第3話 本当の気持ち
最近、いろいろあって一カ月以上空いてしまいましたが読んでもらえると幸いです。
目が覚めると目の前には、鈴木が立っている。
「智樹君?どうかしたの」
寝ぼけ眼をこすると目の前には、小学校の見慣れた教室が広がっていた。
「ここは?」
「何言ってるの?小学校だよ」
鈴木は、じょうろ片手に教室にある花に水をやっている。教室の黒板に書かれてる日付に注目すると、亡くなる一週間と一日前だった。
そう思うと、いてもたってもいられず。気が付くと鈴木の腕を握って引っ張り、教室を出ていた。だが鈴木はその手を強く振りほどくと言った。その腕には、しっかりと赤く手形が付いてる。
「ちょっと何するの?」
「ご、ごめん」
「今日、おかしいよ。変だよ」
鈴木は少し困った顔をしていたが、焦る気持ちはどうしようもなかった。
「今日付き合ってくれない?」
強引に、大胆に、智樹は慣れない言葉で鈴木を誘った。
「今日は無理……ともくん、ごめん」
鈴木は、うつむいたままだ。
「僕は……僕は、その、鈴木が好きだ」
鈴木のかをはうつむいたままでもわかるくらいに赤くなっていく。
「鈴木?」
「君になんて……君になんて、会わなきゃよかった。絶交だよ」
走り去る鈴木の背中を目で追うことしかできなかった。
「何やってるんだ俺は」
強くこぶしを握る。あふれてくる大粒の涙を我慢しながらその場に立ち尽くした。
目の前には、月見が現れた。
「これは、あなたの記憶です。やっぱり、過去を改変することは難しいようです。川辺での別れ話から、学校での別れ話にしか切り替わってない」
神妙な面持ちの月見は考え込んでいた。
「でも、また、ここから変えればいい話だろ」
「そんな簡単にいくものじゃないんです。こうなったら、この前みたいに戻りましょう。そして、短い鈴木さんとの日々を謳歌してください。もう方法は、プールサイドで花火をやった日に戻って、夏祭りの日までがタイムリミットです」
「何言ってるんだ。『もう一度チャンスくれる』って言ったじゃないか」
「いいましたよ。でも、もうそれしか方法は残ってないんです。私が嘘ついてるように見えますか?」
月見の顔は、夕日に照らされ涙がきらめいて見える。月見は、ただこちらを悲しげに眺めているばかりだった。