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恋してるだけ   作者: 夢呂
第六章【勉強会の日】
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「一護くん、ありがとう」


店を出て、暫く歩いたところで私は一護くんに声をかけた。一護くんがその私の声で、パッと腕を引く手を離す。


「正直ちょっと居づらくて、助かった」

翠ちゃんが帰ってしまって、しかも恋愛話で盛り上がり始めてて。入れない話題なのに、帰るとも言い出しにくかったから。


「だろうなと思った」

そう言って、一護くんが笑う。久しぶりにその笑顔を見た気がして、ホッとする。


「…んだよ?」

ホッとしたのが私の表情(かお)に出ていたのか、一護くんが少し驚いた顔をする。


「ううん。ただ、今日一護くん楽しくなさそうだなって思ってて。でも体調悪いとかじゃなかったみたいでホッとしたというか…―――」


(何を言っているんだろう…)


でも今日の一護くんはあまり笑ってなかった。どちらかというと話し掛けるなオーラが出ていたというか、近寄りがたい感じだった。でも、杞憂だったようだ。

やっぱり一護くんは、優しくて親切な人。心許せる人だ。


「なぁ、まだ少し時間ある?」


「あるよ」

今日は先輩と約束もない。そしたら私の予定は何もない。今はまだお昼過ぎ、時間ならまだまだ沢山ある。


(そう言えば、お腹すいたかも…―――)

先ほどまでファミレスに居たのに、勉強の為に注文したのはフリードリンクだけ。


「じゃあ、少しだけ時間くれ」


「え?」


(それは、一体どういう意味?)

首を傾げている私に構わず、一護くんが二、三歩先を歩き出す。そして振り返って、言った。


「早く。暑いじゃん」


そう言う一護くんの頬がほんのり赤くなっている気がした。


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