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恋してるだけ   作者: 夢呂
第十三章【不安定なこの心】
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「優妃、別れた?」

一歩、また一歩…―ー一琉が私に近付いてくる。


(ヤメテ…入ってこないで…)


「ねぇ…黙ってたら分からないんだけど?」

意地悪な口調とは裏腹に、優しく…私の身体をそっと抱き締める。


(ヤメテ…触らないで…)



「優妃には、僕がいるから――――大丈夫だから」


(違う…私は…――――)


「朝斗さんが…好き、なの…」

震える声で、私は気持ちを口にする。


「まだそんなこと言ってるの?いい加減、現実見なよ」

一琉が私を抱き締める腕の力を強める。


「優妃とアイツじゃ、何もかも合ってない。合うはずないんだよ」


「どうしたらいい?―――一琉なら知ってるんでしょ?ねぇ…教えて…私はどうしたら朝斗さんに近付ける?」

一琉の腕から逃れようと、身体をよじりながら私は一琉を見上げる。


「諦めたら?」

いつも通り、一琉は私を冷めた目で見下ろしている。


「え?」

(諦める…?この気持ちを?…朝斗さんへの、この気持ちを?)


「それなら協力出来る」

「………?」


「付き合お?僕と」


一琉の言った言葉の意味を、頭の中で反芻させる。

(付き合う?…一琉と?)


「………何…、やめてよ…こんなときにそんな冗「本気だけど?」


突然の発言に驚いた私は、いつの間にか涙が止まっていた。

一琉はいつになく真剣な表情で私を見つめている。


(本気?…なの?)


「僕なら優妃を一人にしない」


「………」

確かに、一琉はずっと私と一緒にいてくれた。

だけど…それは…―――私が望んだことではなかった。


「一琉の気持ちは有り難いけど、でもごめん。」

身体を離して、私は一琉を見上げる。


「私は、一琉のこと…幼馴染みとしか、見れない」


「…大事にしてきたのに」

一琉が、ボソッとそう言って顔を近づけると、抱き締めていた腕を頭の後ろへ回し、そのまま私の唇に口付けした。


(な…っ)




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