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一話目 転生初日と死因

初めまして! 後書きで簡単な自己紹介をさせて頂いていますので、よろしくお願いします!

確かに今日はついていない一日だった自分でも自負している。


折角久しぶりに日本へ降りた(帰った)というのに、建設現場のそばを通ると資材が崩れ、危うく下敷きになろうかという所であったし、前方の車道から怪しいルート取りで走る車を見かけたかといえば、こちらに突っ込んでくる。


お蔭で数少ない私服である、ジーパンがボロボロである。

こちらが被った被害は少なく、世間に大っぴらに出来るような職業ではないため、事故現場からはトンズラしたが。


だからって、流石にこの状況はあり得ないと思う。


「かっ・・・はぁっ」


おんぼろ宿に横たわる自分の身体を起こせば、胸に突き刺さる『(視認できない何か)』が見える。 

これでも数えきれないほどの死地を潜り抜けてきたつもりだし、武器だって多くの知識を詰めてきた。


だが、目の前の、自分に突き刺さる影は見覚えが無い。

ただ、理不尽だと思うしかなかった。


思い出せば、ふと、無数の死体が浮かぶ。 自分自身が積み上げた、人間の死体だろうか。

多分、殺されて行った奴は、俺に理不尽さを感じて死んでいったのだろうと改めて感じた。


だが、後悔はしていない。早死にはするだろうと思っていたし、呪い殺されてもおかしくない程の残酷なことをやってのけたと思っているからだ。


「戦争に、関係ない・・・。 平和な世界で生まれ変わりたいものだ」


思ってもいないだろう呟きが漏れたことも気づかず、痛覚と、黒く染まり切った意識を手放した。



~~~

頭に、ぽとっと落ちて来た暖かいものが、ため息をついてのしかかる感覚を感じた。

思わず顔をしかめ、振り落とそうとすると、抵抗するよう髪の毛にしがみつく。




......いや、何故人間としての感覚が......?

目を徐々に開くと、一面に木々が屹立し、葉を生い茂らせているのが、霞んだ視界一杯に広がっている。

胸一杯に空気を吸い込むと澄んだ空気が胸を満たした、と同時に喉が渇いていたようでむせた。


寄りかかっていた木に手をつき、ゆっくりと立ち上がると、頭上の暖かいものが、驚いたようにくっついた。 身体自身も、長く寝ていた時のように気怠い。




「生きているな... どういうことだ? 死んだはずだが」




手を左右見比べても、何処もおかしくない。

そういえばと、頭に何か乗っかっていることを思い出し、頭から剥すと、リスがくっついていた。




「......」

「......?」




小首を傾げやがった。

手に載せて、頬を撫でたら、くすぐったそうに目を細めた。

...引き続き頭に乗ってて頂こうと思う。

あと若干旨そうに見えた。

頭に乗っけたリスは、何かを感じ取ったかのように、ぶるぶる震えた。




~~~

状況を少し確認し、周囲の探索を終えた。

まず、目がしっかり凝らせるようになってくると、右下に周囲の地図の様なものがあることに気付いた。顔を動かしても、同じ位置に動き続けることも分かっている。

頭上に鎮座しているリスを近づけても、何も反応が無いことも分かっている。予測段階ではあるが、ARに近いモノなのだろう。


服装だが全身黒の戦闘服に、カーキ色に近いタクティカルベストを着ていて、ポーチには何も刺さっていなかった。 また、周囲には刀身が黒くコーティングされた、25センチのタクティカルナイフと、8センチ程度の折り畳みナイフ、ベレッタM96が散らばって落ちていた。


弾倉も3、4本落ちていて、すでに一本はベレッタに装填されていた。今はベストのホルスターに収まっている。

久しぶりのベレッタは、紛争地で使い慣れていたのか、無骨にデカい銃把が手に馴染むのか、懐かしい気分になった。だが、そんな自分に嫌悪も抱いたが。



~~~


どすっ、っと木の根の辺りに、リスが興味を示した、とても食えそうに見えない果物の様なものを手に腰を下ろす。

太ももにリスと果物を乗せると、リスが皮を剥き、中身を齧り始めた。


「食えるのか、これ」


リスに問いかけると、こちらの疑問が分かっているかのように頷いた。その後に、自分が齧った跡を見せる。

それに促されるように、リスの齧った跡を覗くと、確かに食べれそうな、乳白色の果肉が見える。


物は試しと、折り畳みナイフで皮を剥ぐと、齧り付いた。


「ん・・・ うまいな」

見かけによらず、中身は果物特有の甘酸っぱさがあり、喉も潤った。水分が体に染み渡るようで、少し頭が冴えたきがする。 血中の糖分も少なかったのだろう。


はて、これからどうするかと宙を仰いだが、なにも思いつかない。

折角、二度目の人生が歩めているのだ、出来れば、戦闘とは無縁な生き方をしたい。


「まあ、無理だろうな」


戦争に侵された、とでも言うべきか。

戦いに身を投じ続けなければ、自分でいられなくなる。そんな気がする。


「とりあえず、ここがどこか知る必要があるか・・・」


マップには、衛星写真・・・とでも言うべきか、簡単な絵が、頭上から見下ろすように広がっている。

試しに、フリックをするように、空中で指を弾くと、白い丸が現れ、少しずれた。 同じ動作をしていく内に、白い丸は見えなくなった。


「現在位置、だったのか? なら」


何も操作をしないまま放っておくと、白い丸の位置に画面が戻る。次は、指二本で縮小させるように動かすと、民家らしき建物が見えて来た。


「人がいるかどうかは分からないが、取りあえずはそこへ行くか。 何をするかは、そこで考えれば良いだろう」


思い切ったように立ち上がると、リスが戦闘服のズボンへ掴まり、つる下がって来た。背中を摘まみ、頭へ乗せると、逃げずにしがみ付いた。


「どうなるんだろうな・・・ 最悪、話せるような何かが居れば良いが・・・」


取りあえず、状況把握を目的に、歩を進めようと、森の中を歩き始めた。




~~~

数分程歩くと、木などが無い、人の手が入って居る道の様なものに突き当たった。

マップを見つつ、民家らしきものを目がけ、道沿いに歩くと、不意に嗅ぎ覚えのある匂いを感じ、道脇の木々の陰に入る。


風は向かい風だったため、正面から何か来ていたのだろう。


「血の匂いだったな。しかも人間っぽい感じの匂いだった」


顔を顰める。こういう面倒事は首を突っ込みたくなかった。

今は取りあえずやり過ごすことに専念する事にした。


~~~

嫌な予感というものは大抵当たる。これが戦場に身を置いていた頃から思っていたことだ。

本来なら、ここが何処かと聞くために出ていくところだが、すっかり日が落ちてしまい、月明かりだけになった林の中でも見通せる視力と、何より戦場で大切だった嗅覚が、警鐘を鳴らした。

まもなく集団が通り過ぎる。


聞き慣れない言語で話していたが、あまり気にならなく、すんなりと理解ができた。



「大収穫でしたねぇ。今日は晩餐が豪華ですよ。」

「まともな守りじゃなかったからな。」

「女も食え(ヤれ)ましたし。 最高にもほどがありましたねぇ?」

「それしか頭にねぇよな。お前ら。」

「確かにそうだ。」

『あはははっ』


「そういや、帰り際に残った二人は、一体なにしてるんですかね?」

「? ああ、何かホクホク顔で残っていたよな」



下賤な会話を散らしつつ、かなり雑な恰好をしていた集団は、様々な得物を手に、血飛沫がかかったまま来た道とは逆を進んでいった。


簡単にいうと、どうも、あの集落は、あの集団に盗賊まがいなことをされたらしい。

二人残っているという事に引っ掛かりを覚えつつ、道を駆け出す。


もう一つの事にも気が付いた。

集団等が手にしていた武器は、現代の象徴である銃ではなく、剣や弓が主な武装だった。また、防御も浅く、特殊繊維製などのベストでも無いようだ。

因みに、戦闘服であるブラックの今の服装は、特殊繊維製の板が入っている。


という事は、ついに、ここは現代では無い、異世界とかいうやつらしい。

意味はすんなり頭に入ったが、訳の分からない言語を話していた。それも異世界を裏付ける一つの要因だろう。


「兎に角、何か嫌な予感がする。先を急ごうか」


マップでは見え始めた民家へ向け、音もなく一層早く走った。



~~~

予感は当たる。

焚き木の脇、裸にされ掛けて、必死に助けを求める18位の若い女の子と、周りを取り囲んでいる男二人。


男らは幸いこちらに背を向けている。


「たす、けて!」

「もう、誰もいねぇんだ。回されなかっただけ良かったと思え」


男の一人は、肩に手を掛ける、すると、目を見開く光景を目にする。

ひとりでに手が反発したかのようにはじき返されたのだ。


「くそっ、此奴、魔法使えるのかよ!」

「大丈夫だ、今のは初心者でも使えるまほ・・・ ん?」


手を掛けていない方が、疑問を浮かべると、今度は、魔法らしきものを使った女の子の容姿が変化した。

使う前は茶髪だった髪の色が、するりと抜け落ち、白髪になったのだ。


「ああ、だから、こんなド田舎に、こんな見かけの良い女がいたのか」


流石に長引かせ過ぎたと思い、女の子に手を掛けていない男の方へ背後から忍び寄り、黒塗りのナイフで喉

を掻っ切った。すかさず、手を掛けた男へ絡みつき、喉へナイフを当てる。

女の子は驚いた顔をすると、安心できたのか、次第に顔を歪ませ、目に涙を溜めた。


それより、気になる話の続きを聞くことにする。


「で。だからの理由は?」

「ええっ、それは、魔法を使うと髪の色が抜け落ちることだ。その病気を持っている奴は、災いを引き起こすとされているからだ!」


「ようは偏見か、有難う、一つ知識が増えた」


女の子から見えないように男を隠しつつ、死にたくないと喚く喉を、ナイフで切り裂いた。



~~~

「立てるか? 家はどこだ」


手を差し伸べつつ、問いかけると、またまた想定外な言葉を返された。


「ごめんなさい、足が、生まれつき悪いので・・・ 立つの、手伝って下さい」


驚きつつ、しゃがみ、病的に薄い肌を晒している服を正して、腰に手を回す。 立ち上がらせるのではなく、面倒なので抱えてしまった。


「あっ、えぅ・・・」

「家は何処だ」

「はっ・・・ えとあの、あれ、です」


分かった、と短く答え、抱えながら歩き出す。

なんとなく、すがり付くように女の子が抱き締めてきた気がするが、気のせいだろう。



~~~

家だと言うベットに寝かせ、側にいてやると、かなり落ち着いたように眠りについていった。 この世界には、蝋燭のようなものがあり、それが今の唯一の光源だ。

その光源で照らされている女の子は、堀は深くないが、かなり美形な顔立ちで、白髪と相まって、かなり落ち着いた雰囲気を持つ子であった。


「はあ・・・ 何か、異世界には来てしまうし、初日で人は殺すし、女の子を助けるし、何か仕組まれてるのか?」


それより、今置かれている状況が、現実では無い気がして、ベットの近くに腰を落ち着けると、深い溜め息が漏れた。頭にのっていたリスはベットに這い上がり、女の子の頭のすぐそばで丸まった。


「明日からどうするか。まあ、横で寝てる奴から情報収集は決定だな」


ぶつぶつと呟く間に夜は更けて行く。 現代にて殺され、異世界に転移してからの一日がようやく終わった。

疑問はまだ多く、何故こんな魔法がある、ファンタジーな世界に来たのかも分からない。

だが、何となくウキウキしているような自分がいる気がして、ため息をつきながらも、顔をにやけさせるのであった。




これから巻き起こる騒動に立ち向かった一人の人間は、浅間達哉、という名前だったらしい。

決して、この世界では役に立たない武器を使ったとしても、彼は人から憎まれることは無かったと言う。

そんな彼の『休日(戦闘の日々)』を書いた、ただの記録である。








ありがとうございます。ふりずむと申すものです!

ハーメルンで、現代傭兵の異世界休養録、と言う小説を上げており、元々の小説から改稿したものを、上げて見たかった小説家になろう、にて上げさせて頂きました。

現段階で感想って付くものなのですかね...? どんな批評でもお待ちしております。


では、ちまちまと書き直し、また上げていくので、これからもよろしくお願いします。


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