第11話 初恋
「どこ行くの?」
足が何回かもつれそうになりながら、まりは優子を引っ張っていく。額の汗が少しずつ落ちてくる。
「もうそろそろ目を、目を閉じて」
まりは、息を詰まらせながら指示する。優子はゆっくりと目を閉じた。
「ここからゆっくり歩くから……手、握ったままにして?」
うなずくと、手を強く握った。大きな太陽が隠れていく。それに従って二人の影は長く長くなっていく。
この丘までやってきた。
「もう、目開けていいよ」
優子の耳元でそっと囁くと優子は一瞬肩を震わせていた。
優子はゆっくり、くっつけていた瞼開く。その瞳には何が映ったのだろうか?
「優子?」
心配そうに尋ねるまりは、優子の肩に手を乗せた。夕日がどんどん長く真っ暗闇が忍び寄っていく。
「三田く、ん?」
自信なさげに聞く優子には、その周りにいるボランティア部のメンバーだれ一人も見えていないようだった。
***
「あの話には、続きというか補足があるの」
「あの話?」
「優子ちゃんの話」
智樹は、廊下の窓に手をかけ外の風を体いっぱいに集めていた。
「優子ちゃんが千羽鶴送った子はね、優子ちゃんが気になってた子だったんだって。あっ、これ秘密ね」
鈴木は口元で人差し指を立てた。
「それで?」と話を続ける。
「やっぱり、好きな子の前では強がったり、完璧でいたいし、千羽鶴あげる日はその子の手術日で元気になってもらえるように願いを込めたものでもあったから、何としてもその日に間に合わせたかった……」
智樹には、うなずくことしかできなかった。
「それでその子どうなったんだ?」
「その子、死んではいないけど、未だに闘病生活中。だから、優子は自分のせいじゃないのに、『勇気づけられなかったから』っていう理由で責めてる……自分を」
強がったり、完璧でいたいか……。智樹にはなんとなくわかる気がした。鈴木の前では、頼れる人でいたい。それに、悲しそうな顔は、もう、二度と見たくはない。
————あの日のように……
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