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「えー、明日から夏休みですが――――――…」
体育館に全校生徒が集まり、集会が始まると、校長からの長い話が始まった。
「ね、優妃は明日の花火大会行くの?」
クラスでも人気者な女子、数奇透子ちゃんが、私に後ろからこそっと耳打ちする。
背の順で並んでいたので、前から三番目の私と四番目の透子ちゃんは前後の位置関係だ。
「あ、うん。翠ちゃんと…」
私は前にいる先生に見られていないかハラハラしながら、そう小声で返した。
「クラスの数人で集まって行こうって話があるから、良かったら翠と来てよ」
透子ちゃんが明るく、ウインクしながら言う。
そんな彼女は、同性の私から見ても可愛いなーと思う。
「あ…うん。」
見とれていた私は、少し遅れて頷いた。
(クラスの人たちと…なんて、仲良くなれるチャンスかも!!)
誰にでも優しく、明るい透子ちゃんに感謝しながら、私は夏休みを楽しみにしていた。