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ようこそボランティア部へ  作者: 白石みのり
夏休みと夏祭り
14/33

第2話 魔女の涙

日はゆっくりと、地平線に飲み込まれていく。


「あなたは、どうしたいの?」


月が輝き始める

「月見は、どうしたいんだ?」


長い沈黙が、時が止まっているかのように錯覚させる。


「私は君の判断に任せる。けど、この前までいい感じだったよ。このままいけば、計画がうまくいくと思ったんだけどね。」

「それはどういう意味だよ」

「私は、君が鈴木杏奈の記憶を差し出して、私がそれを使って〝鈴木杏奈”を作る。そうすれば、君たちの関係もすべてうまくいく。それに、鈴木杏奈を思い続けると言ったが二人がまた違う形で愛し続けることができれば問題ない。でも、今回の失敗は、無理に思い出そうと思って最終的に思い出してしまったんだ」


風が音を立てて流れていく。川もそれに対抗するように静かに岩にあたる音が聞こえる。



「もう一度聞く。何で関係のない月見がここまでやるんだ」


「鈍感なんだね.......。私は、君のこと.......すk、好きだから」


言い放たれた言葉は熱く透き通っていた。智樹は、頭から煙が出るくらいにぼっとした。


「私は、魔女だからなんだってできる人を生き返らせるぐらい.......。」

照れ隠しのように言う月見の声が智樹の耳にはまったっく入ってこない。月見の顔は、月が雲に出たり入ったりを繰り返すその時に輪郭がよく見える。その輪郭はうっすらぼやけ涙がほうを伝って落ちるとき月の光を反射する。


「でも、残酷ね。香口智樹。君は、鈴木杏奈を愛しているのだから……。」


「・・・・・・」


「じゃあ、結論を早く言って」


智樹はうつむきながら月見に一歩ずつ近寄った。夜景がどんどん光の点しか見えなくなっていく、ぼやぼやと消えたり光ったり


「月見。君の思いにはこたえられない」

あたりの静けさがより一層声を引き立てる。


月見は不意に笑みをこぼした。智樹は、予想していない表情にあっけにとられ立ち尽くした。


「そう言うと思った。」

小さな声でつぶやかれた言葉は悲しく色づく。月見は、涙をぬぐった。



すると、一瞬風が強く吹く。月見の髪の毛を揺らすと月見は、髪をかき上げながら口をパクパクと動かした。




                 “ありがとう”


また深い眠りのように体が次第に重くなっていく。その現象に逆らえないまま智樹は目をつぶった。


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