ここに来て新たな仲間
???「えっと、ここもかな? あれここもバグってる! あーもうつまんなーい!」
~排水制御室~
ボートでなんとか道を下り、一つ目の場所につく。
ここは文字通り、排水をする場所だ。ここに問題があれば一番楽で帰れるんだが、そうは行きそうもない。
だって、人がいるんだもん─────
「あっれー? ここに人が来るなんて珍しいねー! こんちゃー!」
───あぁ、こんちゃー。またパリピだ、流行ってるの? この性格。
帽子をかぶって金髪長髪の技術士、さてさて、味方だといいんだがね。あと、女性が多いな。
「おや? ギアル殿ではござらぬか! 今日は休みと聞いたのでござるが」
「あっ、カゲもいるんだー。いやー本当だったら休みなんだけど、いきなり出勤命令がでちゃってね。困ったもんだよ」
名称―ギアル
年―17
性別―女
特技―機械いじり
好きな物―油
嫌いな物―スポンジ
ふーん。役職はこの部屋の管理人らしい。本来はもっと上の立場だったが、やらかしにやらかしまくって降格処分になったという事。
ただカゲ曰く、これで降格になって居るだけなのがギアルの価値らしい。彼女が居なくなったら、アルピスが崩壊する恐れがあるほどなのだとか。
ホントなのかな? と俺は疑いの目を届けるが、彼女の興味は既に俺たちからボートへと写っていた。
話しかけても無視だ。エドいわく話しかけても無駄らしいので、興味が失せるまで待つしかないか──────
~王宮~
少し時は戻り、アリエルとニャークルの二人は、今日はプリスの所にきて勉強をしていた。
勿論、ニャークルは監督役、勉強の餌食はアリエルだけだった。
「あぁ〜なぜじゃー。なぜ、今日も勉強なのじゃー」
「アリエル様、何を言っても終わらないのにゃ、あと九十ページ終わらなきゃ明日は倍になるのにゃ」
「倍は嫌じゃー! じゃが、九十ページも嫌じゃー泣」
プリスは欠伸をしていた。アリエルの疑問にはニャークルが答える。そしてニャークルが答えられない物をプリスが答える。つまり、殆ど質問がこちらには来ない。
欠伸をしても仕方ない程、アリエルの泣き言はプリスの心に全く響かなかった。
だがそんな中、眠気が覚める会話を聞く。
「アリエル様。早くしないと祭りが来てしまうのにゃ、あの楽しい中、王宮で外に出れず勉強は嫌でしょうにゃ?」
「うぅ、それはそうじゃが。あーじゃが、新しく出来た友人と祭りを回りたい! うぅーやるしかないのじゃ」
(へぇ、祭りがあるんだ)とプリスは少し笑う。思えば、エレシュキガルにも時期が合わなかったが、開国祭のようなものがあるらしい。
二人の言動から、祭りの時期が近いという事だろう。どんなことが気になったので、プリスは聞いてみることにした。
「アリエル殿、勉強の途中に申し訳ありません。今【祭り】と言っておられましたが、祝祭でも?」
「ん!? そうじゃった! 旅のものは聞かぬよな。アルピスは一年に一度、海に感謝する祭りがあるのじゃ。
ワシらの住処も、食事も全て海からの贈り物。であれば、感謝するしかあるまい?」
「へえ、そうなんですか、それは楽しみですね。因みにその祭りの名前は?」
「■■■■祭じゃ!」
「なんて? すみません聞こえなくて」
「じゃから■■■■祭じゃ」
プリスの頭に? が浮かぶ。何故か祭りの名前が聞き取れない。そこだけ黒塗りされたかのように、言葉が濁っている。
プリスは濁してニャークルに聞いてみる。
「そういえばニャークル殿もその祭りが楽しみなんですか? あのえっとなんと────」
「にゃあ、■■■■祭にゃ。楽しみも何も、この国に生きるものなら全てが楽しみにしている祝祭ですにゃ」
やっぱり聞こえない。何故かそこだけ聞こえない。
見た所魔法などは見当たらない。
(なぜ? なぜあの祭りの所だけ聞き取れない? 認識阻害か? いや私も元【聖王】だ。まぁ、私のことを知っている人間がほぼ居ないから称号なんて無いに等しいが。
それでも、なぜ隠す? この国の外の人間に知られると困るのか? なぜ誰も【違和感を感じない?】いや、感じない事が、この魔法の必要条件なのか? これを使った奴はどのような意思でこれを?)
「───プリス? どうしたのじゃ? そんなに困った顔をして、祭りが気に食わなかったか?」
「ん? いえいえ、そんな馬鹿な。ですが最後にひとつ、その祭りの【文字】を書いてくれませんか? その意味も知りたいので」
「なんじゃ、それならお易い御用じゃ。えっと───うむ、これで合っているはずじゃ」
プリスはそれを見た。ニャークルも同意している、つまりこれが真実なのだろう。
(これは困ったものだ。ただの平穏な国かと思っていたが、まさかこんな所に切り札があるとは。この台風の目にいる人間はものすごく慎重らしい)
文字にはこう書いてあった────■■■■祭と。
まだこれが分かるのはもう少し先だが、少しづつアルピスに魔の手が近づいている。それを知るのはもうすでに手遅れになったあとかもしれない。
場所は排水制御室に戻る。
「ふむふむ……ほう。ここがこうなって、カゲ意外と凝ってるじゃーん!」
……まだ? もう二十分なるんだけど、流石にそろそろ我慢の限界だ。
「あの、ギアルさん。そろそろ終わってくれませんか? 私達暇では─────」
「うん! いいね。良い改造だと思うよ。そしてカゲ、このボート【五人乗り】になってるけどそういう事でいいの?」
えっ? そうなの? 確かに、少しスペースがあるなと思ってたけど。
「…流石でござるな、ギアル殿。そこまで辿り着いたと言うことは拙者の願いも分かっているはず─────」
「うん、だいたい想像出来る。私について来て欲しいんでしょ? 貴方たちは最初に排水制御室に来た。でもね、一番簡単な道のりなら最初にパイプ室に行くはず、それでも貴方達は行かなかった。いいよ、その掛けに乗った。私も着いていくよ、面白そうだし!!」
……マジで? ここに来て新しい仲間か。確かに、この問題を調べるにしても、専門家もいないんじゃ見つけても気づかないか。
仕方ない、席が狭くなるが寛容になるしかない。
「ではよろしくお願いします、ギアルさん」
「こちらこそ! えっと、クスノキさんでいいのよね。この度に同席させてもらうわ!
さぁそうと決まったら行くわよ! まずはパイプ室! そこに辿り着くよ!」
思えばここからだろう。俺たちの旅がとんでもなく過酷になったのは、流石にここでは二人が【行方不明】になるなんて想像もつかなかっただろうに…
ギアル「さぁ行くわよ! この国を救うために!」
カゲ「そういえばギアル殿、お主が排水制御室でやってた問題は解決できたのでござるか?」
ギアル「あっ───さぁ! 行くわよ!」
カゲ「ほ、本当に大丈夫でござるか!!?」
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