第14話 愛と少年
君は僕の事を
僕ほどに想っていないかもしれない
でも僕は
僕の願望に忠実に―――――
「う、う〜ん・・・・・・」
ただいまの時間PM2:30.
今日も昼寝は絶好調だった。
「うわ、ヤバイ!」
今日こそは絶対に女王様と会ってみようと思っていたのに!!
何こんなところでのんきに昼寝なんかしてるんだあたしは!
ぐぐぐっ。寝返りをうって目を覚まそうと右に転がる。
「す―――――」
「すー?」
なんか今、聞こえちゃいけないものが聞こえたような。
覚悟を決めて目をあける。
「・・・・・・・・」
「おはようございます、お姉さん。気分はいかがですか?」
「・・・・・・・ッギャァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
「ちょっとお姉さん?!大丈夫ですか?!」
「ななななな・・・・・!!」
そこにいたのはいとしきあの猫耳少年。ていうかマジでなんでいんの!?
「なっ、なんでここここここに・・・・」
「お姉さんの部屋に遊びにきたらお姉さんが気持ちよさそうに寝ていたもので・・・思わず僕も添い寝しちゃいました」
はにかみながら言う彼はかわ・・・じゃない!!そうじゃなくて!
「いやいや、おかしいだろう、何故当然のように乙女の部屋に侵入してきて当然のように添い寝してんの!絶対おかしいよ!家宅侵入罪だよ!」
「お姉さん、僕も一応この城の住人ですから。家宅侵入じゃありませんから。それにいいじゃないですか。どうせ結婚する身ですし〜♪」
「ココ君!なにいってるんですか!それはそうにせよそれまでは紳士でいてくださいよ!」
「無理です♪」
にこやかに言ったココ君はあたしに抱きついてくる。可愛いなぁ・・・
輝く金髪が柔らかくて気持ちいい。無意識のうちに頭を撫でていた。
「お姉さん。今日もどこかへ行きますか?」
「え、えーと、今日は一応女王様に会ってみたいなぁ、と」
「そうですか?でも今日は生憎と女王様は公爵邸に遊びに行かれてしまってますが・・」
「え!」
驚いてぱっと手を離してしまった。ってか、女王様って外に出たんだ。あたしとしては家の中で豪勢な暮らし〜みたいなんだと思ってたのに。
「ということで、お姉さん」
「え?」
キラキラした笑顔で彼はあたしを見つめる。
「今日はゆっく〜り一緒にいましょうね☆」
あまりにも可愛すぎる。その笑顔はやられる。けど、え?一緒にいましょうねって・・・
「うん、まぁいいよ。暇だし」
「やった」
それだけ言うとココ君はあたしに体重をかけてきた。
「え?ちょ、うわうわちょっと・・・・・!!」
いやいや、別に重かったりするわけじゃない。要は、その体制。なんであたしはココ君に押し倒されちゃってます体制なの?!え、ちょ、待て待て!!
今ちょっとヤバイ。手まで押さえつけられて、ちょっとマジで・・・・
耳元で、囁かれる。
「お姉さん、僕を愛してください」
いや待て、何言ってるんだ。
耳を彼の薄い吐息が刺激して、背中が少しゾクッとする。
「お姉さん、僕に愛をください」
いやだから、何を言っているんだよ。
甘い言葉を囁かれる。
「お姉さん、僕は貴女を愛すけど、貴女は僕を愛してくれますか・・・?」
「待て。君は、何を言ってるんだ?」
「愛して、ほしいんです。お姉さんの、愛がほしいんです。聞いてくれますか?僕の話を」
彼はいつになくシリアスな雰囲気を醸し出している。
こんなになった彼に疑問は残るけど、聞いてあげないと。今にも涙のこぼれそうな彼の震える瞳を見て、そう思った。
「う・・・・・・・・・ん」
「じゃ、聞いてくれますね。では、4年前。ココ=ナツ・パーム少年の悲劇のお話、始まり、始まり・・・
4年前の話です。ココ少年という、どこかのお城の王子様がいました。ココ少年は女王様と王様から大きな愛情を受けて育ちました。
あるとき、ココ少年が寝ていると、物音がしたので、少年は目を覚ましてしまいました。
少年がじっとまた寝ようとしていると、不意に、ガタンッという大きな音がして、少年はしっかりおきてしまいました。そこで少年が聞き耳を立てていると、なにやら話し声が聞こえてきます。
その声は小さくてココ少年にはよく聞こえませんでしたので、少年はまた眠ってしまいました。
しかし次の日の朝、少年は目を覚ました途端、悲鳴を上げました。
なぜなら少年の横にいたはずの両親は消え去り、血痕が残っていて、一本ずつ緋色の薔薇だけが残っていたからです。
その後少年は若すぎるから代理ということで、美しく気品があり頭のよい公爵と公爵夫人が少年が15になるまでの王としてつれてこられました。
しかしその公爵たちからは少年は今まで受けていたような優しい愛をもらうことはできなくなってしまったのです――――――――――
・・・それからココ少年は自分には13代目のナッツ様という婚約者がいると知って、その姫御子が自分にあの頃のような愛をくれる人だと願いながら育ってきたのです・・・・お終い」
それをきいたあと、あたしはしばらく動くことができなかった。
思いがけないココ君の過去に呆然とした。
「そ・・・んな・・・・・」
「いえ、本当のお話です。そんな訳で、ココ少年はいま、優しくて綺麗で可愛い婚約者様に出会えて、有頂天になっています」
でも、今気になるところは、そこじゃない。
「ご両親は・・・王様と女王様は・・・・・殺されたの・・・?」
「わかりません。ちなみに緋色の薔薇の花言葉は『陰謀』です」
「じゃあ刺客か何かが・・・?」
「多分。王位を狙うものか誰かが殺しに来たのかもしれませんし、あるいは私怨で」
ココ君は・・・愛情に飢えていたのか・・・・
実はあたしも、早くに両親をなくして家族が意地悪な伯父さんだけだったりするから、なんとなくわかる。
でも、でもそんな、傷が深すぎる。まだまだ幼くって、たっぷりの愛情ももらい損ねて・・・
愛さなくては、この少年を。
あたしを長い間ずっと待っていた、愛情に飢えた少年だから。
ううん、それ以前に――――
あたしが、彼を愛したいから・・・・!
あたしは、ココ君をギュッと抱きしめた。
ココ君の潤んだ瞳から一筋の涙がこぼれおちたのを、見なかったことにして。
そのあとあたしが立ち直ったココ君に喰われそうになったのは、言うまでもないだろう・・・
「ッギャァァァァァ!!!!冷静に言ってないであたしィィィ!!!」
うわ、後半から超シリアスになってしまいました・・・(アホか
意外と悲しい過去をかいくぐって生きてきたんですね、ココも紅誇も(お前が作ったんだろ
たぶん次回はハチャメチャストーリーになるか、女王様が出てくるかです(曖昧?!
乞うご期待!!(しないでください!