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恋してるだけ   作者: 夢呂
第十三章【不安定なこの心】
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ピロンとlineの着信音が鳴った。


『優妃、風邪?大丈夫?』

翠ちゃんから届いたlineを見て、返信せずにベッドの横に置く。


今日、私は学校を休んでいた。時刻は8時30分。

もう少しで朝のホームルームが始まるはずだ。


今朝起きた時から高熱が出ていた私は、そのまま学校を休むことにした。

身体がだるくて、ベッドから起き上がれない。


でもlineの返信をしなかったのは、決して身体がだるいせいじゃない。


(まるで、ずる休みだ…―――)


学校では今頃、私は朝斗さんと別れたという話が広まっているんだろうか?

それともすでに、“彼女達”が朝斗さんのところにー―ー?


考えれば考えるほど、胸が苦しくなる。


(本当に…もうダメなのかな…。…もう、手遅れ?)


朝斗さんのline画面を開いても、何も送れない私は、画面をスクロールして過去の…今までの会話文を読み返す。

朝斗さんは携帯電話を買い換えたばかりだから、lineの会話文はあまり残っていなかった。


『優妃の番号だけ、分かればいいし』

ふと、携帯電話を買い換えたときの、朝斗さんの言葉が頭をよぎる。

(朝斗さん…)


声が…聞きたい…。会いたい…。

(朝斗さん…)


触れたい、触れて欲しい…。

(朝斗さん…)


バカだ…私…――――。ほんとバカ。

今さら気が付いてどうする―――。

こんな風に…別れを告げられてから、どうしようもなく好きになってたなんて。



「優妃っ、ちょっとどうしたの?」

玄関で制靴を履く私に、母が驚いて声をかける。


「学校、行く」

「何言ってるの、熱が…「大丈夫、行ってきます」

母の声を遮って、私はふらつきながら家を出た。


(後悔してる…凄く…―――)


熱に冒されているからか、いつもの自分ではありえないような行動に出た。


今、伝えたい。今、会いたい。

この瞬間もずっとずっと、変わらない気持ちを。


(朝斗さん…私、貴方が好きです…)


もう逃げない。例え、貴方と釣り合わなくても。

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