どの国でも
昨日総PV回数が2万を突破しました!本当にありがとうございます!!
もう一度鐘がなる。高らかに、安らかに大きく響く鐘が鳴る。
始まりの合図ではなく、続く、終わらないゲームを告げる鐘だった。
──────────
「転生者なんでしょ?あなたも」
カオリの質問に俺は少し考えている。
いつかは来ると思っていた質問。藪から棒ではあるが、答えねばなるまい。
「……そうですね。あなたがいた所が日本であるのならば私達は同郷でしょう」
(さて、これで鬼が出るか蛇が出るか……)
「そう……日本は何か変わった?」と少し悲しそうに拭けるカオリだったが、正直そんなに日本は変わっていない。なので。
「いえ、特に日本は変わっていないかと」
「……どの国でも変わらないものは変わらないのね、まぁいいわの続きを──────」
その瞬間、小刀がカオリに向かって飛んできた。
彼女も防御が間に合わず腕にささってしまう。
「……グッ!」
呻きの声を上げながら、腕から刀を抜く彼女。
この程度の怪我になれているのか、慣れた手つきでバックから回復薬?のようなものを取り出して腕を治す。
刀を投げた相手は、俺とカオリの死角から正確に狙い攻撃してきた。
そんな芸当普通じゃできない、こんなことが出来るのは。
『上位種だ』
なるほどね、先程の人を助けたのを見て、こちらに焦点を絞ったか。
随分と強そうだ。カオリ、援護を───あれ?カオリ?
「カウノが危ない!ここはあなたに任せるわ!子供でも転生者なら大丈夫でしょ!」
……はぁ?あいつ後でしばこ。
ふざけないでくれないか?上位種こちとら2人だぞ?
あーもう、四の五の言っても始まらない!
使うか、乖離を。体に魔力を流して身体強化させる!
「さぁ来なさい!上位種共!」
────────
舞台はアルグワに移る。
手にはボコボコにしたゾンビが一体、元がゾンビなのでこれ以上変質の仕様がない。
「おい、てめぇここに髪の長いグリュエって奴は見なかったか?」
「……グ、グリュエ?知らねぇな。てか髪が長いだけで判別できるかよ」
(そ・・・それもそうだな)と少し感心してしまったアルグワだが、ちゃんとした理由があり、髪が長いこと以外何も知らないのだ。
アラグワは生前グリュエに構わず仕事一筋で人生を生きてきた。流行も知らず、オシャレも知らず、娘の成績すら知らずに生きていたのだ。
なので、娘の特徴として口にできる言葉が髪が長いしかない。
「あー、もう仕方ねぇ、走るしかねぇか!」
アルグワは持っていたゾンビを壁にたたきつけて殺し、道を走る。
死角からゾンビが襲ってきても回し蹴りで吹き飛ばした。
「グリュエ!どこにいる!ん?あれは────グリュ!」
アルグワが見つけたのはグリュエでは無く、ゾンビ達が狙う最高の贄『クイーン』だった。
道で倒れて気絶している。幸いどこか怪我をしたようには見えない。
アルグワの目的はグリュエ1人。無視して進もうとした時。
「お母さん……」
寝言だろう。カウノも自覚しない深層のわがままが口に出てしまう。
その言葉はアルグワの足を止める理由には充分だった。
「お前も、母親がいねぇのか」
アルグワはぼそっと呟いた。
彼女を見ていると体が疼く。人間の本能ではなく、ゾンビの本能として『この女を腐王がの元に届けろ』と体が動こうとする。
もちろん、アルグワにもその本能はあるが、理性でずっと抑えている。
アルグワは目を閉じる。もしも彼女を置き去りにしてグリュエをたすけた時、彼女は笑うだろうか?と。
答えは簡単、自分の娘だ。自分が嫌いな事をされて泣かないわけが無い。
「あぁ、クソ!仕方ねぇな!」
アルグワはカウノをおんぶしてその場を離れる。腐王に届ける為ではなく、安全な場所に届ける為に。
ゾンビとして生まれ変わった彼だが、やはり背中は父のように大きかった。
「行動表」
クスノキ……上位種2人と交戦中
大空……アズマと交戦中
カオリ……ユーロを助けるために独断専行
アルグワ……カウノを守りながらグリュエをさがす
グリュエ……消息不明
読んでいただき本当にありがとうございます!
星を増やしてくれるとありがたいです。
面白かったと思ったらブックマーク!
感想やレビューもお待ちしております!
星ももちろん大歓迎!
具体的には☆☆☆☆☆を★★★★★にね。
そうするとロリのやる気が上がります。