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恋してるだけ   作者: 夢呂
第十三章【不安定なこの心】
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「―――な…」

私は全力で一琉の胸を押して唇を離す。

「…にすんの…っ」

唇をごしごし擦る。―――…こんな感触、今すぐ忘れるように。


「別にいいじゃん。もう、“初めて”ってわけじゃないんだし」

一琉の一言で私の怒りは一気に沸点に達した。

「…ダイッキライ!!」

他人(ひと)にこんな風に感情をぶつけたのは、初めてだった。


「ごめん。そんな怒らないでよ…。今のは言い過ぎた」

「大嫌い、一琉(あんた)なんて…っ」

「優妃…、」

「今すぐ出てって!もう二度と来ないで」

(何も聞きたくない。もう、関わりたくない)


「優妃、僕は…―ー――」

「出てって!」

私が一琉を部屋の外へ押し出すと、母が私の部屋の前まで来ていた。


「ちょっと優妃、なに大声出して!それに一琉くんになんてこと言うのっ!?謝りなさい!!」

ヒステリックに叫ぶ母、何も知らないのに私が悪いと決めつける母が、余計に私を苛立たせる。


「いえ、大丈夫です。僕、帰ります。お邪魔しました」

一琉が母に頭を下げて、さっさと一階(した)へと降りていく。

「一琉くん!ごめんなさいね、優妃が酷いこと言って―――」

母も一琉の後を追うように一階(した)へと降りていった。



(お母さんは、なにも知らないくせに…)


私の気持ちも、一琉が私にしてきたことも…、今、一琉が何したのかも――――…。

(それなのに、いつも…“一琉の味方”になる…)


私の気持ちなんて、誰も分かってくれない。

私の話なんて、誰も聞いてくれない。


(助けて…誰かー―ー…)

私は部屋のドアにもたれ掛かるようにしてしゃがみこむ。



『電話くれただけで、嬉しい。だから何か言いたいことあったんなら、俺何でも聞くし、…てか聞きたいから』


(助けて…一護くん…――――)


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