大空にて新地を待つ
クスノキ「プロローグ2のアスラーワールドっていう設定どこいった!
ムーン【貴方のような勘のいい子は好きですよ?】
……いつ問いつめるか、と少し考えながらカウノ達に合流した。
これがミステリー漫画ならお笑い物だ。犯人丸わかりの茶番劇。
おそらく黒幕は、俺がここで死ぬ事が前提だった。
……いや呪いで死ねない事がわかっているはずだから、目的は俺じゃなく付属品の方か。
「クスノキさん、どうかしました?」
ん?あぁすまんね、カウノ。知りたくない事を知ってしまっただけだよ。
犯人もわかった。動機は聞くしかない。だが、何故カウノなんだ?
まぁそれは当人に聞くのが1番早いな。ほらおいでなすったぞ。
「……やれやれ、まさか誰も死んでいないとは予定にないことをされると困るんだが?」
──────改めて見ると、黒幕だなって思う。
罪を犯したら……か。そりゃあまだゾンビが増える訳だ。
だって『国の長がずっと罪を犯し続けているんだから』
なぁ、そうだろ?『大空』
スタスタと歩いている男。それは当たり前のようにこちらに向かって来る。
その目には何が見えているのか?何も見えていないのか?
名を『大空 新』、全ての元凶である。
「腐王と言うから期待してたが、所詮は掃き溜めか。仕方ない、ここからは俺が一肌脱ぐとしよう」
ここまで、黒幕感をだして近づく奴なんて居ない。大空がこちらにいっぽ近づけば、こちらが下がる。
だが、それは逃げの考えだ。カオリが切り札の銃を取り出して大空に向ける。
「……答えて、どこから貴方のシナリオだったの?」
「どこからとは?」
「ふざけないで……貴方がどこから裏で糸を引いていたのかって聞いてるの、場合によっては撃つわよ?」
大空は頭を掻きながら目を閉じる。ため息をついて子供に答えを教える親のように温かい目で話す。
「最初から」
「…………は?」
「聞こえなかったか?カオリ、俺は最初から腐王の存在に気づいていた。エレシュキガルを作ったのも『転生者』であるお前を引き入れたのも、全部俺のシナリオだ。
だが、少し予定と違うな、アズマはどこに行った?あいつがいればアルグワとの和解など起こらないはずなのだが」
そう来たか。まさか最初からとはね。
これで動機もわかった。こいつにはそもそも『動機がない』最初から何も変わらず、目的のために動いていた。
「それにしても、君まで生きていたのは思わなかったよ、クスノキ。頼むから大人しくしててくれないか?少しだけ君の周りにいる奴らを虐殺するだけだ。
君とはいい友人になれそうだからね」
すまんね、生憎自分は友達を選ぶタイプなんだ。君みたいなタイプはゴメンだよ。
だが、確かに君とは友達ではなく、悪運になりそうだったね。
「……そうかい、残念だよ。だったら死んでくれ。滑稽に悶えて闇をみながら奈落に落ちていろ」
────その時、国全体が揺れる。壁の外側に向かって、大きな帳が降りてくる。
規模が大きいから、何とも言えんがあいつと同じ力を感じる。
これはおそらく──────
「君たちはこれを知っているかい?名を『固有反転』と言うんだ。
さぁ、腐王が起きる。本格的な蹂躙が始まるんだ。死にたくなければ逃げるといいさ、ここから出れるのならの話だがね」
随分と余裕だな、大空。
まるで自分が負けるとは思えないと見える。俺が今ここでお前を殺しても、そんな顔できるかな?
「死んだ所で腐王は止まらない。俺は時間稼ぎをしていただけだ。上位種が現れたこと、俺にとって邪魔な奴らが全員まとめて殺せる状況があった事。全て天明だと思ったよ。
……どうしたんだい?その顔は。そんなに俺が許せないのか?カオリ」
今にも引き金を引きそうなカオリ。こいつを撃っても意味が無いと分かっているからこそ、歯噛みをして耐える。
それでもその目は狼のように鋭かった。
「……当たり前だ。失望したよ大空。なんでこんなことをなんて聞かない。あんたの企み全部ぶち壊して、独房に入れてあげる」
「そうかい、それは楽しみだ。やってみなよ、役者は揃っている。あとは舞台だけだった。
舞台が揃ったのなら、もう俺に役目は無い。あとは君達が運命を決めな。このまま死ぬのもよし、生き足掻いて死ぬのも良し。
ただ、これじゃあ面白くない、ゲームは全てシャッフルから始まるだろ?」
いきなり地面が光る。大空の力なのか、腐王の力なのかは分からない。
シャッフルという言葉からして、強制移動みたいな感じか。
それにしてもこいつ、死ぬのが怖くないのか、本当に楽しむ気か?狂ってるな。
「だから言ったろ?これはゲームだ。言うなれば【鬼ごっこ】だね。
鬼は俺と腐王、君達の全滅か、クイーンを殺したら俺達の勝ち、逆に俺と腐王を殺せれば君達の勝ちだ。簡単だろ?
そして最後に君達のクイーンを教えておくよ。
……あの時、国の外で死んでしまうのは無いか?とひやひやしていたよ。だから【君】だけを国の外に住まわせていたんだけどね。
そう、クイーンは君だ【カウノ】始まりの100年で生きていた聖女の末裔、腐王が望む最高の贄だ」
始まりの100年?贄?分からないがとりあえずカウノを守らないと───────!?もう魔法が発動するのか、急がないと……
その時、俺達を光が襲う。それは国全体を覆い国、家、全てがシャッフルされる。
始まりの鐘がなる。ワルプルギスが始まるのだった。
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