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恋してるだけ   作者: 夢呂
第二章【花火大会】
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「あ!早馬先輩がいる!!」


クラスの女子がそう小声で言って、こっそり指差した方を辿ると、

早馬朝斗(はやまあさと)先輩が綺麗な女の人と目の前を歩いていくところだった。


(あ…―――先輩…)

先輩を見たら、不思議とチクンと胸が痛んだ。


「はー、格好いいなー、早馬先輩!」

うっとりとしながら、クラスの女子の達が先輩を見つめている。


「また違う彼女(オンナ)かー、さすがモテ男だな」

いつの間にか、隣に時田くんが立っていた。


「もしかして香枝も、朝斗が好きなの?」


「えぇっ?ち、違うよ…。」

咄嗟にそんなことを口走っていた。


(…――――違う?違わないじゃない?)

心の中で、自分を嘲笑う。


私は先輩が好き。初めて見たときから、ずっと憧れてた。


早馬先輩は、皆の憧れで…私なんかが手の届かない人。手を伸ばしてはいけない人。


『付き合わない?』

あの時の言葉は、先輩の気まぐれで、

…ただ私をからかっただけで。


(――――だから忘れなきゃいけないのに)


付き合ってない私が、こんな気持ちになるのは図々しいって分かってる。


(――――だから忘れなきゃいけないのに)



『付き合わない?』


あの時、私が素直に頷いていたら、先輩の隣に私がいたのだろうか?



モヤモヤしている私の心に、花火のドンという地鳴りのような音が響いた。


私は花火を見上げた。つんとした胸の痛みを溢さないように――――。





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