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紅の姫君  作者: 相樫りわ
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第19話  寒い海と温かい人

もんのすごおくれてもうしわけございません・・・・!

今あたしは、あのながーいながーい道のりを歩いた先の、お茶会場にいる。


「紅誇。今日はなんだか大胆な格好してるんだね」

「ちょっ!モカ、そんなこといわないでくれよー!!!」

ちょちょっと、初っ端からすごい発言をしないでほしい。でもまあ、あたしを見れば仕方ないよね。

今あたしは、お腹とか肩とか、いろんなところの見えまくるビキニ系の格好をしてる。いや、ビキニだよ。正直に言っちゃったけど。胸のところにでっかいリボンがついた青い水玉のビキニだよ。その上に薄っぺらい上着羽織ってるだけだからちょっと潮風が寒い。


「でも、なんでそんな格好してるの紅誇?」

「いや、ここって海のすぐそばでしょ?だから泳いでみたいなーって思って」

「ちょっ・・・・バカかお前?!まだ泳ぐような季節じゃないだろ!」

え・・・アーモンド、バカは酷いよバカは。これでも数学の成績はクラスでも上位なんだぞ。英語は自重したほうがいいくらい悪いけど。



そのとき、あの可愛い声がした。

「むぅ・・・くこ、およぐの・・・?」

「コナくんっ!!!お姉さんは嬉しいよ!今日は起きているんだね!!!」

「およぐ?」

「うん、そのつもりだけど?」

「なんか紅誇って、コナとか年下に接するときだけ猫撫で声になるよな」

「なんか言ったかな〜アーモンド君?」

机の下で、足のやり取りをした(あたしがアーモンドの足を力いっぱい踏みつけただけ)。


ったくもう、冗談じゃない。猫撫で声なんて人聞き悪いなぁ。

「ちょ、紅誇、怖い!!顔が怖い!!!!」

「黙れアーモンド。今すぐ黙れ」

凍るような目線(自分で言う)で睨めつける。アーモンドは、恐怖の表情で、まるでメドゥーサにでも睨まれたように固まった。


まあ、そういうことはほっといて。


「泳ごうと思ってるけど」

「じゃあ、ぼくもー」

コナ君は、突如そういうと、うぅーんと伸びをして、今までの動きからじゃ思いもよらない俊敏な動きで立ち上がった。

「え、ちょ、コナ君?!」

「およぐじゅんびしてまってて」


それだけ言うと、コナ君は勝手になんかすたすたログハウスの中に入ってっちゃった。え、どーゆーことなの?状況に頭がついていかないんですけど。



「・・・えっと」

「あのね、紅誇。コナは、お菓子以外は何にも興味は示さないけど、ひとつだけ、泳ぐことだけはなぜか大好きで、すっごい泳げるんだよ」

・・・・・ほんとになんで?訳わかんないですけど。



しばらくしたら、コナ君が稀にしか見れないぱっちりしたココア色の瞳を見開いて、水着姿で出てきた。ヤバイ、微ワイルドで超可愛い。

「およご、くこ」

あたしは、唖然としたままなぜかすごい力のコナ君にしょっぴかれていった。



あの、すいません。ガチで困ってます。なんでこんなに寒いんですか。

「ここここコナ君あああああたしももうげげげげ限界なんですけど・・・・・!!!」

「なにいってんのくこー。これからだよー」

今あたしは、コナ君と一緒に海に入っている。あたしって体強いし、寒いのとか超平気。ちょっとくらい寒くったってよゆうっち。

と、思ってた。


でも実際、あたしはこの季節の海をナメてたと言えるだろう。

陸は、ちょっと肌寒くて、でも海入っちゃえば大丈夫って思っていたし、泳げるし♪と思っていたけれど、実感した。ここの海、超寒い。


「ばばばばばかじゃないのこの水温・・・・!!」

寒すぎて舌もまわらないっつーの!いつ足攣ってもおかしくないじゃん・・!


なのに、それなのに。

コナ君は、きゃらきゃらいつもじゃ絶対見れないキュートな笑顔をさらしながら、この寒い海を余裕で泳ぎまわっている。あたしの心臓がふるふる震えているのは、そして身体におかしいほどの震えが走るのは、コナ君のその希少価値の高い元気な笑顔を見れた感動からではないだろう。


「あああがろうよコナ君・・・・」

もし、もしもだよ?あたしの足が攣ったなら。そして溺れかけたなら。コナ君は、いくら泳ぎが得意と言ってもあたしを助けることなんてできないだろう。ここはコナ君の強い意志によりおとずれた水深がすごく深いところ。すでに岸とは何十メートルも離れているしあたしは自分の保身もできない。「海に帰る」とか、そんなロマンチックなことを言ってる場合じゃない。そんなの断る。まだあたしは若いんだ。

そんなことになる前に。せめて、暖かい場所へ帰りたい。


そのとき。コナ君が不安げにあたしの顔を覗き込んだ。

「どうしたの、くこ。かおいろわるいよ?」

「うぅん・・・・・・・」

ふっと景色が暗転した。と同時に、右足に鋭い激痛が走った。あたしの意識は遠ざかり、海の深いコバルトブルーがやけに瞼の裏に残り―――――






「ん」

目覚めは、最悪だった。水を飲んだのか、頭を打ったのか、やけに意識もぼんやりしてるし今にも吐きそう。


「大丈夫か、紅誇」

瞼から力を抜いたあたしの耳に、心地よく響く低いアーモンドの声が聞こえた。

「アー・・・モンド」

「うん、意識は平気っぽいな」

あたしの額に手をあててアーモンドは呟く。

「ちょっと熱っぽいけど、しばらく休んどけば平気だと思う」

「アーモンド、あたし、どうなったの?」


少し間をおいてアーモンドは少し微笑んだ。

「急に冷たい水の中に入ったから、貧血っぽいのと足を攣るの両方同時に起こして、意識飛ばしたんだよ。幸いコナが陸までつれてきてくれたけど」

「は・・・」

なんか、コナ君を過小評価してたみたい。あたしがだめになっちゃっても、コナ君は助けてくれた。ごめん、コナ君。


「とにかく、お前は明日までしっかり休んで睡眠もとって、養生すること!お城には俺のほうから連絡入れとくし、安心しろ」

「え、そんな・・・・・もう他の人に迷惑かけらんないし・・・ココ君にも心配かけたくないし」

あたしは、そういって、ぱっと立ち上がろうとした。立った、と思ったら、くらっとして、またベッドに座り込んでしまった。


「馬鹿か、お前。無茶すんなよ。城かえるまでに倒れられた方が困るし、こっちは迷惑してないから。部屋とかも十分余ってるし。まあ、そんなに気にするなら、明日帰ってからココにしっかり叱られて、謝っとくんだな」

「・・・・・・・うん」

あたしは、ぐらぐらする頭を押さえながらアーモンドに支えられてまたベッドに横たわった。

思えば、そのとおりかもしれない。こんな最悪な状態のまま帰ったら、途中の道のりでふらっと倒れてしまうに決まってる。


「あ、そういえば、ここはどこ?」

「ログハウス。空き部屋」

「さすがベリーの国。ちょーイチゴのにおいしてる」

「芳しいだろう」

「・・・ん」


アーモンドに言われて、胸いっぱい苺の芳香を吸い込んだら、ふっと睡魔が襲ってきて、何分もしないうちにあたしは眠りに落ちてしまった。





「・・・寝たか」

アーモンドは、すーすー寝息を立てるどこかあどけない紅誇を見て、微笑んだ。


「いい夢を、紅誇」

紅誇の額に、そっとキスをするとアーモンドは部屋を出て行った。






「んーん」

目が覚めると、自分の寝ていた部屋にお日様の光が差し込んでいた。窓際には、背の高い青年のシルエット。

「・・・・・アーモンド」

「あっ、わり、目、覚めちゃった?眩しいかなと思って迷ったんだけど」

「ううん、平気。もう起きる」


身を起こすと、昨夜のぐらぐらした不快感や吐き気が消えているのがわかった。


「大丈夫そうだな」

額に掌を当てたアーモンドが微笑む。

「ん、介抱ありがと。おかげで治った」

「よかった。でも、念のため俺、城まで送ってくから」

「うん、ありがとね」



着替えやらいろいろ済ませてから、あたしたちはお城に向かった。この間知った近道を通って、お城に着く。お城の裏口では、ココ君がそわそわと待ってくれていた。








はい、もー今まで以上に意味のわからないものになってしまいました・・・すみませんっ!

おいおいガーリーアリスも更新しますので、どうか見捨てないでやってくださいませ。

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