まどろみの夢と逆転の時計塔
アリスはグリシャと別れてある場所に向かう。
彼はある場所に向かっていた。名もない町の名もない道を歩く。
「……場所が変わってなきゃいいがな」
少し疑問に思った人間もいるだろう。なぜずっと封印されていたアリスに知人がいるのかと。
この世界にはありとあらゆる魔法があり、その中には【禁忌】と呼ばれる悪の魔法がある。
ヘラ・アーデルハイドも、そのひとつだ。
『その者』が使っている魔法は、
”転生魔法『リカナクション』”
自分の存在と記憶を保ち、これから生まれる生命を犠牲にして自らを産ませる魔法。
『その者』はその達人だ。
「やっと着いたか、相変わらず遠いんだよ」
アリスが着いたのは「教会」悩みや罪悪を持つものがその罪を吐き出すために訪れる場所。
───大きいドアを開ける。「ギギギ」と木材の擦れる音がした。
中は普通の教会、椅子があり、銅像がある。
そしてこの世界で1番大きい宗派のシンボルでもある三日月のマークが掘られていた。
(……相変わらず悪趣味な事だ)
アリスはそう思いながらも、その道を歩く。
赤い絨毯が道を示し、歩くだけで目的の場所に辿り着けた。
”汝の罪を聞き入れた、神と法の代わりに告げる、貴方の罪は洗われただろう”
(古臭い言葉だ……)それがアリスの感想。
この世界の神は救う気なんてない、寧ろ関わることですらしようとしない。
それを悪と思うかどうかは別として、どれだけ祈ろうがその懺悔は届かないと思うと、少しやるせない。
だが、信じるという事で救われるのなら信じればいい。
対象が何でもいいのなら泥だろうがゴミだろうが信じればいい。
その願いが叶う保証などどこにもないのだが……
「ん?誰かと思えばアリスか、何のようだね?君のような若者はここに来る事は無いはずだ」
「よぉ、クリスプ。久しぶりだな、お前を仲間に引き入れに来た、クソジジイ」
立派な修道服に身を包み、髪は白髪の右目に傷がついている老人。
名を”クリスプ・ホワイトゴット”
「……お前老いたな、転生魔法はどうしたんだ?」
「別に老いたら転生魔法を使わなければ行けない訳ではあるまいよ、ただ、肩こりがすごくてね。魔法陣を書くのが面倒なだけだ」
アリスはフッと笑う。昔から何も変わっていない老人への苦笑いか、呆れかは分からないが。
それでも二人の間で見える顔は昔と変わらない腐れ縁だった。
「それでアリスよ、先程の提案断ると言ったら?」
「それは仕方ない、心は痛むが首根っこ掴んで連れていくしかないな」
「……選択肢がないじゃないか。少し待ちたまえ、教会を閉鎖する紙と荷支度を整えなければ、全く面倒になるよ───というか、先程の信者君を見たからまずいんじゃないか?」
「あぁ、もう殺したから大丈夫だ」
「そうか」とクリスプは支度を始めた。
少しづつアリスの戦力が整っていく。砂時計が反転するまであと少しの事だった。
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