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恋してるだけ   作者: 夢呂
第十三章【不安定なこの心】
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(あれ…?)


気が付くと、保健室のベッドの上にいた私は驚いて上半身を起こす。随分寝ていたのか、気が付いたら身体のダルさはなくなっていた。


つーっと、涙が頬を伝った。

(私…寝ながら泣いてた…?)


慌てて涙を拭っていると、

「あら?気が付いた?」

保健室の先生が、仕切りカーテンを開いて顔を出した。


「あ、はい…」

「貴女、廊下で倒れたらしいわよ?」

「え?」

「で、同じクラスの男子が運んできてくれたのよ」

「え…」

(同じクラスの…男子が…?私を?―――誰だろう…)

そう思いながらも、頭には一人しか浮かばなかった。


「名前は忘れちゃったけど」

保健の先生が肩を竦めて微笑む。

「そう…ですか…」


「熱はなさそうね。―――二時間は寝てたわ。もうすぐ四時限目が始まるけどどうする?」

「あ、出ます。」


「そう。無理しないようにね」

「はい。…失礼しました」

保健室を出て、私は教室へと戻る。



朝斗さんに会えたと思ったのに…。

朝斗さんに自分の気持ちを伝えたと思ったのに…。


――――あれは、全部夢だったの…?


『好きだよ…』

あの声も、言葉も…全部?…―――夢だった?


(随分都合のいい夢…―ーだったな…。夢だからか…)

ふっと口元が緩む。

(だいぶ勇気出してたし、現実なら良かったのになぁ…――)


そんなことを思いながら教室に戻ると、教室には誰もいなかった。


(あれ?)


教室に貼られていた時間割を見て、三時限目と四時限目が家庭科だったことを知る。


(あぁ…私―――何も考えずにここまで来てたんだ…)




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