第17話 HAPPY WEDDING!!!
ちょっとヤバイ事実が判明します。
「で?急に何をしにきたの?ずいぶん急いで」
今、あたしは迷いの森の中にいる。もっと詳しく言えば、チェリー、アップル、ピーチのティーパーティーに。
「だ、だから・・・・さっきちょっと町に出ようと思ってお城を出てお城の庭を通ってたら・・・」
そう、今あたしはこのティーパーティー会場に駆け込んできたところなんだ。
だって、さっきもいったようにお城を出て庭通ってたらさ・・・
時は10分前。
あたしは、あの迷路みたいな庭を頑張って通り抜けようとしてた。それで憶えてる道のり通ってたらね・・・
「がんばっちゃって、可愛いね貴女」
頭上から声が!!!いやいや、まてまて。この声は・・・恐る恐る上を見上げると、
「潤風ゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!!!!!」
悲鳴に近い声を上げた。いやいや、おかしくない?!だって垣根の上に座ってるんだよ、狼耳のクレイジーが!!!ホラーだからね、これ!
「そんなに頑張らなくても、俺を頼ってくれればいつだって抜けられるのに」
「頼るか!また殺されそうになるじゃん!」
「まさか。あれは俺の善意だって」
「どこが?!」
うん、いつにも増してクレイジーでデンジャラスなやつだ。やばすぎる。思考回路を誰か直してやってください!
「ほら」
それだけいうとクレイジー狼は飛び降り、立ちすくむあたしをひょいっと横抱きして飛び上がる。
「またこのパターン?!」
「いっくよー」
ひょい、ひょい、ひょい。垣根をホップステップジャンプしながらこのクレイジー狼は500メートルはあろうかという迷路をずんずん進んでいる。
「まだこんなしか行ってなかったんだ・・・」
潤風がいてよかった。・・・ん?いや待て、何言ってるんだあたしは?!こんなやつがいて良いわけ無いでしょ!
「って、おろせバカ!!あたしは町に用事があるんじゃ!!」
「そっちの方が好都合。俺も町に行きたかったし♪ね、デート♪♪」
「んなことするか!早く降ろせったら!!」
「仕方ないなあ、お姫様は。白の王子に失礼すぎない?」
あたしが潤風に降ろせばっかり言ってると、さすがの潤風も文句をぶつぶつ言いながら降ろしてくれた。ザマミロ、クレイジーめ!!
その後クレイジー・デンジャラース(潤風のこと)はヒューンと空高くに飛び上がって町のほうに行ってしまった。この国の人はみんな空が飛べるのかね?
「・・・って言うわけなんだよ〜」
「うそ、うるっぴが?!」
「すごぉい、好かれてるんですねっ!」
「仲良し、ですー」
今、聞いてはいけない単語を聞いたような気がします。
「・・・うるっ・・・ぴ?」
「んあー?潤風のこと〜〜」
「ってか、仲良いの?!」
やばいぞ、最近の教育は!あいつは18歳まで閲覧禁止にしないといけないのに!いやむしろ、全年齢閲覧禁止にしてください!危ないから!!
「「「うん」」」
うわぁ・・・・最近は残酷な時代になったものですねお父様、そうだな紅誇よ。
な、何故にこんな可愛い子達があのドSロリコンと仲良いのだ――!!はっ、もしや・・・!
「ちょちょっと三人、ああああいつに喰われてない?!」
「えー?」
・・・そう、今気になるのはこの子達の安全です。同年代のくせしてあたしよりも童顔で背も低いからね。あいつの好みそうな子達。
「バカだなあ、紅誇は。俺はもっと純情だよ」
「え・・・・・・」
うん、聞きたくない声ナンバーワンだ。
「ででででで出たァァァァァ!!!!」
ギャー、潤風!何故ここにいるんじゃ!
「だだだ誰か、たた助けてェェェ!」
もう絶叫。しかも当の潤風はのんきにピーチに後ろから抱き付いて、頭に顎を乗せている。
「ちょっと、ピーチ逃げて!熊と狼の相の子ができちゃうよ!恐怖だからァァァ!!」
でもピーチは逃げる様子も無い。えー?なんですー?みたいな顔でこっちを見つめる。うお、可愛い!でも、今は危機感を持とう。危ないぞ、その後ろにいる奴が。
「ハァ――・・・紅誇姫、ピーチ嬢は俺の奥様だよ?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「潤風はあたしの旦那様ですよー」
「っキャァァァァァァ!!教育方針狂ったァァァァ!!!」
いやいやいやまて、この子あたしと同年齢の14歳だよね!?ちょいまち、おかしくない?!法律無視だよね?これって法律無視だよね!?
「ピーチずるいよねー」
「潤風様かっこいいですのに、14歳で奪っちゃうなんて酷いですよー」
「反応ちげェェェェ!!」
やばいぞやばいぞ、まずいことが発覚した。犯罪の匂いがします!警察、ヘルプミー!ヘルプミィィィィィ!!
「・・・で、それは嘘だよね?」
「ほんとーでーすー」
「が・・・・っくし」
最後の望みを絶たれた・・・・いや、変換間違い、最期の望みを絶たれたでした(死ぬの?!あたし死ぬの?!!)。
「さーてと、紅誇、もうそろそろ6時近いけど?」
「嘘!帰んなきゃじゃん!だからこのドームやなんだよー」
そそくさとあたしは帰り支度を始めた。
「ピーチ!クレイジー!」
「それは俺のことかな?」
「モチよ!結婚してるっていうのあたし納得してないんだから、今度詳しく教えなよ!」
「はいですー」
「そんなの待つ必要ないよ。俺が教えてあげる」
そういうとまたクレイジーはあたしをお姫様抱っこ。
「ちちょっと、ピーチっていう可愛い嫁がいながら何してんだボケ!」
「いいじゃん。いいよね、ハニー?」
「はい、いいですよー、ご主人様ー」
人のいい笑顔でピーチは微笑む。・・・・絶対新婚だな、この二人。ハニーとか呼んでるよ。ご主人様とかマジで可愛いんだけど。
「ね?」
そのままクレイジーは飛び上がった。
「・・・・ギャ――――!!!や・め・てェェェェ!!」
「じゃあ、俺らの馴れ初め話するねー」
「今?!」
「えーと、なんか教室で二人だけになったら急にキスしたくなってー、したらピーチが『番になります?』とかいうから、まあいいかなーと思ってー、2週間後に結婚式挙げたーみたいなー?」
「ざけんな。年頃の女の子にいきなりキスすんじゃねー」
「仕方ないじゃ〜〜ん♪いつもは押さえてる欲情を抑え切れなかったんだもん☆でも、襲わなくってよかったよ」
「そしたら今頃あたしはお前を殺している」
「この間初体験したけど〜〜♪」
「コロス!!!」
なんだと?!じゃあえー、うわ、想像すんのも恥ずかしいわ。コイツ・・・・!
「ちがうちがう。だからー、結婚届の初体験!」
「別の意味で殺すぞォォォ!」
うわー、違う羞恥が襲ってきたよ!!やめて、これじゃあたしが変態だと思われるじゃん!!
「ま、君は変態でマゾだからねー」
「だからマゾじゃないから!どっちかっつったらサドに近いから!」
「やっぱ変態なんだ」
「ちげェェェェェ!」
そんな感じに、ヤバヤバな馴れ初めを聞かされたあたしは、唖然としてたけど、彼の話は楽しそうに続く。
「ちなみに結婚したのは2年前だよ」
「うそ!それで“ハニー”&“ご主人様”!?」
「いいじゃん♪可愛いし」
「ハニーとかきしょいわボケェェェェェェ!!!」
しかもピーチにしても簡単にご主人様とか言うなよ。メイドかっての。しかもなんか『番になります?』とかいうしさ。危機感な!!!
そんなこんなのうちにお城に着いた。
「うーん、なんかちょっと強引だった気もするけど、ありがと」
「お礼を言っていただけて光栄だね」
「“ハニー”、大事にしなよー」
「わかってるし」
あたしたちは、手を振って別れた。
ちょっとだけ・・・・中身がわかった、かも?
まあ、紅誇は住人さんの新しい事実を学んだんですよ。
いや、やりすぎですかね?
次回は多分、平安貴族たち殿の出番が回ってきます。最近潤風さんをもっと出さねば!!と思いバンバン出していたら出まくりなので、これから3回ほどは出さない予定でいます。
もしもこの変態ロリコンがお好きでもっと出してください!という方がいましたら、言ってくださいませ。しっかり出します故。
あと、もっとこの人たちを出しまくってくださいという要望があったらおっしゃってください。しっかりと組み込みまくろうと思います。
ではでは、ありがとうございました。