すりーでい(あと)
地を蹴り加速する、木々を避けつつ更に加速、空気の壁を越え。強者の匂いが強くなる方向へ。
思考が狂気に染まる、闘争本能が高ぶり気分がいい、足は自然に軽く、音を置き去りにして最速で移動する。
山が見えるころには不気味な木々が増え死臭がする。それ以上に山を越えた先に強者の予感がする。この胸の高鳴りを抑えられず山を駆け上がる、山頂につけば目先に腐った街が広がる、強者がいるのはあの城だ!
山を降り街をひとっとび、門を蹴飛ばし城を超音速でぶち抜く。
目の前に広がる王の間に強者の匂いが充満する。玉座にいた骸骨が動く。
「誰だ、我を呼ぶ物は。」
凄まじい威圧感、間違いない、こいつが強者だ!
「ほう、何かと思えば野良犬か、面白い奴だ、お前も死にに来たのか?」
嗚呼、うずうずする、この歓喜の渦に呑まれどうしようもないほど口角が上がる、意味のない戯れ言より早く血肉沸き上がる殺しあいを!
「殺す!!」
「なっ!」
首を狙った白狐の一撃は隣にいた鎧を纏った骸骨の騎士に防がれる。
「やってしまえロイヤルガード、不届き物に死を。」
やって来た近衛兵に数発入れてもよろめきもせず突っ込んで来る、大振りな袈裟斬りを後ろに下がり回避、カウンターの下からの切り上げ、剣先で反らされる。横から別の近衛兵を蹴り離脱する。
純粋な力で押されている、剣術も連携もして来ないが対人で戦い慣れた動きだ。大太刀では分が悪い、スピードで勝負した方が良さそうだ。
大太刀を捨て本気で床を蹴る、目に見えない速度で撹乱しつつ頭を王座の骸骨に蹴り飛ばす、あらかた片付けたところで豪華な鎧を着た骸骨が現れる。
「野良犬かと思えばとんだ狂犬ではないか、だがかつて最強と謳われたロイヤルガードナー、越えられるか?」
キンキラな剣をこちらに向ける、とりあえず無視して先手必勝、死角から亜音速で飛びげり。
?!防がれた!不味い、ここは間合いだ!
心臓を狙った突きを避ける、更に追撃、右に左に上に下避ける避ける避ける、縦横無尽に回避するが剣撃の嵐が逃がしてくれない、とうとう壁際に追い詰められる。
「金線」
剣が金ぴかに輝く、まずいまずいまずい。こいつは斬られる!?
体が捌く避ける防ぐ、半ば反射で動いている。しびれを切らしたのか距離をとり、力を溜めている。
息をつく暇もなく力が解放される。
「金花」
その一閃の刹那を見切り、回避する。技の後の隙をねr
腕が切り落とされる。思考より先に体が動いた、精一杯の反応、本能が警鐘を鳴らす、まずいまずいまずい、思考が纏まらない、骸骨は動いてる、ここで死ぬ?
ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな
白纏が発動し、生命力で腕を無理矢理くっ付ける。
決めた、理不尽に不条理に圧倒して殺す。殺す殺す殺す殺す殺す殺す、ここで殺す。
わずわらし空気の壁を越え殴る殴る殴る
殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る
ただ殺意を込めて。
気付けば鎧の残骸とキンキラの剣が落ちていた。さすがに骸骨は塵一つ残らなかった。息が荒くなる、さすがに疲れる。だがあの王座の骸骨を睨み警戒し近く。
「化け物め、まあいい、ロイヤルガードなど手駒の一つに過ぎん。目的の為なら喜んで使う。だが我が悲願を達成するためお前の相手をしている暇はないのだ。やられっぱなしは癪だが仕方ない、まあ置き土産は遺すとしよう『兵のどもが夢の跡』 くくくこいつは少々骨だぞ。ではさらば。」
突然消える。その直後城が揺れる。
『Gaaaaaaa』
轟音の咆哮と共に城の外に巨大な骸が一つ、戦場の怨念〈餓者髑髏〉、そう呼ばれる物が君臨していた。
急いで外に出る。
見た目ほどの脅威じゃない。対抗策はある。あの最強の骨近衛、あいつの技をまねる。白纏を白狐に纏い生命力を圧縮、力を解放しつつ切り遺す。
「白壊」
餓者髑髏は崩れ地に還る、ついでに奥の山も崩れたが誤差だろう。そして素晴らしい威力だ、自分用金花の白壊は壊すのに特化させた。これならあいつを殺せる、次は殺す。
でも今日は疲れたから此処まで、月も登っていい感じ、適当に城のベッドを外に出してねる。
動いて疲れた。明日はたくさんご飯を食べよう。
おやすみなさい。
くろね。情緒不安定
次:日曜日