番外編 クスノキとプリスの魔法教室
少し明かしたい情報があったので第三者視点です。
「今日はここでキャンプにしましょう」
「はーい」
クスノキとプリスが綺麗な草原でキャンプを使用としている。まだ正午ではあるが朝から山を登りたいので休憩も兼ねて休む事にした。
「では、私は水などを持ってくるので貴方は──」
「あはは、また夜教えてあげますから」
キャンプの準備をするのは全てクスノキ、プリスは見ているだけで何もしない。
だがそれはある【約束】をしている為。そして仕方の無い事だった。
~夜~
「さて、じゃあ今日も修行をしましょうか」
「はい」
クスノキは夜にプリスの授業を受けている。
提案はクスノキから、見返りとしてプリスはキャンプ等の準備を全て任せている。
どうでもいいが、料理も全てクスノキ任せなので(少し濃いな)という不満をプリスは持っている。
まぁそれを言うと次からの食事がおかゆになる可能性があるのでプリスは何も言わなかった。
「さて今回教えるのは引き続き固有魔法についてです」
クスノキにはまだ固有魔法が使えていない。魔力の本質を理解していないからだ。
魔力を知らない人間がそれを応用した固有魔法が使える訳が無い。プリスはそう考えている。
なので夜な夜なクスノキには魔力とたまに戦闘訓練を行っていた。
クスノキは驚異的な戦闘力を持っているが、魔力の理解においては赤子より下。
本来、生まれた赤子が外敵から身を守るために身につける防衛本能である乖離さえも知らなかったのだから。
「クスノキさん、乖離の力はどうですか?」
「……どうも何も使った所で全然使い物になりませんでしたよ」
「それはそうでしょうw 貴方は乖離の形を使えて始めて土俵に立てたのですから、それは使えて当然の技術なんですよ?」
(……)とクスノキは少し不貞腐れる。
プリスはまぁ理解出来なくもない。自分か得た力を使って初めて使う場面でやっと互角になるなんて。返品必須と言ってもおかしくない。
ただ分かる、渡す側はそれしかあげられなかったのだろうと。
それ以上はあげられない、どうなるか分からないから。
それをした奴は相当先を見ていたのだろう、勿論プリスがこの事を推理するのも分かっていてだ。
(やるせないね、随分と大きいものが背中にいるもんだ)
その事実は胸に秘めプリスは説明を進める。
「魔力には+と-の2種類があります、魔法を使う時なんかはこれをいいバランスで練って使います。固有魔法の例外ではありません、あなたは先ず固有魔法の前に普通の魔法を使えるようにしましょう」
クスノキは手を大きく上にあげる。その時手に魔法陣が現れて火の玉が打ち出す。
どうやらクスノキも魔法を習得できたらしい、歩いている時にも練習を重ねて詠唱なしでも使えている。
(飲み込みが早いな……)と思うプリスだったが、それでは満足しない。
「だが、まだ足りません」
「─────え?」
クスノキの疑問の瞬間、プリスも手を挙げて火の玉をだす。だが、それは火の玉と言うには大きくて太陽と呼ぶにふさわしい火球だった。
発動時間もクスノキの5分の1ほど、火球は大きく上にあがり雲を全て吹き飛ばしたのだった。
「クスノキさん、私の弟子ならこれぐらいしてくれないとね」
「……はは、そうですか」
クスノキとプリスは言葉通り次元が違う。アリスと同格の王の称号を持つ力は凄まじいものだった。
まだまだ修行は始まったばかり、アルピスに行くまでには彼は何処まで強くなるのだろうか?