消えることの無い帷
9月になったのに暑いなー
─────ため息がふたつ。
「なぁアルグワよ。ゾンビになったのに人間に味方する気分はどうだ?まだ人間に味方して─────」
「はい! ご苦労さん!」
アルグワはゾンビの頭を足で蹴り潰す。血も出ずただ消滅するだけ。
嫌な死だ。殺した側も殺された側も死を実感できない、なんとも言えず、少しイラッとするほど綺麗で醜い死だった。
(さて、あいつがゾンビになる前に救わねぇとか……)
アルグワが少し歩こうとした時────目の前にフォールアウトが刺さる。
「なんの真似だ?小娘?」
アルグワの目線の先には俺がいた。
なんだコイツ?やっと見つけたと思ったら、少し不機嫌になっている。
こちとらそんな宥めている時間は無いのだが、少し荷物があるようで。
「カウノの事ありがとうございます。アルグワさん」
「はぁ?ふざけてんじゃねぇよ。俺が歩いてたらこいつが牛みたいに寝てただけだ。重いから変われ」
「重いとはなんだー」とカウノが尻をこちらに向けながら喋っている。起きているんだ。クイーンがここにいる以上、俺が心配することも無い。
だとすればアルグワ、少し手伝って欲しいことが……
「断る」
まだなんも言ってないよ。
てか俺からしたらその態度が気になる。矛盾していることが分からないのか?
「アルグワさん。貴方はグリュエさんを救いたいんですよね?なのに何故提案を断ろうとするんですか?
腐王を倒さない限りは、この結界が解けることはありません」
そう、俺はあの後カオリにあって事の顛末を聞いた。アズマの死、大空の死。
このデスゲームはもう、ラスボスを倒すまで終わらないということだ。
帷が黒くなっている。先程よりも濃く、黒く。
つまり『もう時間が無い』。この国を守るのであればすぐに行動しなければならない。
「なぁ、クスノキ。少し聞きたい。この国はもう終わりだ。例え、腐王に勝てたとしても死人に頼っている国に何が出来る?救う価値なんて本当にあるのか?」
……アルグワが言っていることも一理ある。
この国は大空という絶対的指導者を失った。もうこの国は立て直せないほど崩壊しているのかもしれない。
ただそれでも、見切りをつけるのはちがう。
だってそれは───────
「それを決めるのは私達ではありません。いつだって決めるのはその国に今生きる人達ですよ」
「それもそうか……」とアルグワは笑う。
その後、合流したカオリにカウノを任せ、俺とアルグワは腐王の元に向かう。
「おい、クスノキ、足引っ張んじゃねぇぞ?」
「……フッ。誰に言っているんですか!」
ここで最後だ。アルグワと俺の共同戦線を持って腐王を討伐してこの国に平和を取り戻す!
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