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恋してるだけ   作者: 夢呂
【第三十六章】バレンタイン・イブ
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「あ、朝斗さん…?」


初めての部屋に通された途端抱きすくめられ、唇に久しぶりのキスが落とされる。


「ちょ…、…ん」

チョコを…と言う間もなかった。


(嫌ではないんですけど。むしろ嬉しいですけど…)


「ん…、あ…れ?」

舌を絡ませるキスに溺れフワフワしていた私は、気が付くといつの間にかベッドの上に仰向けになっていた。私の制服に手をかけながら朝斗さんが言った。


「今日…最後までしてもいい?」

朝斗さんが上から覗き込むようにして、少し余裕のない表情で私を見つめる。

(――――…“最後まで”…って…こないだみたいな…?)

ドキッとして、少し顔を横に向けながら頷くと首筋に這うような感触がしてびくっと身体が跳ねた。


「ぁ…」

「優妃…」

朝斗さんが私の名前を呼ぶ度に甘く心に溶け込む。

(もっと…、もっと…)


「…あ…」

「優妃…」

もっと呼んで欲しい。もっと触れて欲しい。

ぎゅって抱き締めて欲しい。

抱き締めていたい…――。


「朝斗さん…、」

指を絡ませて、朝斗さんを見上げる。まっすぐ見つめてくれる彼に、愛おしさが募る。

「…すき」


私の言葉が何かのスイッチになったのか、突然朝斗さんが顔を下へと進めていく。


「え、朝斗さん…!!ちょっと待って、そんなとこやだっ!」

有り得ないところを朝斗さんの舌が這う。羞恥で身体を動かそうにも、両手はすでに朝斗さんにとらえられ、朝斗さんから与えられる甘い痺れに身体の力が抜けて身動きができない。


「大丈夫だから…もっと力、抜いて?」

「は、ぁっ、待って…やだやだ!なんか…変になっちゃ…うぅっ」

身体の中が熱くなって、この間のような甘い痺れに頭が真っ白になり身体がびくびくっと甘く痙攣する。


「ごめん…」

「?…あ…―――――ん…っ」

朝斗さんが何か呟いた瞬間、聞き返す間もなく下半身にこの間と同じ、鈍い痛みを感じた。

だけどそれは、さっき舐められたからかこの間よりもすぐに気持ち良くなった。


()っ、朝斗さ…」

(どうしようまた、気持ち良すぎて…。また、変になりそ…っ。)

――――その時だった。


(!!!!)


「痛…っ!!?朝斗さんんっ!?」

突然裂けるような激しい痛みで、私は足を閉じるようにして力を入れた。

「…ひ、あと少しだけ我慢して…」

朝斗さんがそう言うと私の口を塞ぎ、優しく舌を絡ませそれを阻止すると、さらに奥へと下半身にその痛みを深める。


「い…っ」

痛さで涙が滲んだ。


「優妃…」


どうして?

なんで今日はこんな痛いの?


「やっと…繋がれた…」

朝斗さんが何か呟いたけれど、痛さが凄くて、私の耳には入ってこなかった。


だけど朝斗さんの吐息はこの間よりも色っぽくて。

いつものような余裕も、全く感じられなくて。


知らない一面を、私だけに見せてくれてると思ったら…きゅんと胸が締め付けられた。


(…すき)


ぎゅっとしがみついたら、朝斗さんが首にキスをして耳元で囁く。

「あと、ちょっと…我慢して?」

「え?…――――あぁ…んっ!?」

その意味もわからずに、また奥に痛みが襲い、私は朝斗さんにしがみつく。

徐々に痛みは無くなってきて、身体が疼く。

(ダメ…力、入んな…いっ…!!)


「優…妃?」

私の身体が大きく跳ねる瞬間、朝斗さんがぎゅっと抱き締めて、耳元で囁いた。

「―――愛してる…」

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