エピローグ
エルフ神国 滅亡!
たった1夜だった。たった一夜でエルフ神国は全滅した。
発覚したのは少し後、国に戻った商人によって通報があり、今に至る。
犯人は未だ不明、なぜなら証拠は全てアリスの固有魔法で消滅していた。
だが、逆に消去法でアリフの仕業と推理した実力者もまたいたのだった。
~一日後~
アリスはまた同じ宿に泊まり、そして朝異空間に来た。
「くっ殺! くっ殺! 私は屈しない!」
「そうだ! 究極的にこの空間にベットを所望する!」
スピークと唐澤の声がアリスの耳を棘のように攻撃する。
アリスは当たり前のように頭を抱えた。ただでさえうるさい騒音が2倍に増えたのだから。
「そうだ! 究極的にあと美味しい料理を────ブヘェ! ま! 魔王アリス!」
「うるせぇよ! 近所迷惑だろうがァ!」
アリスは唐澤の顔を踏んずける。幸いにも拘束され座っているので蹴りやすい位置に顔があった。
アリスは靴で顔をグリグリしながら文句を放つ。
「クリスプ! なんでこいつ連れてきた! いや、なんでこれだった? もうちょい良いのいたろ!」
「……何の話だが、、それにうるささで言えば生まれてきて間もないお前もこのぐらいうるさかったぞ。それにいいじゃないか──赤ん坊の鳴き声のようで」
「「誰が赤ん坊だ!!」」
スピークと唐澤を無視してアリスはラムダと話す。
「状況は?」
「連れてきた転生者約10名、あなたに忠誠を誓うって言っているわ、まぁ話半分に聞きなさい。そもそも、転生する前まで学生だったのだから忠誠なんて知らないでしょうし」
自我を失っておらず、なおかつこの世界に恨みを持つ転生者。
三人入れば上出来か、と思っていたが十人もいるとは僥倖であった。
知らない音が聞こえる。アリスに向かって歩く足音が、そこには拘束されたエルフがいる。
「よォ! クソエルフ! 元気ねぇな?」
「この! 悪魔がァ!」
アリスは拘束されたエルフの元に行く、彼はこのエルフ神国で様々な作戦を指示していた重役だった。
つまり─────
「おい、はいかいいえで答えろ。ムーンを捕らえ魔力電池にしたのはお前か?」
「貴様に答える義理はない! そもそも!」
エルフの答えの時、アリスはエルフの顔を蹴る。最初から答える気など無いと分かっていたのでお約束の蹴りだ。
はいかいいえで答えてないペナルティも兼ね備えているが。
「アリス、やはりムーンがエルフ神国に囚われていたか」
「あぁそうだとも、クリスプ。こいつらは自分から破滅の道を選んでいた。」
「……愚かな事を。ムーンが今まで活動できていたならマシな世界になっていただろうに」
涙目になりながらエルフは叫ぶ、どうせ死ぬのだからもう恐るものなどないのだから。
「私はムーンを認めない! 始まりの100年の生き残り! 【ただの人から神になった】だと!? ふざけるな! 人間がエルフを従えるな!
我々の神は昔から─────」
アリスがエルフの首を絞める。ギギギと力を入れて、エルフは息ができずかすれ声をだす。
「もういい、もう黙れ。われわれの神だと? あれがいつどこでお前らを救った? アレにお前らを救う機能なんてない。
じゃあどうする? このまま救われるまで待つか? それで、どれだけの生命が! 文明が滅ぶと思っている!! 」
「離せ…外道が…ガバッ!」
「───あぁ、今離すよ。
なぁこの壁は異空間に繋がっている。生身で異空間に入るとどうなると思う?
五感は消え、永遠に歳を取らず、発狂も出来ない地獄が永遠に続く。たとえこの世界が滅ぼうが関係ない。異空間は永遠に消えない」
アリスはエルフを思いっきり壁に投げつける。壁にぶつかったエルフは底なし沼のように壁にめり込んでいく。
声にならない叫びがエルフの口から出るが、誰も言わない。スピークでさえ目を逸らし軽蔑の目を向ける。
唐澤は巻き込まれたくないので口笛を吹いていた。
「何か言いたい顔か?」
「別に…何も」
アリスはスピークを煽るが何も無かった、アリスは少し疑問に思ったが何も言わない。ラムダが資料をみせたことは知らないのだから。
寝坊してきたグリシャが合流してようやく全メンバーが揃った。
今回の殲滅戦はアリスの勝ちだ。だがまだ目的は半分も終わってない。
アリスは次の目的地が決まっている。
「とりあえずラムダとクリスプは待機。グリシャ、ついて来い。涙王に会うためにはお前が必要だ」
「えー、あの引き込もりに会いに行くのか? 確実に会える確証は無いぞ? せいぜい三%ぐらいだ」
「充分だ。涙王、確か名前は───」
”シャイミール・アクアマリン”
アリス達は次の目的地に向かって動きだす。
そしてついに俺もようやく目的地につくのだった。
────────
「着きましたね、本当に1ヶ月近くかかるとは…」
「ねー、ご主人がなんでこんなに疲れているのか分からないですけど、お疲れ様ー」
俺とプリスはようやくアルピスが見えてくるところまで見えた。
まぁ見えたといっても、目線の先に何かあるなーレベル。
着いたと言っていいのだろうか?
「さて、ご主人よ。先を急ぎたいところだがトラブル発生です。右を見てください」
ん? 右? 別に兄弟が魔物に襲われてるだけ…はぁ!? ちょ!
「プリスさん、助けに行かないと!」
「あー無理ですね、ご主人のスピードじゃ手遅れになります。私に命令してくれれば行けるんだけどなー」
「行ってください! プリスさん!」
「はいはい!」
俺の声でプリスは魔物に向かって走る。いるのは狼? のような魔物三体。
少し見てみたかった、【始まりの100年】とやらの実力を。さてどう戦うのか、俺との修行じゃ手や足のフィジカルしか使わなかった─────
「ほあちゃーー!!」
────使わなかったんじゃないんだね。使えないんだ。
聖王なんだよね? あの人。アリスと同じ存在なのになんと言うか、見てて美しくないというか。脳筋の戦い方だった。
魔物が死んでいく。……いつからだろうか?魔物の血を見ようが死体を見ようが何も感じなくなってしまったのは。
元の世界に帰りたいとは思う。だが、俺が帰った所で元の生活に戻れるのだろうか?
その時、「終わりましたよ?」の一言で俺は前を見る。そこには感謝している兄弟とプリスがいた。
兄弟と話をしよう。気を紛らわせる為じゃないけど、少しは気分を変えたい。
「大丈夫ですか?」
「あ、はい。大丈夫です。いや違うな。助けてくれてありがとうございます! 危うく命を諦めるところでした! この音は忘れません」
「……ありがと」
見た感じ兄と妹かな? 随分と似ている双子なのかもしれない。
赤色と青色の髪。 兄が青で短髪、妹が赤で長髪だ。
兄は背が高く、いかにも農民のような服を着ている、妹はメガネをして豪華な服を着ていた。兄弟なんだよな?
「あの、お2人は兄妹ですか?」
「……えぇ、まぁ────そんな事より、貴女方は旅の方ですか? アルピスに寄ってくださればご飯をご馳走しますよ?」
……そりゃあいいね、誤魔化したのは言いたくないのだろう。ならいい、別に俺は探偵じゃない。言いたくない人間から問い詰める気は無い。
日が落ちる前に行こうか、幸い兄弟達は歩くのが早い、正午にはアルピスにつけそうだ。
……誰かおぶってくれない? 全員嫌? ハイハイ歩きますよ!
───────
「えぇ! プリスさんがクスノキさんのご主人なんですか? てっきり逆かと」
「人を見た目で判断しちゃいけないよ? 私のご主人様は夜中になると人を食いますからね」
食わねぇよ。山姥か俺は。
「……食うの?」
「食いませんよ?」
兄にビッタリついていた妹が俺を見て脅えていた。止めてくれ、変な印象を植え付けるのは。
てかそうだ、大事なことを聞き忘れていた。兄に聞いてみよう──────
「あの、すいません?」
「はい? どうしました?」
「そういえば聞いていなかったのですが、あの、名前は?」
兄はハッ! と気づいたような顔をしてお辞儀をする。
「す! すいません、伝え忘れてましたね。
僕の名前は【ギール・ブルースター】妹は「ギーネ・ブルースター」、見て分かると思いますが双子なんです」
まぁそりゃあ髪の部分隠したら見分けつかなくなりそうなくらい顔はそっくりだもんね。
ん? 何か潮の香りがするんだけど?
「あの、ギールさん、潮の香りがするのですが?」
「お、いい鼻をお持ちで。それがアルピスの特徴なんです、さぁ着きましたね!
見てください、これが”水上都市・アルピス”です!」
俺の目の前には【1面の海】そこに塔が1本。
ギールいわく「満潮だから」らしい。どういうことかと思ったら、正午を告げる鐘がいきなり鳴る。すると塔が上がり下から大きな水上都市が出てくる。
コマのような都市は水を排水しながら、俺がいるところに橋をかける。
なるほどね。ギーク達が魔物に絡まれていたのは橋がなくて国に帰れなかったからか。
「さぁ行きましょうか!」
俺はプリスと一緒にアルピスに向かって歩く。ここが次の旅の目的地。見ているだけでワクワクしてきた、次はどんな冒険が待っているのか俺は足を1歩ずつ歩んでいくのだった。
第4章 神国殲滅編 [完]
次章 第5章 涙花寵愛編
読んでいただき本当にありがとうございます!
アリスの物語はどうでしたか? たまにこう言う章もありますので了承を。
クスノキの国をいつ作ろうかマジで迷ってます。作らなくてもいい気までしてきた。
次は幕間です、お楽しみに! 水上都市は夢があるよね。
まぁ沈んでいる時もあるんだけど。
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