特殊ランク収容方面
目を覚ますとそこは暗く、何も見えなかった。手元にあった端末で状況を確認してみる。
—周りは血だらけで見るも無惨な状況だった、死体のようなものも確認出来た。
「あ…ああ…」
身体の力が抜けてしまい、腰を抜かしてしまった。
(ここから出ないと…)
端末のライトを頼りに部屋を見てみると拳銃が落ちていた。きっと誰かが化け物相手に抵抗したのだろう、周りには薬莢が落ちていた。
弾がある事を確認し、持っていく事を決意した。自己防衛をする為には必須であり、周りには化け物がいるかも知れないからだ。脱走してるなら尚更の事、持たざるを得ない。
非常電源だけ付いてるのだろうか?扉はかろうじて開けた。通路を見てみると血と死体が転がっていた。
—自分もこうなるだろうと震えてしまう。角に立ち、少しだけ顔を覗かせて化け物がいないか確認してみるが、何も無い。
(取り敢えず全部屋確認してみるか…誰かいるかも知れないからな。)
カードキーを当て部屋に入るとそこには下半身が無くなっていた男性がいた。かろうじてまだ生きている。
「大丈夫…ではないか、何があったか説明出来るか?」
「化け物が……脱走した…誰かが…化け物が居る部屋の…ロック…を解除…したんだ。」
吐血しながら教えてくれたこの男性はクラスBの職員だった、カードキーで判別出来るように作られているこの会社は、最早会社ではなく、研究施設だ。
政府公認であり、政府が隠蔽し続けている研究を行なっている。彼はそう説明すると、二度と起きない眠りについた。
(誰かが脱走させた…?別団体の犯行か、ここに所属してる団体の犯行か…?)
犯人を考えている時間はない、部屋を後にした。定期的に聞こえる地響きが恐怖を駆り立てる。断末魔も聞こえてくる。クラスBの職員が持っていたカードキーを使い、[特殊ランク収容方面]から[A〜Cランク収容方面]へと続く階段を登って行った。
事務室のパソコンが一台だけ生きていたので確認した。
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研究者と職員に告ぐ。
特殊ランク脱走を政府が危惧、特殊ランク
排除部隊:赤狼を派遣。
AIの為、誤射の恐れがあるので
最新の注意を払いつつ[緊急用脱出通路]へと避難せよ。
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(緊急用脱出通路へと向かえばいいんだな、そしたらどう行けばいいんだろう。)
フロアマップを確認すると、[A〜Cランク収容方面]の方に書いてあるのが確認できるが、そこだけ破り捨てられていた。
(取り敢えず近いって事が分かったから、部屋を確認しつつ見て行ってみるか。)
引き続き部屋の確認を続けた。