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恋してるだけ   作者: 夢呂
【第三十二章】冬期補習授業
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「マジか。見えねーな、中学か小学生かと思ったわ」

冬哉くんはそう言って笑った。

笑うと口元から八重歯が覗いて、ちょっと幼く見えた。


「しょ、小学生は無理あるよ?」

「そりゃそーだろ。冗談だし」

「へ?冗談…?」

(なんなの…この人…よくわからない…)


受け答えに困っていたちょうどその時、朝斗さんから電話が掛かってきた。

―――…現在の時刻は12時。


補習授業は朝の9時から11時半までだと伝えてあったからかな?だとしたら、嬉しい。


「あの、私電話なので」

「ふーん。出れば?」

おずおずとそう伝えると、冬哉くんは席を立って行ってしまった。


なんだったんだろ…?

あ!

もしかして義兄の彼女だからこう…交流を深めようとしてくれたのかな?

だとしたら、嬉しいんだけど…。


『もしもし優妃?補習お疲れ。今帰り?』

「あ、えっと。学校近くのカフェ…」


(あ。カフェにいるって言ったらきっと次は“誰と?”って聞かれるよね…。三浦さんと話してたこと…言わない方がいいよね?)


「―――の、近くです」

『じゃあそこで一緒にランチ食おう?』


(ここで、ランチ…!?)

元旦以来、会えてなかったから嬉しくてにやけてしまう。

(わぁ、やったぁ!今から会えるなんて!)

嬉しいのとドキドキで、胸が騒がしく鳴る。


「…はい!じゃあ私、カフェの中で座って待ってても…?」

『分かった、寒いしな。入って待ってて』

「では!待ってま、るね」


敬語がいまだに抜けきれていない変な言葉で、私はそう伝えたのだった。

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