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恋してるだけ   作者: 夢呂
第十三章【不安定なこの心】
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『優妃、どうだった?』

その日の夜、朝斗さんから電話が来た。


「へ?―――えっと…どう、とは…?」

抽象的な聞き方に、私は何を聞かれたのか分からず答えに困る。


『衣装の生地選び、してきたんだろ?逢沢さんと』


「あぁ、はい。可愛いの見繕って、取り敢えず買いました」


『――――そか。良かったな』


朝斗さんは私に合わせてくれる。


『大切な彼女だから、優妃が嫌ならずっと触れないよ。優妃が嫌がることは何もしないって誓う。』


以前(まえ)に宣言された通り、朝斗さんは私には触れない。

朝や帰りも、私と一緒にならないようにしてくれる。


――――朝斗さんの隣を自信をもって歩けるようになるまで、一緒に登下校はしたくないと言ったのは私で、朝斗さんはそれを聞き入れてくれたのだ。


(―――だけど、その日はいつ来るのだろう…)


朝斗さんに、甘やかされている。いや、…―――甘えすぎている。


(私ばかりがこんなんで…朝斗さんはそれで幸せなのかな?)



『―――恋愛ってさ、タイミングもあると思うんだ。』

翠ちゃんが、今日話してくれた言葉が頭をよぎる。


私が朝斗さんと付き合いだしたのは、本当に思いがけないタイミングだった。


(あの時…裏庭に朝斗さんが来なかったら?―――あんな風に強引に…告白されていなかったら?)


あの時の朝斗さんが、あの時の私が…――今の私達を作り出したんだ…。



『優妃?』

そんな偶然をしみじみと思い返していると、朝斗さんが私を現実に引き戻した。


「はい、何ですか?」


『明日、時間ある?昼、一緒に食おう?』


「あ、はい!分かりました!!」

私は自然と笑顔になってしまった。


(朝斗さんとランチ…!)



『あんたが向き合うべきは、一護じゃなくて自分が選んだ人(早馬先輩)でしょ』


――――翠ちゃんの言う通りだ。私は今、朝斗さんと向き合うべきだ。

彼の隣に自信を持って居られるように、ずっと傍に居られるように…。




『それでも気になったり、一護と仲良くしたいと思うなら早馬先輩と別れるべきだと思うわ』


(――――別れるなんて…考えられないもの…)


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