6倍じゃあ!
一時間たっただろうか? マジで誰も来ないな。そんなにここはセーフゾーンなのか。
「そういえばお主は─────」
ニャークルが寝ている時にアリエルが話してくる。
「────旅の者じゃろ? 何しにアルピスに来たのじゃ?」
「…いえ特に、目的等はなく、少し息抜きも兼ねてですかね。前の国もその前も争いばっかりでしたから」
「ふむそうか。ではゆっくりしていくといい、今から二ヶ月後にある祭りが開催される。それ迄は滞在してほしいの」
「二ヶ月はさすがに長いですね」
「そういうな、この王宮に泊まらせてやるからな」
……なんでこんなにも親切にしてくれるんだろうか? 別に俺なんて相棒のオオカミも救えなかった弱い奴だぞ? 助ける価値なんてないに等しいのに。
あっ、てか──────
「すいません、実は私二人でこの国に来たんですが」
「ん? 相方がいるのか、連れてくると良いぞ、一人も二人も変わらん」
そうですか、二ヶ月も滞在するのは少し怖いが、プリス次第だな。
世界の剪定を止めなくてはいけない、それは分かっている。だが、それでもどうやって止めればいいのかも分からない。
そもそも【異世界から来た俺が世界を救っていいのか?】という疑問すら心の中にある。
「にゃあ? にゃあ!!」
その時、ニャークルが飛び起きた。見ているのは扉。
「ニャークル、来おったか?」
「王女様、その通りですにゃ。この足音、この匂い、この歩幅、間違いなく【アルフレッド】様ですにゃ」
誰だ? それは、と聞いてみると、どうやらアリエルの側近でめちゃくちゃ厳しい人らしい。
よく居るよね、そういう人は。まぁこれが王なら厳しくするのも当然か。
扉が開いた─────トコトコとこちらに歩いてきている。
「顔を伏せるのじゃ!」とアリエルに言われたので俺は知らんぷりをしておこう。
側近と言うより執事のような服を着ているな。メガネをかけて髪の毛がきっちりとしている、マジでできる社員みたいな格好だ。
「ニャークル殿、仕事中すまない。こちらに我が王がいると聞いたのだが?」
「いるのにゃ、王女は今日一日勉強を図書館でしていたのにゃ。決して外には出ていなかったのにゃ」
どうやら懐柔はしっかりと出来ていたようだ。アリエルもシメシメという顔だ。バレるぞ、そんな顔していると。
「ニャークル殿、本当に我が王は一日中図書館にいたんだな?」
「い、いたのにゃ」
「そうか───来月のマタタビを六倍にしてやる! もう一度聞く、本当に王はいたか!」
「いなかったのにゃ! 外出していたのにゃ!」
「なんじゃと! ニャークル!? 裏切ったなお主!!!」
──早かったなー、即落ちだった。てかまじでダメダメじゃねぇかこの王様は。
まぁいつかはバレるんだからよく耐えた方だと思うよ。
「さて、我が王の課題を三倍に増やすとして貴方は誰だ?」
おっ、こちらに矢が向いたか。さてこちらをどう切り抜けるか、当たり前に不法侵入だからな。
「あっどうも、クスノキと申します。私は────」
「こやつは! ワシの生き別れの姉じゃ!」
黙っててくれない!? お前の生き別れの姉妹なんて信じられる訳ないだろ。
「なるほどわかった、部屋は用意しておこう」
ほらな────は? 信じられた?
「なんて言うと思ったか? まぁ、お前の素性はわかっている。だからここに来るのが遅くなったんだが、まぁ歓迎しておこう。連れもいるんだろ? さっさと連れてこい」
────意外と話が分かるやつだった!
読んでいただき本当にありがとうございます!
星を増やしてくれるとありがたいです。
面白かったと思ったらブックマーク!
感想やレビューもお待ちしております!
星ももちろん大歓迎!
具体的には広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★にね。
そうするとロリのやる気が上がります。