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恋してるだけ   作者: 夢呂
第十二章【文化祭準備】
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「結局、自分で背負い込むことにしたわけね」


翌朝、ホームルームが終わると翠ちゃんが私の席に来て言った。

先程のホームルームで、文化祭の役割決めをしたから…そのことを言っているのだとすぐに分かった。


クラスの女子達が誰もやりたがらなかった衣装担当を、私は自ら名乗り出たのだった。

もちろん、裁縫は得意ではない。

でもそうしないと、…朝斗さんに衣装について頼みに行かなくてはならなくなるから…それだけは避けたかった。


「…翠ちゃんも巻き込んじゃってごめんね…」

私は申し訳なくて、翠ちゃんに謝る。

私がおずおずと手を挙げた後に、司会進行をしていた学級委員の翠ちゃんが「では、衣装は私と香枝さん二人で担当します」と言ってくれたのだ。

(またお世話になってしまった…)


「何言ってんの。今更でしょ」

言うと思ってたしね、と笑う翠ちゃんは格好いい私のヒーローだと真剣にそう思った。


「早速衣装作りの為に、帰り手芸屋でも寄ってく?」

「うん!」

私が笑顔で頷くと、翠ちゃんがホッとしたように苦笑いを浮かべる。


「どうかした?翠ちゃん」

「いや、優妃…よく笑うようになったなと思ってさ」

嬉しそうに目を細めて、翠ちゃんが言う。

(翠ちゃん…―――?)


「正直、早馬先輩と付き合ってるとか言い出した時は『大丈夫か?』としか思わなかったけど」

「?」

早馬先輩(あの人)も変わってきたみたいだし、良かった良かった」

「翠ちゃん、それ何の話?」

話が理解できなくて、私は首をかしげる。


「いーの、いーの。あんたは気にしなくて!私は優妃が幸せならそれでいいんだから」


(翠ちゃん、喜んでくれてる…のかな?)


「えーと…。………ありがと、う?」

これで合ってるのかなぁとおそるおそる言った私に、翠ちゃんが笑った。


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