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永劫回帰は夢を見ない  作者: ユナ
第4章 神国殲滅編
124/274

友人がそこにいた

あらすじ 特になし


「…さて王手を取りに行くか」


ボソッと呟いたアリスは、城の中にいる兵士達を殺しながら地下へと進む。

ホコリが蔓延る地下を降りながら少しアリスは考える。エルフ神国は【ある事件】を解決してから強い国力を手に入れた。

それまでは弱小国家と言えるほど衰退していた。

だがそれも過去の話、アリスはその事件の原因に向かって歩いている。


【転生者】

このerrorWorldにも数え切れない転生者が、旅行のようにこちらに迷い込む。

だが本来はありえない光景だ、魂だけになろうと世界を渡ることは許されない、それは世界のルールに触るからだ。

だがそれでも、迷い犬のようにこちらに来るのは目の前のこいつのせいだろう。

全てだ、全てこいつのせい。アリスが転生したのも、クスノキが転生したのも、原因はこれだった。


アリスはほとばしる顔の神経を隠して、それに攻撃を加える。

見た目は貯水槽のようだが、中身はぼやけて見えない。だがアリスには分かる。ヒビから水が出る。

そして空気圧の現象で貯水槽全体が割れる。中身が出てきたのはそこだった。


「よぉ、息災か? なぁ【全能神ムーン】」


「ゲボっ! ゲボ! はぁ、はぁ、久しぶりですね、アリス。 見違えたように大きく──────!!」


アリスはムーンの首を掴んで、締め上げる。ギギギと首から音が鳴る。

ムーンは涙目になって息ができずピクピクと動いている。アリスはギリギリの所で手を離す、彼女は息を荒らげながら床に倒れる。


「…無様だな、自らの愉悦のために作った人間に殺されそうになるとは」


「人間? ご冗談を、貴方のような化け物が人間なら世界は滅んでますよ」


「口が減らねぇな」とアリスは笑みを浮かべる。

ムーンは神域で生きている。クスノキが会ったムーンはあくまで法の【全能神ムーン】

つまり、ロボットのようなものだ。

エルフ神国はムーンから魔力を永久的に借用する事で、無限の魔力と国力を手に入れた。

それも今日で終わる。このあとアリスが皆殺しにするからだ。


「ムーン、これからどうする? 俺たちと来るか?」


「いえ、私には会いに行かなきゃ行けない人がいます」


「クスノキか? あいつならプリスジャンヒールもいるぞ。アルピスをめざしてな」


「プリスですか、まためんどい人を。え? アルピスに向かっている? 良いのですか? だってあそこは─────」


アリスは頷いた。アルピスにはムーンを崇める宗教団体が存在する。

つまり、ムーンの王国といえる。そこで会えとアリスは伝えている。言葉は少ないがそれでもムーンには伝わった。



「感謝します、魔王アリス」


「うぇ、お前に感謝されると背筋が凍る。さっさと行け、俺はこの国を固有魔法で滅ぼしたら違う国を目指す。

涙王に会いにいためにな。───じゃあなムーン」


その時には彼女はもう居なかった。

アリスも何も言わず地下を出る。最後の仕上げがあるからだ。

殺した。殺した。向かってくる兵士も、殺さないでと懇願(こんがん)するメイドも、何も知らない赤ん坊も全て殺した。

「人間は生まれた時は悪では無い」と言う言葉があるが、少し違う。

「人間は生まれた時には悪では無いが、体を巡る血は悪の塊だ」これがアリスの心理。


人が悪になるのは、環境でも、対人関係でも無く、生まれた時からの意思が、血が、本能が人間を悪に変える。

なので全員殺さなくては、悪を滅ぼすためには血筋を全て絶やすしかない。

アリスは城の人間を殺し尽くした後、城の最上階から出るベランダに降りる。


「いい景色だ。ここなら発動できるだろう」


アリスは正義の味方じゃない、れっきとした悪役だ。だからこそ出来る正義がある。暴力で解決できるものがある。

彼はグリシャに連絡を取る。


「グリシャ、終わったか?」


「おうよ。自我がある転生者は全員保護した。研究所にあった資料もついでに回収したぜ、滅ぼすにはもったいないからな」


「そうか、ならお前も早く帰れ。固有魔法で死にたいか?」



「へいへい」とグリシャもこの国から消える。残ったのはエルフの残党とアリスのみ。

先程アリスの悪だから滅ぼすみたいな正義を語ったが、今回エルフ神国を滅ぼす理由は至ってシンプル。

昔から居た友人(ムーン)が監禁されていれば誰でも怒るだろう? そういう事だ。


”固有魔法 不思議な世界(ワールドフリー)


アリスが固有魔法を発動する。空に何かが現れる、ブラックホールのような大きな黒い穴は全てを吸い込んでいく。

まるで空の穴に落ちるかのように、エルフ、建造物も全て飲み込んでいった。

残ったのは瓦礫と何も無い更地だけ。アリスのエルフ神国殲滅はこれで終わった。

少しだけため息をついてアリスも異空間に戻るのであった。

読んでいただき本当にありがとうございます!


なぜムーンがいるのか不思議でしょう? また今度説明します!

神国殲滅編は次の話で終わりです。


星を増やしてくれるとありがたいです。


面白かったと思ったらブックマーク!


感想やレビューもお待ちしております!


星ももちろん大歓迎!


具体的には☆☆☆☆☆を★★★★★にね。


そうするとロリのやる気が上がります。

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