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恋してるだけ   作者: 夢呂
第二章【花火大会】
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「本当ごめんなさい…」


座れるところを探して、時田くんと暫く座っていた。かなり時間が経ったからか、人混みも少しずつ緩和されていく。


「気にすんな!ってか、さっきから謝り過ぎだから」

私が頭を下げて謝ると、時田くんが笑う。

先ほどから、申し訳なさからつい謝ってばかりいるからだ。


でも、私が言いたかったのは他のことだった。

今なら素直に話せる気がした。


「―――靴擦れのことも…だけど。…私、時田くんのこと誤解してた」


「あ゛?」


「時田くん、クラスの中心にいるからか、ちょっと怖くて苦手だなって…」


「…俺のこと、怖かったのか?」


時田くんの声が少し低い。もしかしたら言い方が悪くて傷付けたのかもしれない。


「ごめんね、それは私の勝手な先入観で…。でも今日、印象が変わったから」


私は不器用だから上手く言えないけれど、

でも、これだけは伝えたかった。


「時田くんがどうしてクラスの中心にいるのか分かったっていうか。優しいんだなって、分かって」


「あのさ、」

私が一気に話していると、時田くんが口元を手で押さえながら待ったをかけた。


「?」


「“一護”でいいよ」

時田くんが照れながら、言った。

「俺も、“優妃”って呼ぶし」


「あ、はい…」

照れが伝染したように、私も頬が熱くなる。


「“はい”って、可笑しいから」

一護くんが笑う。よく笑う人だな。


「――――ありがとう、一護くん」


私はつられて笑いながら、一護くんに言う。


「私、今日、花火大会に来て良かった」


「俺も!」

身を乗り出すように、一護くんが勢いよく私に顔を向ける。


「優妃と花火大会来れて、良かった」


(うわ…!)

なんだかその言葉が、私の胸の奥を熱くした。


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