表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋してるだけ   作者: 夢呂
【第三十章】大晦日の過ごし方
256/315

206

朝斗さんの部屋に入った途端、唇を奪われた。

そしてベッドに倒れ込み、朝斗さんが何度も何度も角度を変えてキスをする。

そして深くなった口付けから、解放されると今度は…―――首筋に唇が降りてくる。


「…ぁ」


どうしよう。

さっき一度覚悟を決めたはずなのに…、

なんか今になったら…

すごく…怖い…



器用に素早くワンピースの中に、朝斗さんの手が滑り込んできて、脱がせた私の肌に舌を這わせた。


「朝斗さんっ?せめて、んっ お風呂に…あっ…」


脚がガクガクと震え、声も…震えていた。下着姿にされ、恥ずかしさと緊張から身体が動かなくなる。


「優妃…」

ブラをずらしながら、朝斗さんが歯先をあてた。舌先で、転がすように、玩ぶ。

背中に寒気が走る感覚に、私は身体をブルッとふるわせた。


「優妃…好きだよ」


胸の先を突き抜ける刺激は、身体全体を巡りめぐって私を熱くさせ、甘く囁く声に絆される。


―――今だかつて、感じた事のない感覚。


(どうしよう、泣きそう。)


嬉しいはずなのに、なにも分からないから怖い。

幸せなはずなのに、不安が募る。


(矛盾してる…)


「あっ…ん」


この声が…、身体が…、自分じゃないみたいで怖い。

(大丈夫なの、私・・・これで―――…。)



目をぎゅっと閉じたまま、身体を強張らせていた私の頬に朝斗さんの手が添えられ、ゆっくりと目を開けた。


「優妃・・・」

朝斗さんが、優しく顔を覗き込んで言った。


「―――ごめん。もう、何もしないから」


・・・そう言わせてるんだって、分かってる。

私の震えが止まらないから。

涙が、…止まらないから。


「すみません、これは…違うんです。朝斗さん…続けてください、私大丈夫ですから」

私は涙を拭いながら必死に言った。でも、朝斗さんは優しく髪を撫でただけだった。


(――――その気にも、なれなくなった?)


なんで震えてるの?

なんで涙が止まらないの?

―――自分のことなのに、それが分からない。



「優妃がそう思ってくれたのが嬉しすぎて、暴走した。ごめんな。」


(朝斗さん…)

布団で身体を包んで、朝斗さんが布団ごと優しく抱き締めてくれた。


「ゆっくりでいいから、受け入れてくれる?」

「も、もちろんで…っ。うぅ…っ」

朝斗さんが優しくて、私は涙がまた止まらなくなった。



―――最後まで出来なくてごめんなさい。

だけどいつか、私も朝斗さんと同じように…気持ちと身体が追い付きますように…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ