現代兵器
2日ぐらい短編を書いておりました。良ければ見てください、新作VRMMORPGです。
大きく鳴る銃声を聞きながら、アリスは城へと歩いていく。後ろにはたくさんの死体があり、全て人達で心臓を潰されている。
アリスの絶対的な力を見ても億さず向かってくる奴がいた。
エルフ神国の中でも随一の実力を誇る転生者がそこにいた。もう、洗脳は完全に行われ自我はなく、国のために死ぬロボットだ。
「魔王アリスよ、ここは通さん。この────」
「邪魔」
アリスは何気ない動きで、転生者の間合いに入り心臓を抜きとる。
手に持った心臓を握り潰してアリスは城に進む。
転生者はそのまま動かない、石像のように固まって口から大量の血を出していた。
また大きな銃声が鳴る。この世界で銃を使うのはそこまで居ない。
エルフ神国では彼だけだ。
(…随分と苦戦しているようだな、クリスプ)
────────
「ん〜、弱い! あんたは究極的に強さが足りないぜ!」
「…随分と口数が多いな」
クリスプが頭から少しだけ血を流している。血が目に染みるので右目は閉じている。
息を整えて、クリスプは相手の眉間に弾を当てる。
「んー、ダメだな。狙いはいい、タイミングもいい、だが実力が究極的に無い!」
「厄介だな、そのバリアは」
本名 唐澤 拓海 固有魔法 絶対防御
「そう、俺の固有魔法は究極的なバリアを貼る! どんなに攻撃しても俺に攻撃は届かないし、殺されることはないという事だ!」
「──────」
クリスプは何も言わない、だがバリアを認めるしかない。数多くの銃を撃ってきたが唐澤には1度もかすり傷ですら追わせられなかった。
そして、通さないのは銃だけではない。
「フッ!!」
クリスプは息を大きく吸い込み、拳を唐澤に当てる。
だが、それでもバリアは破れない。
「プッアハハハ! 銃がダメなら拳ならいけると? そんな一方通行の頭だからダメなんだよ。あんたは究極的に無意味な歳の取り方だ。弱点教えて欲しいか? 残念俺も弱点知らないんだわw」
クリスプは少しだけ笑う。似ていたからだ、始まりの100年で自分に挑んできたか弱い魔王に。
だが違う。こいつは魔王アリスじゃない。こんなものじゃない。
クリスプは、か弱い魔王と戦い、そして勝ち、そして見逃した。その判断が間違っていたとは思っていない。
だからこそ責任を取らなければならない、自分が見逃した小さな芽が、大きく芽吹き世界を滅ぼすその時まで。
クリスプは死ぬわけにはいかない、死ぬつもりも無い。世界を滅ぼそうとしたアリスを殺すまでは。
「かかってこい、若造。年季の違いを教えてやろう、老人には老人の戦い方がある」
「…へぇそうかい、見せてくれよ。そのプライドも! 生き方も! 人生も! 究極的に全てをへし折って俺が勝つ! 行くぞジジイ!!」
唐澤は剣を抜く。そのまま突進するがバリアは保ったまま。目の前に迫るクリスプの弾を全て弾き飛ばし接近する。
「そうか」
「どうした! 老人の強さを見せてくれるんじゃないのか!? 降参したら楽に殺してやるよ!」
クリスプは、近くの家に入る。特になんでもない階段をのぼり2階から家を倒壊させる。
その瓦礫は唐澤の上に落ち、生き埋めになった。
(…無機物ならどうだ? まぁ、逃げなかった事から結果はもうわかっているがな)
その瞬間、瓦礫が吹き飛ぶ。穴から唐澤が出てくる。全くもって無傷だ。
「いいね、着眼点は悪くなかった。こんな攻撃をしてきたのはあなたが初めてだよ。究極的に面白い戦い方だ。利用できるものは全て利用する戦い方は俺は好きだよ。本来人間とはそうあるべきだしな」
「…勝者の余裕か?」
「違うさ、単純に本能の話だ。俺のバリアは敗れることは無い、それはとても悲しいこと。戦闘と傷は水と不純物、片方飲んで片方飲まないなんてことは出来ない、俺はもう傷の痛みを忘れてしまった究極的につまらない生命体だよ」
クリスプは少し疑問に思う。先程から態度が他の転生者とは違うからだ。
「貴様はエルフ神国に忠誠を誓っていないのか?」
「はぁ!? あのクソ王国に? 冗談は良してくれ、俺が忠誠を誓うのはこの能力だけだよ。エルフ神国なんて滅ぼうがどうでもいい」
クリスプは(使えるな…)と思いながらも戦闘を再開する。
連れて帰るにしても1度は敗北を味わわせて見たいと思ってしまうからだ。
そして、これから身内になるのなら見せてもいい【能力】がある。
「良い戦いだ、これをやろうか若造」
「あのさ、敬意を払ってくれるなら若造って呼んで欲しくないんだけど、物貰っても究極的にいらないし。てかなにこれ?──────────は?」
唐澤の手にあったのは手榴弾。栓はもう抜いてあり、1秒後に爆発した。
咄嗟の判断で絶対防御を使ったから良かったものを、少しでも判断が遅ければ腕が吹き飛んでいた。
だが、今問題にするべきはそこでは無い。
(何故だ! 何故おれの固有魔法が溶けていた? 究極的に分からねぇ!)
クリスプが上を指さす。
「上を見なくていいのかね? 次の攻撃はもう始まっている」
唐澤が上を見ると、頭ぐらいの大きさがあるバケツが一つだけ中に浮いていた。
よく見ると液体が入っており、揺れて1滴が下の石の地面に落ちる。すると、大きく音を上げながら石は溶けてしまった。
「まさか塩酸か!? 究極的にあぶねぇ液体をどこから? お前の固有魔法は銃を投影するんじゃ……もしかして他にも出来る?」
「何を言っている? そもそも【出来ない】など言った覚えは無い!」
「そうですか! クソジジイ!!」
バケツが裏返り、塩酸が上から落ちてくる。もちろんバリアを張っている唐澤には効かないが、大量の塩酸は石を溶かして二化炭素が発生した。
その量は凄まじく、これだけで目が見えなくなるほどだ。
バリアを解除しなければここから出ることが出来ない、飛べば足元から確実に狙われる。
だがここに留まっていればいずれ───────
「あぁ、その心配はいらない。この蒸気が発生した時点で君の負けだ」
唐澤の頭上から声がする。見ると上にはクリスプとある現代兵器がひとつ。
「君は知っているか? これはパイルバンカーという架空の兵器だ。超威力を持つ杭打ちきと思ってくれればいい。
確かに君のバリアは強力だ。だが、プレートをも貫通する力に耐えられるかな?」
少しづつパイルバンカーに電力が入っていく。機械的な音が鳴り、貫く準備が始まっている。
唐澤は、見ていることしか出来ない、既に四方はパイルバンカーの固定する足場によって壁になっているからだ。
唐澤は震えがなら喋る。
「てめぇの能力は、銃を投影するんじゃないのか?」
「違うな、私の能力は【聞いた兵器を投影する力】だ。普段はやはり銃が人を殺すのに役立つからそれしか使わないが、使おうとすればパイルバンカーどころか水爆でさえ投影可能だ。
さて時間だ、君のバリアと架空の兵器が持つ力。どちらが強いかは、ここで決まる」
唐澤は最後に絶対防御を、最大まで強化する。虹色の輝きを持つ防御の結晶体。まるで宝石を組み合わせた壁は唐澤を守る為に小さく展開する。
そして、パイルバンカーの杭が落ちてくる。
絶対防御とパイルバンカーの衝撃は大きく、周辺の地面が全てにヒビが入り家が倒壊した。
肝心の唐澤は───────
「ハハ! 勝ったぞ! 究極的に俺の勝ちだ!」
パイルバンカーの杭は絶対防御を貫通した。だが小さく張っていたのでバリアの密度が大きく少しだけ反らせたのだ。
その瞬間、パイルバンカーが消え、貫通で出来た絶対防御の穴に手榴弾が落ちる。
唐澤の目の前で大きく爆発し、爆風が小さい穴から吹き出ていた。
そして、唐澤だった焦げた黒い塊はそのまま倒れる。クリスプは唐澤を持って一旦撤退する。持ち帰って戦力にする為に。
「……聞こえてないだろうが、種を明かしておこう。私が君のバリアに拳で触れた時、あるものを付けておいた。
これに頼るのは少し癪だが、使えるのであれば使う主義なのでね。全く難儀なものだ。神父というものも」
ため息をついたクリスプは少し億劫に異空間に戻っていく、また戦場で人が死ぬところを見るからだ。
別に死ぬところを見るのは何ら苦痛ではない、だがその悲鳴が耳に障るだけだった。
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