選択と後悔
ややこしいので。
【】←ムーン
「」←クスノキ
『』←アリス
【クスノキさん。悪いことは言いません。この魔王とは縁を切るべきです】
『クスノキ、この女神とこそ縁を切る事だ。友人はしっかり選べ?』
……二人して毒親みたいなことを言いやがるな。俺からしたらどちらの味方になってもいいんだが、それだと後々めんどそうだ。できればどちらにも協力しない第三陣営でありたい今日この頃。
だがそれでも一つ聞かなきゃか─────
「貴方たちは世界を救う気はありますか?」
【えぇ! もちろんありますよ?】
『救済という点では救うという枠に入るかもな』
なるほどね。ムーンは救う気はあるけど手段はなんでもいいタイプ。アリスは救う気は無いけど、結果的に世界を救うことになる感じか。
本当にどうでもいい、どちらになろうが俺は俺だ。だから選択はしない────と昔の俺なら言っていただろうな。
だが俺はもう違う。自分の国と妹を助けるために選択した奴や、娘を助けるために腐王を裏切る選択をした父もいる。
そうだ。選択をしないのは利口じゃない。何かをするのは愚行じゃない。ただ流れに乗ってドブ川に落ちるのを人は天才とは呼ばない。
ここまで生きたんだ。今までの経験で学べ、成長しろ! 俺はもうガキじゃない、救いたい物は自分で見る!
相手が神だろうが魔王だろうが関係無い。俺は最後はハッピーエンドが好きなんだ。
「残念ですが、私はどちらとも協力しません。私は私の方法で世界を救います。選定なんかさせません」
『へぇ、言うじゃん。ただ吐いた言葉は飲めんぞ?』
【この魔王と同じ意見なのは癪ですが、クスノキさん、どういう方法で? 方法のない理想を人は無謀と呼ぶんですよ?】
ムーンの言う通り、これは無謀に近い。だが決して無駄じゃない。無理じゃない。そして不可能じゃない。
世界を選定から救う。つまり簡単に言えば神にこの世界はまだ残すに値するという所を見せなくてはいけない。
ずっと引っかかっていた。そうだ、残すに値すると見せなくちゃいけないんだから、この戦いの主役は俺達三人じゃない。
「戦いましょう、アリス」
『戦う? 俺とお前が? 頭いったか?』
「違いますよ。戦うのは貴方と民達です。貴方がやられた振りをすればこの世界の民が魔王を倒したとして、良い評価を貰えるのでは? ただの茶番ですが、現実的では?」
『───悪くない考えだ。だが九十点という所か? その場合この国の民が戦うのは俺じゃない。勿論ムーンでも無くな』
どういう事だ? この世界の元凶はアリスだろ?
【アリス!!!】
『……やっぱり言ってなかったか。クスノキ、この世界が危機的状況になっている原因は俺じゃない。もっと根本的に終わっているんだこの世界は。そして俺もムーンに聞きたいことがある────お前、【世界の指導権】を奪われてるだろ?』
【そ……それは】
『当ててやろうか? お前はエルフ神国に囚われていた時、天界から全能神ムーンとしてクスノキに助言を与えていた。だが一つ明確な弱点がある。それはお前が【全能神ムーン】である限り、地上に手が出せないという縛りがある。その隙を突かれて違う神にこの世界の指導権を奪われたんだろ?
だから魔王アリスも称号が殆ど失われていた。違うか?』
そうか、ムーンが下に降りてきたのは全能神ムーンではこちらに手が出せないから。
つまり逆説的に言えばムーンが全能神ムーンとして活動している時、errorWorldに手が出せないという事になる。
じゃあ、この世界を今、動かしている神は誰なんだ?
【……その通りです。えぇそうですよ! 奪われました。そいつが今この世界を破壊しようとしています。ただの悪意で、面白くないからという無邪気な感情で。
その名は─────】
その時俺は思い出した。そういえば俺をこの世界に落としたのはムーンじゃない。あのジジイだ。
なんであの時ジジイは俺をここに落とした?
まて、どこからがシナリオだ? どこからが偶然だ?
一体いつからムーンは捕らえられていた!!
【───天神 ディスガイア】
大地が無い。そう読める名前。神にふさわしい名前だ。
この神こそ討伐すべき対象。ムーン、アリスが戦う相手の名前だった。
まぁぶっちゃけるとラスボスですわな。
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