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恋してるだけ   作者: 夢呂
【第三十二章】冬期補習授業
266/315

【翠視点】215

「逢沢」

補習授業が終わるとすぐ、高梨先生が私を呼んだ。


「何なんですか」

(まだなんか文句あんの?こいつ、マジムカつく)

言いたいことはたくさんあったのに、周りの目があるし、本人を目の前にすると何も言えなくなる自分にまたイライラする。


「頼まれ事してくれ」

そう言われ、優妃とは教室で別れて私は高梨先生の後ろをとぼとぼとついていった。



「あんまり、敵を増やすなよ逢沢」

職員室へ向かう途中の廊下で、先生が言った。


「は?」

(急に、何?)


「香枝を庇うためだったとはいえ、挑発的な態度は感心しない」

「先生に、関係ないでしょ」

「あのなぁ、心配してるんだぞ一応」


一応(● ●)、ね・・・」

どうでもいいけど、なんで心配とかするの?

一応って、何?

私は、先生の何?


素直に聞けない。

怖くて、聞けない。


「なんだ、不満か?」

「別に」

「今年も変わらず“素直じゃない”な」


そうやって笑う先生は、キライ。

私のこと、分かってるみたいな顔する先生が。

(何もわかってないくせに、そうやって…――)


「それはどーも。さようなら先生」

無表情でそう答えて、職員室へは寄らず、わざと右に曲がって下駄箱へと向かう。


「逢沢」

引き留められたと思って振り返ると、先生が言った。


「もっと自分大切にしろよ」


(・・・・なに、それ…)


頼まれごとがあるからって呼んだくせに、帰ってもいいわけ?引き留めないわけ?


(―――意味わかんない。)


『心配してるんだぞ一応』

『もっと自分大切にしろよ』

『頼まれ事してくれ』


「・・・・・」

(意味、分かんない…ってば!)


ドキドキ鳴りやまない心音が、意識させる。

先生の言葉を…。

言葉の意味を…。


(―――そうやって、私に期待を持たせる先生がキライ。)

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