表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋してるだけ   作者: 夢呂
第十三章【不安定なこの心】
79/315

79

「ちょっと優妃っ、大丈夫なの?」

ホームルームが終わって一時限目が始まる前に、私は教室に着いた。


「うん、大丈夫」

「でも、顔赤いし熱あるんじゃないの?」

翠ちゃんが心配そうな表情で私に言う。


「朝斗さんに会ってくる…」

「は?」

うわ言のように呟く私に、翠ちゃんが目を丸くする。


「今、会いたいの…」

「ちょっと待ちなよ、もうすぐ一時限目始まるし…早馬先輩だって授業でしょうが」

「…そっか」


「優妃?どうしたの本当に?」

翠ちゃんにそう言われても、私は何も答えられなかった。


「………ごめんやっぱり私、保健室行くね…」

「え?あ、じゃあ私付き添うから」

「ありがとう。でも、一人で平気だよ」

「そう?…無理しないでよ?」

「うん」


教室を出て、保健室へと向かう。

足元がふらつく。多分、また…熱が上がってきた。


(お昼になったら、会えるよね…)

ふっと意識が遠退くところで、誰かが私を抱き留めてくれた。


「あ…」

(朝斗さん…?)



私、朝斗さんに言いたいことが…伝えたいことが…あったんです。

私、朝斗さんが好きです。本当に…好きです。


だけど、こんな気持ちは初めてで…戸惑うことばかりで…。キスされたときなんて、もうキャパオーバーで…。


でも。

でも、本当は…――――


本当は―――――…


幸せ過ぎて、怖かったんです。ずっと、ずっと。


朝斗さんが私を…好きになってくれて。

私に笑顔を見せてくれて。

私だけを“特別”だって言ってくれて。


自分に自信がなくて、ずっとずっと…幸せだと思えば思うほど、怖くて…怖くて。



だけど、別れを告げられて…朝斗さんを失なうことの方がもっと怖いって…気づきました。


もう、手遅れですか?

もう、ダメですか?


朝斗さん…。ー―ー何か…言ってくださいよ…。


どうして何も言ってくれないんですか?



「好きだよ…」

囁くような、優しい声が聞こえてきた気がした。

その言葉に、私は涙が止まらなくなった。



私も…好きです。朝斗さん…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ