってなかったが、私が君たちに着いてきたのには理由がある。最近この場所で奇妙な噂が流れ始めていてな。排水量が低下しているのも、全てこれに関係しているのかもしれない。……いやもしかしたらこれが原因なのかもしれない」


「……その噂ってのは?」


そしてギアルは口から告げる。その噂を─────


「ハクアさん、離れて下さい。こいつはまずい。出来る限り、隅に入って、早く!!!」


「は、はいなのです!」


────その噂は本当だった。ほんの少し前から言われていた、”アルピスに何かが住み着いている”という噂。

黒く、爪が生えた、大きく、くまのような、竜のような、化け物で、おぞましい、怪物がそこにはいた。


「あれは…一体? アルピスが汲んだ海の水を片っ端から飲んでいる? あれが原因? いやそれにしては……」


「(こっちを見る)ヴァァァァ!!!!!」


「!? バレましたか! では戦いましょう! やっぱりどの国でも戦うことは避けられないんですね!」


またもや始まった、怪物との戦い。また俺が負けると思ったか? いいぜ、見せてやるよ。俺がプリスにボコボコにされた一ヶ月の修行の成果を見せてやる!!

読んでいただき本当にありがとうございます!


最初は涙花寵愛編は戦い無しの明るい章を目指したのですが、やっぱりダメでした。


星を増やしてくれるとありがたいです。


面白かったと思ったらブックマーク!


感想やレビューもお待ちしております!


星ももちろん大歓迎!


具体的には広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★にね。


そうするとロリのやる気が上がります。

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