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恋してるだけ   作者: 夢呂
第九章【恋という気持ち】
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先輩に帰ってくれと言われたとだけ、私は一護くんに伝えた。


『朝斗が?優妃に?』

何でだよ、あり得ないだろ…と呟きながら一護くんが聞き返す。


「…私が…先輩の期待に応えられなくて…」

『は?期待?何の?』

そこまで言っても一護くんには通じなくて、私は赤面しながらもゴニョゴニョと説明をする。


「いや、だから…その…し…たいって言われたんだけど私、泣いてしまって…」

『あ、朝斗のやつ…っ!マジで最低だな!今度会ったらぶん殴ってやる!!』

一護くんが激昂する。だけど私はその瞬間にハッと気が付いた。


(違う…―――先輩はなにも悪くない。)

その後だって「どうかしてた、ごめん」って、謝ってくれた…。

それを “怒ってる”と感じたのは、最後の「帰ってくれ」の一言がショックだったから。


「ごめん違うの、」

さっきまではショックで、マイナスのことばかりが浮かんでいたのに、一護くんに話したら冷静になることが出来た。そして曇っていて見えなかった自分の気持ちに光が射すように、見えてきた。


『優妃?』

説明を求めるような、一護くんの声。

「――――ごめん、私が間違ってた!」

(―――私、自分のことばっかり考えた。先輩が分からないんじゃない。私が先輩をちゃんと知ろうとしてなかったんだ!)


そう気付いたら、気持ちがまっすぐに向いていた。

ドキドキという甘い鼓動も、朝斗さんのことを想って動き出す。


『もしもし?優妃?』


「一護くんに電話して良かった!本当にありがとう!私、行かなくちゃ…」

早口にそう言いながら部屋を出ると、足は勝手に行くべきところへ向かい出す。


『え、おい待てって!どこに――…』

「朝斗さんのところ!ありがとう一護くん」

一護くんにお礼を告げて通話を終了させると、サンダルを履いて家を飛び出した。



(朝斗さん、私知りたいんです。朝斗さんのことを。

―――――…好きだから。)


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