第11話 平安貴族のお屋敷
もうなんか、めっちゃくちゃな感じです。
ヤバイですよ〜〜。
はい、今、貴族のお屋敷の前にいます。
「今、父上を呼んできますね?そのあたりで蹴鞠とか曲水の宴をお楽しみください」
と言われて。
「っていわれてもさぁ・・・・」
さっきの驚きが消え切れてないのに楽しめますか!って、ツッコむべきところはそこじゃないよ!あたし、この国の人に放置された回数これで3回目だよ!もう放置はやめてぇ!!!
とはいえ、仕方ないので、蹴鞠を見に行ってみた。
「・・・・・・すごい」
みんな、超うまかった。なんであんな凹んだサッカーボールみたいので遊べるの。
てか、これ本当に遊戯なのかな?
と、そのときやっていた中の一人が、あたしに声をかけてきた。
「あれ?これはこれは、紅誇殿ではございませぬか」
古ッ!!!!口調古いよ!あなた美形なのにそのしゃべり方はないよ!!!!
と言うか、なぜあたしを知っている。どっかで会った?
「あの・・・えと・・・・」
「おっと。申し訳ございませぬ。わたしは、藤原道王という者。藤原家の血を引いておりまする」
「あ・・・ども・・・・初めまして・・・有賀紅誇です」
自己紹介したら、いろんな人が驚いてきた。
「おお!ナッツ殿の生まれ変わったお姿」
「なんと。こちらが道王殿の言っていた可愛らしいお嬢さん。なるほど可愛いですな」
「あ・・・どうも・・」
「緊張することはありませぬよ。気の置けない仲になることを願おう」
「は・・・」
いえ皆さん!あたしは緊張しているのではなくちょっと驚きすぎているだけですから!!!
てか、マジで口調古いって!いやマジで!そしてあんたらは誰なんだ!あたしあんたらの事知らないぞ!?
「おや。紅誇殿、わたしを覚えておりませぬか。と言っても、まぁ当たり前ですから、気になさることはありませぬ」
「えーと、で何処でお会いしましたか」
「あのときの貴女といったらもうそれはそれは輝いていて、眩しすぎましたな」
「いえですから何処で・・・」
「素敵なごかっ「いいから何処で会ったか言えェェェェ!!!」
あたしはもう待ちきれなくなって叫んだ。いい加減にしろ。何を考えているんだ。
しかしながら直衣姿の御貴族は、はっはっはと笑い出した。いや、なんかあたしは変なことを言ったりしていないはずなんだけど?!
「元気のよろしい姫君だ。国も明るくなりそうですな」
「ですなー」
そういうことですかい。
「ちなみに、わたしはダンスパーティにおりましたぞ」
「ん・・・?!あ・・・」
「バーテンの隣にいたんですな」
「あ―――ッ!こっ、これはどうも・・」
・・・思い出した。
あたしがへろへろになってカウンターに行ったとき、バーテンの隣にいたお兄さんだ。
よく考えてみたら確かにそのお兄さんは道王さんだった。
なんという不覚・・・
「すみません・・・・」
「いやいや、謝ることなんか」
「いえ、あたし、忘れていましたから・・・」
「大丈夫」
さも慣れちゃいました☆風に道王さんは笑う。
いえ、ダメですよ?そんなのに慣れちゃ。
と、そのとき。
「紅誇さま―――――――ッッ!!!」
名前を呼ばれて、振り返ってみれば十二単を着た羊娘が駆けてくる。
・・・大丈夫なのかな。あれ、10キロあるんだよ?筋肉痛になっても知らないよ?
「紅誇さま!こんなところにいらっしゃったんですか?ちょうどいいです。ほら、父上、ちゃんと紅誇さまに御挨拶したんですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え」
「もちろん。わたしはそんな挨拶さえも忘れるような貴族ではないぞ」
いやあんた、バッチリ忘れてたよ?初めに発した言語は挨拶じゃなかったと記憶してるよ?
でも、今考えるべきはそこじゃない。え、なに?父上?誰が?誰の?
道王さんが・・・・?
奏唄の・・・・・・?
「えええぇぇぇぇぇぇぇッッッッッッ!!!!!」
絶叫。放心。
「わ!どうされましたか、紅誇さまっ?!」
「え、だだだだって、いいいま、ちちち父上って・・・みみ道王さんも返事・・・」
「え?あ、えぇぇ?!嘘、父上紅誇さまに父子だっていって・・・」
「ん?無論言っていないぞ?第一お前と紅誇さまが友人だなんて知らなかったしのう」
「なんと。これだから父上は困るのですよ・・・」
まだ唖然としているあたしのほうを奏唄は振り返った。
「こほん。申し遅れました、父の道王でございます」
「えええじゃぁやっぱり・・・・」
「はい。親子でございます」
何故・・・何故なのだ神様・・・・何故この二人が親子なの?
それ自体はそんな驚くべきことでもないはずなんだけどなぁ・・・・
あたしは、とんでもないことを聞いた気がした・・・。
☆★☆
バタンッ!!!!
「え」
あたしが皆様ともすっかり打ち解け、一緒に曲水の宴をやっていたときのこと。
突然、大きな門が激しく開いた。
「なっ」
「おぬし、何者?!」
いやだから、古いですって。おぬしとか言うなよ。仮にも美形なんだから。
心の中でツッコみつつもあたしは、門を開けた人物を見てびっくりした。
「お姉さん、いますか!!!!」
「ココ君!」
入ってきた人物は、なんとココ君だったのだ。幻覚じゃないよね?ないよね?
皆様も、ココ君を見て刀を(物騒なもの持ってんな。ここは銃刀法違反とかないの?)しまった。
「王子殿ではないか」
「その様子から見るに姫君のお出迎え」
「お姉さん!」
でもすでに、ココ君はあたしを見つけて駆けてきた。
「お姉さんッ・・・・無事でよかった」
あたしに抱きついたココ君はいつになく不安定で可愛くて・・・こうなんか、ちょっと可愛すぎて抱きしめたくなる。うん、抱きしめよう。
ギュッとすると、ココ君は上を向いてあたしと目を合わせる。その目はなんだかプリンよりも震えていた。えちょっと、泣かせた?!泣かせたのあたし!?
「お姉さん・・・・・」
頬と頬を触れ合うと、もうココ君に不安定さは感じられなかった。瞳もしっかりといつもの王子の品格を取り戻している。
「皆さん。今日はお姉さんがお世話になりました。奏唄もありがとうございました。森の中でお姉さんを見つけてくれてどうもありがとう」
ココ君がお礼を言うと、みんないえいえと首を振った。
「今日はわたしたちも楽しませていただいたし」
「のう?紅誇殿とも知り合えてよかったし」
「いつでも遊びに来てくださいね、紅誇さま?迷ったらわたしがお助けいたします」
「うん、ありがとう」
優しい言葉をもらえた。うん、君たち良い人ばっかりだね!言葉は古いけど。
「さあ、お姉さん、行きましょう。城下町、行くでしょう?」
「うん☆」
さっとあたしはココ君に姫抱きされた。にしても、力持ちだよなあ。姫抱きにしても、門を開いたときにしても。
ココ君は軽くお辞儀すると、ひらりと飛び上がる。
「えちょちょちょっとォォォォォォォォォォ!?飛ぶ意味あんのかァァァァァ!!!!!」
「はい♪だって、このまんまじゃ門が開けれないでしょう」
「嘘つけ!!さっき凄い音響かせて門壊れるくらいのスピードであけたじゃん!あれさっき確認したときはちゃんとあいてたぞ!!!」
「・・・森に捨てますよ」
「無理イイィィィィィィィッッッ!!!!!」
「冗談です♪」
「ギャアァァァ!!!」
※急降下・急上昇・急旋回いたします。心臓の弱い方・妊娠中の方・身長が140センチ以上でない方はお乗りになれません。
「え!!なにそれこのココ★コースター急旋回とかすんの?!ってか、ジェットコースターだったんだ!」
「しませんよ」
「なんだよアナウンスの嘘つき!!でもあたし140センチ身長ないよ!」
「良いんです♪僕が許しますから」
「許すな地上に降りろぉぉぉぉ!!!えちょっと、マジで怖いから・・・・!!!ッッギャァァァァァァ!!!!」
Good Luck!!!
「助けろバカ―――――!!!」
じゃ、出てくるかはよく分かりませんが、一応道王さんのご紹介を・・・
藤原道王
32歳
血液型・B
細かいことは気にしない、のんびりした平安時代の藤原道長の子孫。奏唄の父でどちらかというと奏唄に教育されてるっていう感じ。
刀の腕は超一流で強いけどまったりしているため、大変な事態に陥ったりしていない場合は和解を選ぶ方。
言葉遣いが古い。
好きなものは歌を詠むことで、嫌いなことは戦いと武士。
身長・181センチ
体重・68キロ
以上!!
紅誇はココ★コースターで生きて帰れたんでしょうか?まぁ、無事を祈りましょう!!!(爆