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恋してるだけ   作者: 夢呂
第十五章【文化祭までのカウントダウン】
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『優妃、明日は一日フリーなんだっけ?』


いよいよ前日になったその日の夜、朝斗さんが電話で言った。


「あ、はい。衣装作りの担当になった時に翠ちゃん…、友達がそう条件をつけてくれたんです。なので土曜も日曜もフリーです」

『そっか。一緒に回りたいし、時間が空いたらすぐ連絡するな』

「はい!待ってます」

私は楽しみになって、つい笑顔が溢れる。


「いよいよ、明日始まりますね」


『うん、やっと肩の荷が下りるよ』


「え、まだ始まってないのに朝斗さんそれ早くないですか?」

『そっか』

クスクス笑う私に、朝斗さんが明るく言った。

朝斗さんのそんな返しが…気を許してくれるみたいですごく嬉しい。


(あー…。幸せだな…。こういう時間を“リア充”というのかな…)


『あーリア充いーなー。私も頑張ろうかなー!』

先日の透子ちゃんの言葉が連想されて、私は慌ててその言葉を振り払おうとした。


(関係ない…。―――関係ない!)


『優妃?』


「あ、なんでも無いです!それより朝斗さん、台詞とか大丈夫なんですか?急に代役になったって聞きましたけど」


『…あ、まぁそれは大丈夫だと思うよ』

(あ…機嫌が…―――)

朝斗さんの声が少し低く…素っ気なくなった。

それでも、私はどうしても知りたくて聞いてみた。


「私が行ったら…恥ずかしいから嫌なんですか?」

『恥ずかしい、かな…うん。』

曖昧に答える朝斗さん。

「私観に行きたいんですけど…ダメですか?時間もあるし…」


朝斗さんは最近、この話題になると不機嫌になる。分かってたけど、止められない。

『うん。ダメ』

「―――…」

(だけどやっぱり、納得いかないです!!)

電話越しで膨れていた私に、朝斗さんが言う。


『この話はおしまい。じゃあまた明日。

―――おやすみ優妃』


「おやすみ…なさい」


どこか引っ掛かるものを感じながら、私は結局朝斗さんに許可を貰えることなく当日を迎えることになった。


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