第4話 リハーサル1
六月一日。交流会まであと、二日を残す余りとなった。少し早い梅雨入り宣言は、各地を飛び回った。部室もどんよりとした空気が流れていた。その理由は、二年B組の出し物のリハーサルがなかなかうまくいかないところにあった。
「部活の出し物まではよかったのよね」
と鈴木は気の抜けた声で言った。
「あーちゃんの言う通り、合唱部とか演劇部、吹奏楽部までは流れ的に良かったけどクラスの出し物になると崩壊を始めるんだよね」
大山はそう言うと、眠そうに自前の枕を持ち込んで部室の机に突っ伏していた。
「先輩たちしっかりしてくださいよー」
まりが言うと、部内の空気は大幅に変わっていったが大山はまだ寝ていた。まりは、部室の隅にある重たい荷物を持って部室を出たので、鈴木もその時に用事があると交流会の会場の体育館に向かって行った。
「大山先輩?あの、あと三十分でクラスのリハーサルが始まります」
その直後には、優子が大山の寝ているそばまで行って耳元でささやくと眠そうな目をこすりながらむくっと起きると立ち上がりどこかへ向かって行った。
優子は、その後ろを見送り、智樹に向き直ると口元をほころばせながら言った。
「ちょっとは仕事してもらえませんか?オタク先輩」
その威圧感は、感じたことのないぐらいのものだった。その威圧感を感じ取り、智樹は足早に体育館に向かって行った。
体育館に向かうとそこには交流会の飾りつけの指示出しをする鈴木の姿が見えたが、体育に来たものの仕事はなさそうだったため智樹は、舞台の前に規則正しく並べられた椅子に適当に腰かけた。
「聞いてくれよー智樹―」
そこには聞きなれた…いや聞きたくもない声が聞こえてきた。席を立って、部室に帰ろうと歩き始めたが急に半そでの袖口をつかまれた。そこには幸人が立っていた。
「なんで、避けるんだよー」
「いや、別にこれから部室で準備しようかと思って」
「なんの準備だよ」
「帰る準備」
「鈴木さんがいるのにか?なんだよー贅沢すぎるぞ。俺なんてさ…ちょっと待て」
智樹は幸人の話に付き合いたくなかったためそそくさと歩いたがそれも無念に終わった。
「あっれー?香口君もう帰るの?なら手伝ってよまだまだできていないんだし……。ね!幸人君」
幸人は、さっきまでのだるい顔から、ぱっと花の咲いたような満開なえみでにかっと笑うと言った。
「そうですよね!鈴木さん。まだ俺らのクラスのリハーサル終わってないですし」
半ば強制的に体育館から出られないこのめんどくさい空気感が智樹にはため息しか起こらなかった。
『二年B組の出し物。お笑い劇場の開幕です。』
飾りつけの作業で舞台に背を向けていた智樹は、吹き出しそうになった。内心、これはリーサルも成功しないなと思った。
感想ありがとうございます。ありがたく読ませていただきました。まだ改行がへたくそで申し訳ありません。これからもっと練習していくので温かい目でお読みください...。これからもまだまだ続きますのでよろしくお願いします。