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恋してるだけ   作者: 夢呂
第十四章【悪者】
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「ところで一琉、部活って何部なの?」

家に着くところで、私はふと思い出して訊ねた。


「は?」

呆れた顔で、一琉がこちらを向く。

「優妃…知らずに…来たわけ?」

「え?うん。」


はぁ…と一息ついて、一琉がボソッと言った。

「弓道部…」

「え、弓道部っ!?すごいね!―――春の大会で優勝したって聞いたよ?」

(高校に入ってから始めたのに、優勝したってことだよね?)


「――――(おそ)…」

「ん?」

一琉がボソッと何か呟いたけど、私には聞こえなかった。

聞き返した私を華麗にスルーして、一琉が言う。


「…モチベーション下がったし、辞めようと思ったんだけど」


「え、そういえばなんで?急に辞めるなんて…」


私がそう訪ねると、なんでそこまで聞くわけ…というように一琉が顔をしかめる。


(―――聞いちゃダメなんだ…?)

私は一琉の機嫌を窺うように、じっと一琉を見る。


「優妃が応援来てくれるなら、続けようかな」

甘えるような声で、不意に一琉が言った。


「え?…私、完全に部外者だし」

(応援…って…。―――まぁ、観てみたいけど…でも…)


「じゃあ辞める」

スタスタと先を歩きながら、一琉が言う。


「え、ちょっと…それは困るってば…」

(迪香ちゃんに、なんて言われるか…―――)


「来月、大会あるから絶対来て」

家の前に着いて、一琉が私をまっすぐ見つめてそう言うと、じゃあねと家の中へと入っていった。


(言い逃げだよ…それ…)


「ちょっと一琉…っ」

私が呼び掛けると、ドアを閉める直前で振り返った一琉がニコッと微笑んだ。


(…一琉が…優しいと…調子狂うよ…っ)



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