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紅の姫君  作者: 相樫りわ
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第10話  驚き桃の木

サブタイトルに惑わされないでください。

これから桃の木が深く関係してくる・・とかいうことはありませんのでご安心を(なら書くな

「お姉さん、ちょっと城下町の町役場まで行きますが、一緒についてきますか?」


すべては、この一言から始まった。



お城に来てから3日くらい経ったかな。

それだけなのにあたしは何もすることがなくなって暇をもてあましていた。

いや、前言撤回。やることはある。

城の中を見て回ったり、女王様に顔合わせをしたりと、飽きることはないはずなのだが、

「だってお城の中で迷子になりそうなんだもん」

というぐうたらな理由により、部屋の中にいること3日。さすがに飽きる。


そんなあたしを見かねてか、ココ君がそう声をかけてくれたのだ。



もちろん、死ぬほど暇だったあたしは瞬時に

「YES」と叫んでしまった。

「だって、城下町なんて、楽しそうだしね♪」

そして、今に至る。


いま、あたしは衣裳部屋で町に出るための服を選んでいる。

「う〜ん・・・」

何しろ派手なやつが多くてカジュアルで地味なのがなかなか見つからない。


そのとき、前にあるピンクのドレスの下に茶色い紙袋が落ちているのを見つけた。


「・・・・・・・・・・む」


開いて中身を見ると茜色の何かが入っている。どうやら洋服のようだ。

「なんだろ」

中身を開くとカジュアルで地味なちょうど探していたようなワンピースだった。

あたしとしてはワンピースよりズボンを志望なのだけどココ君が派手なドレスに変えかねないから、まぁこれで我慢しますよ……。


「お姉さん。もっと素敵なのがいくらでもあったでしょうに」

「だってみんな目立ちそうなのばっかじゃん」

「それはプリンセスなのだから当たり前ですよ。さ、そろそろ行かないといけません」


作戦成功!

ハデハデなドレスを着なくって済んだ!!



「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ・・・・」


おかしい。非常におかしい。

何を考えているんだ。

え?何がそんなにおかしいのかって?

そりゃまぁ・・・


門までの長さよ!!!!なんでこんなに長いの!

しかも、その構造もよ!

いやね、庭とかにあるガーデニングの芸術点については認めるよ?かわいい動物とかの形を模った葉っぱとか、高度に複雑な模様をお花畑で作ったとか、そういうのはすごいと思うよ?


でもさぁ・・・・

そういうのが全部迷路みたいにすごい複雑な道のりだったらどうする?唖然としません?

しかもその迷路みたいのが、入り口から出口までの距離としてはほとんど500メートル、道のりとしては実に1〜2キロとかあるんだよ?いや、比喩的表現とかじゃなくって実際にね?


「あ・・あと・・ど、どれくらい・・あるの・・・・」

息を切らせながらココ君に聞いてみる。

ぱぁっと華を咲かせたみたいな笑顔でココ君は振り向いてきた。か・わ・い・い・・・・

「あと200メートル前後です!大丈夫、確実に出口に向かっていますから!!!」

いやいや、向かっていなかったらどうするんだよ。あたしの足、もう長くは持ちませんて。


奇跡が起きた。

「う〜〜ん・・・・・」

あと100メートルくらいというところで(同時にもうあたしの足が壊れる直前というところで)草の前で悩む兵士をあたしたちは見つけた。

「どうしたんですか、ロイヤル」

「あ、お、王子・・・・」

顔が蒼ざめている。何かとんでもないことでもやらかしたのだろうか。たとえば、間違えて壁になっている草をCUT!!!してしまったとか!


「じ、実は、此処の大切な垣根を間違えて刈ってしまったのです」


軽い気持ちで当たった――――――!!!???

目が飛び出そうなあたしを気にせず、ココ君はそのロイヤルさんになにやら渡していた。

「こ、これは、王子・・・・!」

驚いた顔でロイヤルさんはココ君の顔を見た。

「名誉殊勲賞です、ロイヤル。あなたはここにおいて姫の足を救いました。ほら、お姉さん。ロイヤルのおかげで近道ができましたよ」

「え!マジで!助かる!あ、ありがとうございます、ロイヤルさん♪」


あたしがお礼を言うと驚いた顔で固まっているロイヤルさんは無意識にお辞儀をしていた。

「気にすることはありませんよ、お姉さん。彼は名誉殊勲賞授与の嬉しさのあまりに固まってしまっただけですから。あとは自分でどうにかするでしょう」

「う、うん・・・・・」

あたしはちょっと呆然としたまま、目の前に突如開けたとてつもなく大きくて立派なゲートを通り過ぎたのだった。


今あたしは、城下町の入り口に立っている。正しくいえばたった今お城を抜けたばかりで、あんまりさっきの行の終わりから時間はたっていない。


「・・・・・・・・・・っんじゃこりゃ」


あたしは、そう呟いた。呟いたのにはちゃんとした理由があって、理由というのは門を勇んで出たとたん、目の前に広がっていたのが大きな大きな木の塊だったというものだ。

「森?」

「はい、お姉さん。この森には樹の神様がいて、この森を城下町と城を近くするために伐採しても、次の日には完全復活しているそうなので、工事業者の方々はついに諦めたそうです。まぁ、この世界は何が起こっても仕方がない世界ですから、そういったことも有り得るのかもしれませんね」

「有り得ないでェェ!」

それを聞いた瞬間絶叫。そんな、こんなすごい森を伐採しても翌日完全復活する怪異を納得した瞳で語らないでください!!

「ま、お姉さんの世界では有り得なかったのかもしれませんね。何はともあれ、この森は通称『迷いの森』と呼ばれるほど遭難者の出る森だし、この森を通らないと町には出られませんから、迷子にならずについてきてくださいね」


そう言われてから5分。

「あれ?おっかしいなぁ〜・・・」

目の前を歩いていたはずのココ君が消えた。

ふらふらとそのあたりを探してみたけど、進めば進むほど此処が何処なんだか分からなくなってきた。


「まさか・・・・」

最悪の考えが胸をよぎる。


「迷った・・・・・」


情けないです。神様、許してください。もう町に行くのに派手な格好は嫌だとか潤風がピラニアとかに100回くらい捕食されればいいとかこの国で暮らしたくないとかいいません(最後のは明らかに現実逃避です。あんたもう諦めてるでしょ)。だからお許しください。


「コーコく――ん・・・・」

心なしか呼び声も小さくなってくる。こんな森の中に独りぼっちって言うのはちょっと不安すぎる。


と、そのとき。


―――ガサッ。


驚いて音のした方をビクッと振り向いた。

「なっ」


そこにいたのは・・・・



「すぅ―――――」


羊の角と耳が生えていて、十二単を着た寝ている美少女だった。


「え、ちょっと!?何!?てか、なんでこんな薄暗い森の中で寝てんの!?しかも何故十二単!ツッコミどころが満載なんだけど〜〜〜!?」


まぁ、何はともあれ起こすことにしましたとさ☆

「ね、起きて、起きて」

12歳ほどの、顔立ちの整った横たわる女の子を揺する。

「む、ぅぅぅぅぅ―――――ん・・・・・」

女の子は目を覚ました。


その瞬間、萌えた。


え?何がって、あたしのLOVEメーターとかLOVEメーターとかLOVEメーターとかがよ!どうしよう。エンジン爆発を起こしそう。可愛すぎる。

眠たげな目やらそれをちょっと強調するちょっぴり幼げな顔とか目尻に滲む涙とかその他諸々がよ!!


「かんわい〜〜〜〜〜ん!!!!!」


唐突に抱きついてしまいましたとさ★


「きゃわっ!?あ、あの、あなたはいったい・・・・」

その子が呟いて、あたしはわれに戻る。途端になんか急に恥ずかしくなってきた。あたしともあろうものが見境なく年下の女の子に抱きついてしまうなんて!!!!一歩間違えばこれはGL行為!!!(※この小説にGLの素質は含まれておりません)


「ごっ、ごめんなさい!あまりにも可愛かったものでつい・・・」

「いえそんな。わたしこそ初対面の方の前で寝てしまって、恥ずかしいですー」

「あっ、ごめんなさい!どなたかも知らないのに起こしてしまって!安眠妨害ですよね!」

「そうですね。わたし、奏唄かなうといいます」

「(ん?今この子、さらりと毒を吐いたように感じるのは気のせい?)あたし、紅誇といいます。えっと、この辺でココ君を見ませんでした?」

「王子、ですか?あなた、王子とお知り合いでいらっしゃる?」

「はい、え、えーと・・・紅の姫?」

「まぁ!ナッツ様の13回目の生まれ変わりでいらっしゃいましたか!そうとは知らずご無礼を!すみません!ではお詫びにわたしの家までご案内しましょう。このままここにいても迷うばかりですから、ひとまず家に」


というわけで、彼女の家に招待していただくことになりました。


「・・・・・・・・・・・・・は?」

着いたところは優雅なお屋敷。外から見る分にはよく分からないけど、なんだか平安貴族とかが住んでそうな。


門を開けて迎え入れながら奏唄ちゃんはにこやかにいう。

「あ!申し遅れましたが、わたしの家は平安貴族の末裔なんです」


古代日本を治めた御貴族は、いまベリーの国で健在でした☆


って、なんでやすやすと受け入れてんのあたしィィィィ―――――!?

ここ絶対突っ込むべき場所だよ!おかしいよ!なんでご恩と奉公の関係が成り立たなくなって崩れたというあの平安貴族がまだいんの!!!ツッコもうあたしィィィィィィィィ!!!!(※ご恩と奉公は平安貴族じゃありません。鎌倉です)


「ちょっと、なんで平安貴族がいんの?!ここ日本じゃないのに!!」

ダメだ・・・驚きすぎてツッコミの切れがない・・・・

「えっとですね、わたしのご先祖様の、平安貴族だった誰かが、あるとき間違えてこのベリーの国に来てしまったんです。で、ベリーの国って半永久的に帰れない土地でしょう?だからご先祖様は仕方なく暮らしているうちにだんだんとこの土地が気に入ってしまったんですね。帰りたくなくなって、時空の歪みがやっと現れても、帰ろうとしなかったんです。それで平安貴族は、今に至る、と・・・」

な、なるほど。やっとこさっとこ理解できたよ。それなら貴女のその十二単も説明がつくしね。

よく見回してみたら、いたるところで蹴鞠やら舟遊びやらをしている人もいるし。


・・・まぁ、事実を受け入れるしか道は・・・ないのかもしれませんね・・・。





はい、新しいキャラは2人とも書くべきなのでしょうかね?ロイヤルはよく出ることになるかどうか自信がないので奏唄だけにしておきます。



奏唄かなう

12歳

血液型・O

苗字不詳。平安貴族の末裔。十二単をいつも着て歩いているせいか足や肩の筋肉は発達気味。眠ることが何よりも大切で、たまに酷いことを言う。悪気はないがかなり悪質。性格としては穏やか。

好きなものは曲水の宴で、嫌いな物は貴族のご飯(なんで?:紅誇)(太りますから!あんなのを食べていたら栄養失調で倒れるかもしれないし肝硬変になるかも!!あぁ、怖い・・・)。

身長・123センチ(重いものを着て歩いてるせいか、全然身長が伸びないんです)(安心して。あたしは何もしなくても身長が伸びないから:紅誇)

体重・21キロ(なんでそんなに細いの?!:紅誇)(さぁ・・・貴族のご飯ではなく武士のご飯を食べ、その上いつも10キロほどのお荷物をまとって暮らしているからでしょうかね・・・・)


はい、ありがとうございました!

ちなみに曲水ごくすいの宴とは、小川に杯を浮かべて、通り過ぎるまでに決められた題の和歌や詩を作る平安時代の遊戯です!(12歳以上の方なら説明要らなくね?


では!次回に続きます

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