第二話「ノート」
あれから超常現象クラブに入って一か月になったが、特に姉探しの方は進展がなかった。分かったのはこの部は部員が一人(部長のアヤカさん一人だけ)、部自体は実質廃部していて、アヤカさんが勝手に誰も使っていなかったこの部屋をつかっているとのこと。それと、なぜか顧問がいる。(実際は監視のためたまに見に来る程度)なぜか、初めて会ったときにひどく驚かれた。
そのくらいで姉の手掛かりは何も見つけることがなかった。
「ねえ、ツボミ。面白いものを見つけたんだけど」
「なんです? アヤカさん」
そう言って見せられたのが古びたノートだった。あれは確か、初めて会った時にアヤカさんが読んでいたものだったような気がする。
「これ、前の部長のノートだと思うのよ。知ってるでしょ、行方不明になった人がいるって話」
「……はい。ニュースで見た気がします」
アヤカさんには姉が行方不明のことは言っていなかった。隠しているつもりはなかったが、なかなか言う機会がなかったからだ。
「少し前に見つけて、大発見だと思ったんだけど読んでみたいけども活動日誌というか、ほぼ日記みたいなものだったんだけど後半の方に面白いことが書いてあるのよ」
そう言ってアヤカさんは私にそのページを見せてきた。
『○○年 ○○月 ○○日
私、ついに見つけちゃったかも知れない。
何って異世界に行ける扉を。××ちゃんは(なぜか名前の部分が黒く塗りつぶされていた)信じてくれな
かったけども。絶対に間違いない。私だけでも明日確認しに行こうかと思う』
日付を見ると、姉がいなくなった一日前だ。こんなことが書き残されていたなんて。
「残念ながら、続きがなぜか破られていて無いのよ。なんでかなあ」
アヤカさんは残念そうにしていたが、私にとっては大発見だ。このノートが姉が書いたものだとすると姉は何か超常現象に巻き込まれた可能性が高いということなる。それに私は、このノートの続きになりそうなカギを持っていた。ただ、確信が持てなかったので実行はしなかったがこの文を読んで確信した。姉は異世界の扉を探しに行って、巻き込まれたのだ。
「すいません。アヤカさん用事を思い出したので今日は帰ります」
「え、ええ……また明日ね」
呆気に取られているアヤカさんにノートを返して、急いで家に帰った。