誰? このトンは
ほかの小説見てると思う。うちの登場人物って結構イカレてるんだなと。
天神 ディスガイアと言葉を言われた時に大きく扉が空いてアリエルが俺を連れ出した。
腕輪は置いておいたのでここからの会話を俺は聞いていない。
【アリス、まだ居ますか?】
『いるぞ。これからどうするつもりだ? クスノキにかけるか? それともまだ足掻くか?』
【足掻きますよ。クスノキさんにこれ以上重荷を背負わす訳には行きませんので。なぜ彼は足掻くのですか? もう私とアリスで事足りるんですよ?】
ムーンには人間の事が分からない。力が足りない者がどうして足掻くのか。なぜ神に頼らないのか、全く理解出来なかった。
アリスは何も言わない。それはムーン自体が気づくべき問題だからだ。
いつか、誰かが薄氷のようなムーンの心を動かしてくれるお人好しがいるはずだ。
アリスでは無い、誰かがいつか、必ず。
『ムーン、話は終わりか? 切るぞ?』
【アリス、今後あなたはどうする気で?】
『今から涙王に会いに行く。取り繕ってくれるか分からんがディスガイアの味方かも知りたいからな』
【シャイミールですか。彼女は味方だとは思いますが、幸運を祈ります。この世界を救わないと私も貴方の目的も叶わないんですから】
『……分かってるよ。じゃあな』
アリスとの通信が終わり、ムーンにどっと疲れが襲ってきた。今すぐに休みたいが、俺との話がまだ終わっていない。
ムーンは自分の腕を見る。手には青と赤の線、血が巡る高速道路がある。やはり、人間なのだ。
【ディスガイア、貴方は私が殺す。絶対に私とアリスで終わらしてみせる。これは私達が主役の物語なんですから】
ムーンはそう決意して俺を呼ぶ、まぁ少しアリエルに絡まれて直ぐには行けなかったが、まぁ顔が晴れたようでよかった。
【クスノキさん、もう一度だけ聞きます。本当に世界を救うつもりですか?】
「勿論です、今更止まれないでしょう。友人から託されましたからある願いを」
【そうですか、現状アルピスは私が支配してます。『ある問題』を解決してくれたら貴方に全面的に協力をすると約束します】
俺は首を傾げる。なんでそんな試験みたいな事をする?
「何でそんなことを、貴方自身で解決すれば─────」
【うるさいですね、黙って聞いてください。アルピスにはある危機が迫っています。
この国はあるタイミングで地上にあがり排水をします。ですがその量が日に日に少なくなり、このままでは国の中に水が溢れアルピスは崩壊するでしょう。貴方には放っておけない問題では?】
全く分からない。さっきまで何もしなくていいって言っていたやつがいきなり問題を放り投げて来やがった。
ムーンには解決出来ない問題? そんな問題を俺が解決できるとは思えないが、こんな所で諦めても意味が無いか。
つまり受けるしか無いと─────
「分かりました、その問題を私が解決すればいいんですね?」
【……えぇ、そうすれば私は貴方の力を信じて協力します。ですが問題を解決出来なかった場合は私の補佐官になり、アルピスに永住してもらいます。仕事には困りませんよ?】
────なるほどね。回りくどいやり方を。永住するのは困るな、スプラッタ王国にもエレシュキガルにも会わなきゃ行けない奴がいるんだ。
それに、願いを託した理不尽な狼の事もある。こんな所で終われない!
であれば早速行動だ! と俺がムーンにお礼を言って退出しようとした時。
【あっ、クスノキさん─────】
「なんですか? まだ何か用事でも?」
【───────あっ、いえやっぱりなんでもありません、頑張って下さい】
「?…それでは失礼します」
この時ムーンが言おうと思ったのは罪滅ぼし、勝手にシロを転生させた事をまだ俺には言っていなかった。
この時ムーンはこの事実を言えなかったことを、後で死ぬほど後悔するのだが、それはまだ誰も知らない話。
───────
さてと、アリスの腕輪も回収したし、とりあえす問題解決に向けて動きますか。
当たり前だけど俺一人じゃ、問題なんか解決出来ない。恐らくムーンは解決出来ないことを分かっている。だからこそ堂々と俺に問題を出してきた。
幸運なのは「1人で解決しろ」と問題文に書いてなかった事だ。
さて、頼るか、あの探偵事務所を──────
~なるとかなるだろう探偵事務所~
────相変わらず変な名前だな。今回はハクアがいない、つまり依頼があるのか? いや……寝ている可能性があるか、とりあえず入ってみよう。
チリンチリンとベルが鳴る。いつの間に取り付けた? 俺の王金貨かな? 豪勢に使いなさいよ。
トコトコこちらに歩いて来た奴がいる。まぁあいつだろう。
「こんにちは、今はお客さんがいて───あっ、クスノキさんなのです! お久しぶりなのです!」
「お久しぶりって、まだ別れてから一日も経っていませんよ? ……お客さんがいるんですね。ではまた今度」
「いいぜ! クスノキ入れ!」と奥の扉の先からエドの声が聞こえたので、入るか。
……なんで少し嫌な予感がするんだろう? 帰った方がいいのかな?
「先生が言うのならどうぞなのです! さぁさぁ、今日は前はいなかった三人目のメンバーもいるので賑やかなのです!」
そういえば言ってたな三人組って……言ってたか?
また綺麗な廊下を歩く。相変わらずここだけは綺麗なんだよなー。
更にひとつある扉を開けるとはい、紙の山……とも思ったが少しだけ片付いているな、あとは少しの金属音。
顔は見えないが、あそこで機械いじっているのが三人目だろう。後で自己紹介するとして、エドと話そう。
「エドさん、今回は─────」
「あー、まてお前も依頼だろう? 残念だが依頼が溜まっていてな。
そんな顔すんな、取引をしよう。今回の依頼、お前もメンバーとして手伝え。そしたらお前の依頼をこのあとすぐに解決すると約束しよう」
……それでいいのか? 『どうせ猫探しとかだから大丈夫』? ならいいんだが。
まぁ俺からしたらメリットしかないから良いんだがね。
「エドさん、その依頼とは?」
「おっ、食い付きがいいな。そう来なくちゃ。今回の依頼はちと厄介でな。人が欲しい、そしてお前は子供だから怪しまれない。うってつけの人選だ」
なるほどね。そしてエドの前にいる奴が依頼人か。凄い太った貴族みたいな人だな。
「ではエドさん、目の前にいる人が?」
「あぁこの人が今回の依頼人のトンさんだ」
「だから! トンじゃねぇよ! ポンって言ってんだろ!? 太ってるからか? 豚だからトンか?」
───面倒くさそうな依頼だな。
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