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恋してるだけ   作者: 夢呂
第十四章【悪者】
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迪香ちゃんが、話してくれた内容は私の知らない…“牧 一琉(幼馴染み)”だった。


中学時代、虐められそうになっていた私を…助けるためにずっと傍に居たこと。


周りと接触させないために、わざと酷いことを言って遠ざけようとしていたこと。


私が傷付かないように、わざと自分が私に酷いことを言って…自分だけが“悪者”になるように仕向けたこと。


女子達の僻み、妬みの声が聞こえないように…一琉(自分)以外の人間から私が…傷付かないように…。


「何…それ…」

衝撃でー―――声が…心が…震えた。

(頼んでない…そんなこと…)


私が女子達に虐められそうになっていたのは、一琉が隣に居たからだ。

一琉が私から離れたら、女友達もできたはずだ。


「何…勝手に…」

涙腺が弛んで、勝手に涙がこぼれ落ちる。


(そんなの知らないし…知りたくなかった)

一琉は私の幼馴染みだから。それ以上でもそれ以下でもない。

(今さら真実(そんなこと)を知って、私にどうしろというの?)



朝斗さんと付き合い始めたときも、“やめておけ”って、“騙されてるんだよ”って。


『心配なんてしてないよ。優妃って本当にオメデタイ頭してるね』

そう言って…寂しそうに笑ってた。


私が朝斗さんのことで悩んで…勝手に傷付いて…落ち込んでると、“だから言ったのに”って呆れてた。


『優妃には僕がいる。僕だけは優妃の傍にいるから、…ずっと、ね』

そう言って優しく微笑んだ。

いつも、そうやって…言い聞かせるような口調で。


『また、悩んでる…。懲りないね優妃』


私…気付いてなかった…。

一琉はいつも、私の傍に居たこと。


――――やっぱり、一琉の言う通りだ。


(ねぇ…一琉…、私“優妃(自分)”のこと…分かってなかった…)


貴方に護られてたことも、いつも見守っていてくれたことも…。


他人(ひと)から聞くまで、気が付かなかったよ…。

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