表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ようこそボランティア部へ  作者: 白石みのり
夏休みと夏祭り
22/33

第10話 予感

「そんな簡単に……」


智樹は言いかけて鈴木は、自分の唇の前で指で小さくバツを作った。


「ダメだって。そんなネガティブに言ったら。そんなこと言うとすぐ幸運逃げるよ!」


智樹は手を腰にしため息をつく。すかさず鈴木は少し智樹に睨んだ。



「だからダメだって、ため息は吸い込むのこうやって……」



そういうと鈴木は、肺いっぱいに空気を吸って息を止めた。苦しそうに洪水のように吐き出す。


ってね。と、どや顔でこちらを見るが吐き出した時をため息というのではないだろうか?という疑問は、口にしまっておくことにした。



「それで、どうするんだ?」



「考えはある!」


自信満々な鈴木には何か秘策があるようだった。


***


「ねえ。まりは、どうして……」


優子は、暗い部屋の中でドアにもたれかかっていた。その壁の向こう側にはまりがいる。それだけで、自分は一人じゃないと安心することができている。


もし……姉妹じゃなかったら?そんな質問を自分に問いかけて愚問だと思っている。


「優子?どうしたの?」


不思議のそうなまりの声が暗い部屋には染みこんできた。


「私、お姉ちゃんみたいになれない」


ぼそっと、つぶやいた言葉は自分に何回も波のように跳ね返ってきてはむなしくなっていく。


「だから!」


まりは声を荒らげ、いきなり部屋のドアを開けると、優子の細い手を強く握った。


「行こう!先輩たちのところに!」


暗い部屋には、廊下のオレンジ色の暖かい光が一筋、差し込み赤くはれた顔を薄っすらと照らして、まりに言われるがまま、部屋から半ば強引に連れ出されていく。熱くうっとうしい空気を私たちは今、切り裂いているようだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ